Japanese
FLiP
Skream! マガジン 2013年12月号掲載
2013.11.10 @SHIBUYA-AX
Writer 天野 史彬
とても素晴らしく、感動的なライヴだった。ロック・バンドがロック・バンドであることを背負い、受け止め、鳴らしていた――。6月に3rdフル・アルバム『LOVE TOXiCiTY』をリリースしたFLiPのリリース・ツアー"LOVE THE TOXiC CiTY"の最終日、SHIBUYA-AXワンマン公演。まず結果として書くと、この日のライヴは、アルバムのリリース・ツアー・ファイナルという以上の意味をバンドに与えていたと思う。FLiPのバンドとしての歩み、その道のりで積み上げてきたもの、そのすべてが報われ、祝福されているような、そんな幸福な景色がこの日のSHIBUYA-AXには広がっていた。
ライヴの内容に触れる前に、まず書いておかなければいけないことがある。それは、今のFLiPがこの国の音楽シーンにおいて極めて孤高の立ち位置にいることだ。アイドル・ソングやボーカロイド音楽などが若者の間で主流となっている中で、バンドのサウンド、ファッション性、そこから立ち上る反骨精神の宿ったアティチュード――それらのすべてにおいて、FLiPは実直なまでに"ロック・バンド"であり続けている。もっと言うと、"ガールズ・ロック・バンド"。彼女たちはこのアイデンティティをデビュー以来崩していない。むしろ強めていると言っていい。それは音源にも表れていて、2ndアルバム『XX emotion』において音楽的なふり幅を広げ、より大きなスケール感とキャッチーさを手に入れたのに対し、今回の『LOVE TOXiCiTY』では2ndで得たスケールの大きなポップネスは受け継ぎながらも、90年代USオルタナ~00年代USヘヴィ・ロックを基調としながら、そこにポスト・パンク・リヴァイバルを体感した世代ならではの尖ったリフとダンサブルなビート感を掛け合わせるという、初期からの彼女たちの真骨頂とも言えるFLiPサウンドを再び大胆に突き詰めている。それはきっと、彼女たちが今の時代感を敏感に感じ取っているからこそ敢えて選んだ道なのだろう。他の誰でもない、自分たちだけの道を進む。それがたとえ茨の道であろうと――『LOVE TOXiCiTY』に刻まれたそんな彼女たちの決断が間違いではなかったことは、この日のライヴを観れば明らかだった。
開演時刻を少し過ぎた頃、客電が消えステージ上にFLiPのロゴが映し出されると、会場から歓声が上がる。そしてステージ上の薄いヴェールが剥がれメンバーの姿が現れると、その感性は怒号のような大きさに変わった。ライヴは『LOVE TOXiCiTY』の2曲目「カミングアウト」からスタート。そこから初期の楽曲「It's a lie」、新作から「Tarantula」と立て続けに演奏。その他にも初期からの代表曲「ライラ」、新曲「Color Me Blood Red」、電子ドラムを使用した「Log in "Rabbit Hole"」、BLURの「Song2」を思わせるキャッチーなキラー・チューン「Dear Miss Mirror」などなど、序盤から中盤にかけてはソリッドに畳み掛けていくセットで会場を盛り上げる。重く、それでいてしなやかなグルーヴ、空気を切り裂くようなギター......高いプレイヤビリティから繰り出されるその演奏を聴いていると、いかにFLiPというバンドが真摯に音楽と向き当っているかがわかる。勢いや気合いや雰囲気だけではなく、自分たちの思いを届けるためにはどんな音を作り、どんな演奏をすべきなのか。その試行錯誤と実践が、彼女たちのサウンドには如実に現れている。さらに、今のFLiPにはそこに"自信"が加わっているような頼もしさがある。それがバンドの音により一層のアグレッシヴさを与えているように感じられた。
中盤にはSachikoが弾き語りで「a will」を披露。これが素晴らしかった。歌詞を読めば切なく、悲しさすら漂う名曲だが、この日の弾き語りの演奏には、どこか力強さと清々しさ宿っているように感じられた。SachikoがMCで語ったように、泣くためではなく笑うための歌として、そして別れの歌ではなく旅立ちの歌として、この日の「a will」は響いていたのだと思う。続いて「永遠夜~エンヤ~」、「darkish teddy bear」と、深くメロウな感触の楽曲でオーディエンスをどっぷりと引き込んだ後は、ORESKA BANDのホーン隊3人をゲストに迎えて演奏された「Bat Boy! Bay Girl!」で一気にバースト!跳ねるビートとうねるギター、そこにホーン・サウンドが乗ることで生まれる祝祭感と多幸感の凄まじさと言ったら!間違いなく、この曲がこの日最大のハイライトを刻んでいた。
そこから「ワンダーランド」~「カザーナ」~「Raspberry Rhapsody」~「カートニアゴ」~「ナガイキス」と必殺のナンバー連発で本編は終了。アンコールでは「Oh Darling!」と「Balloon Head」を、さらに鳴り止まない拍手に応えて演奏されたダブル・アンコールでは「茜」を披露。「茜」は東京では初めて演奏されたらしい。1stアルバム『未知evolution』のラストを飾る、彼女たちの地元・沖縄への郷愁とそこからの旅立ちを歌ったこの曲は、このツアーのラスト、SHIBUYA-AXで演奏されるに相応しい曲だった。ツアー・ファイナルのタイトルに"FiNAL and BEGINNING"と題されているが、何かが終わり、そして始まっていく――今回のツアーはまさに、FLiPにとって沖縄から東京へと拠点を変えた1stアルバム・リリース時以来の変化の時だったのだろう。決して世渡りが上手いわけでもなく、悩みながら、足掻きながら歩んできたであろうこれまでのFLiPの数年間と、その果てに辿り着いた『LOVE TOXiCiTY』という傑作、そしてオーディエンスとわかち合い、作り上げた何にも変えがたいこの日のAXの素晴らしい景色――この記憶があれば、この景色があれば、この先、FLiPはもっともっとデカくなるし、どこへだって行けるだろう。もちろん、まだまだこの先にはバンドの歩むべき長い長い道のりがあるのだが、ひとまず、ここに辿り着いたFLiPには心の底からおめでとうと言いたい。そういうライヴだった。
