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INTERVIEW

Japanese

FLiP

2013年07月号掲載

FLiP

Member:Sachiko (Vo/Gt)

Interviewer:沖 さやこ


-メロもSachikoさんの声の伸びがよく映えた音程ですよね。

そうですね、歌うの本当に好きなんで(笑)。みんながプレイしているときに音色の歪みの具合や、1音1音の余韻まで大切にしているのと同じで、歌のブレスや言葉と言葉の繋ぎも自分が気持ちいいだけでなく、ちゃんと曲に寄り添うようにしています。音の中で世界観を強く表すのは歌だと思うので、楽器みたいな感覚で歌うときもあるし、その中で言葉の大切さを常に思いながら歌っています。ロング・トーンの最後に枯れた声を入れるともがいている感じが出るとか……そういう細かいところは楽しみながら気をつけていますね。メロは感覚的に作るんですけど、歌っていて“これが自分だ”“これがFLiPのサウンドだ”というところにしっかりはまるものを大切に作っていきました。

-「Tarantula」と「カミングアウト」は言い回しは違うけれど歌っているテーマは同じなので双子のような曲だと思いました。これがSachikoさんの恋愛観、ということでしょうか?

そういう面もあります、っていうことです。ははははは(笑)。

-(笑)。こういうところは今まで抑えていたことですか?

こういうのを出すのが気持ちいいんです(笑)! “愛してるよ”ということをテーマに歌ったとしても、わたしは恋をしている人に対して“あなたと過ごしている時間がこれだけ楽しくて、寝ても冷めてもあなたのことしか考えられなくて、四六時中そばにいたいの!”と歌いたくないんです。もしそういうことだとしても“あなたの瞳の奥にいつもあなたがいてほしい”“わたしの感情をあなたはどれだけ共有してくれるんだろう?”……そういう精神的な愛を求めたりするんですよね。そういう視点の歌詞はとても自分らしいと思う部分なので、それを今回再認識しました。四六時中束縛したいとかそういうわけではないんですけど……一緒にいたいと思う人は、生死を天秤に掛けられるんです。

-本気ですね。

何事も本気でないとつまらないと思うんです。恋愛だけでなく音楽に対しても本気だし。みんなそうだと思うんですけど、本気であればあるほどいろんなことが起きるし、いろんな思いが生まれるし、いろんな自分が見られるし、いろんな人の感情に触れることが出来るし。……日常生活の感情や感覚は音楽に出るものだと思っているので、そういう付き合い方がそのまま音楽の表現になっている感じですね。以前までは“ここまで言ったら生々しすぎるし個人的すぎるし良くないな”と思っていたんですけど、それを今回しっかり“音楽”として表現出来れば、また新しい歌詞やサウンドも出来るという根拠のない自信があったんですよね。だから向き合えましたね。

-生々しいものを吐き出す恋愛観という意味では「a will」も共通していると思いました。“愛を知らないまま愛していた”という一節は、経験を踏んだ25歳だからこそ出てくる言葉ですね。楽しんで歳を重ねているという印象もあります。

女子は“もう30になっちゃった!”とか“もう25歳になっちゃった!”みたいなことを言うじゃないですか。別に自分はそこに関しては“いいじゃん、歳取ってるんじゃなくて歳重ねてんじゃん”という意識なので、ポジティヴに捉えている類の人間だと思います。でもそれは音楽があるからかな、という気がします。いつも自分の軸になってくれるのが音楽だから、恋人や結婚相手がいなくても熱中出来る音楽という凄くスペシャルな存在があるから……焦りは余計だし、それよりも自分も聴く人も気持ちがいいと思う音楽を作ろう!と思うんですよね。