- 1
LIVE INFO
- 2025.11.07
-
YONA YONA WEEKENDERS
コレサワ
Rei
SIX LOUNGE
古墳シスターズ
あたらよ
Chimothy→
NANIMONO
超能力戦士ドリアン
崎山蒼志
ザ・シスターズハイ
MONOEYES
インナージャーニー
PompadollS
LEGO BIG MORL
androp
reGretGirl
終活クラブ
フレデリック
DOES
brainchild's
LUCKY TAPES
大橋ちっぽけ
BLUE ENCOUNT
- 2025.11.08
-
VII DAYS REASON
Mrs. GREEN APPLE
ズーカラデル
ねぐせ。
FINLANDS
フラワーカンパニーズ
NANIMONO
Rei
SCOOBIE DO
打首獄門同好会
離婚伝説
PIGGS
終活クラブ
東京スカパラダイスオーケストラ
moon drop
キュウソネコカミ
eastern youth
wacci
Cody・Lee(李)
フレデリック
osage
怒髪天
優里
ASH DA HERO
irienchy × no more
パスピエ
MONO NO AWARE / ウルフルズ / Jeremy Quartus(Nulbarich) / SIRUP ほか
向井秀徳 / the band apart / ラブリーサマーちゃん / サニーデイ・サービス / 石野卓球 ほか
ザ・シスターズハイ
藤巻亮太 / SHE'S / SOIL&"PIMP"SESSIONS / 寺中友将(KEYTALK) / CENT ほか
ビレッジマンズストア
- 2025.11.09
-
コレサワ
VII DAYS REASON
Mrs. GREEN APPLE
Laura day romance
ねぐせ。
NANIMONO
SUPER BEAVER
フラワーカンパニーズ
あたらよ
ズーカラデル
osage
FINLANDS
SCOOBIE DO
MONOEYES
SPRISE
Devil ANTHEM.
崎山蒼志
打首獄門同好会
キタニタツヤ
リュックと添い寝ごはん
LUCY
水平線
KANA-BOON
ラックライフ
暴動クラブ
東京スカパラダイスオーケストラ
chilldspot
インナージャーニー
ドミコ
森 翼
PompadollS
Appare!
キュウソネコカミ
eastern youth
Cody・Lee(李)
BLUE ENCOUNT
優里
岸田教団&THE明星ロケッツ
Rhythmic Toy World / BIGMAMA / LACCO TOWER / kobore ほか
ASIAN KUNG-FU GENERATION / SHISHAMO / 水曜日のカンパネラ / TENDRE ほか
シド
四星球 / ガガガSP / ハンブレッダーズ / ORANGE RANGE / ゴールデンボンバー ほか
Dannie May
a flood of circle
センチミリメンタル
怒髪天
- 2025.11.10
-
SUPER BEAVER
鶴
リュックと添い寝ごはん
The Gentle Flower. / kalmia / Halujio ほか
荒谷翔大
Helsinki Lambda Club
超能力戦士ドリアン
- 2025.11.11
-
PEDRO
Lucky Kilimanjaro / the paddles / Chilli Beans.
Age Factory×ジ・エンプティ
BIGMAMA
Laughing Hick
SAKANAMON
僕には通じない
Ado
- 2025.11.13
-
MONOEYES
ザ・クロマニヨンズ
PEDRO
東京スカパラダイスオーケストラ
あいみょん
YOASOBI
syrup16g × ZION
超☆社会的サンダル
さとうもか
Tempalay
キタニタツヤ
Rei
片平里菜
ドミコ
NEE
amazarashi
PENGUIN RESEARCH
Hump Back
- 2025.11.14
-
コレサワ
ENTH × SPARK!!SOUND!!SHOW!!
ポルカドットスティングレイ
SCANDAL×ハク。
CVLTE
Rei
フレデリック
WurtS
超☆社会的サンダル
NANIMONO
go!go!vanillas
FINLANDS
EASTOKLAB
フリージアン
ゴホウビ
緑黄色社会
- 2025.11.15
-
MOS
チリヌルヲワカ
SCOOBIE DO
ザ・クロマニヨンズ
the paddles
キュウソネコカミ
ぜんぶ君のせいだ。
LiSA
東京スカパラダイスオーケストラ
離婚伝説
Cody・Lee(李)
SCANDAL / 水曜日のカンパネラ / YONA YONA WEEKENDERS / Jeremy Quartus(Nulbarich) / SIRUP ほか
YOASOBI
PIGGS
eastern youth
wacci
TOKYOてふてふ
超能力戦士ドリアン
ExWHYZ
CNBLUE
SPRISE
UVERworld
meiyo
Mrs. GREEN APPLE
フレデリック
ズーカラデル
ビレッジマンズストア
WurtS
すなお
NEE
暴動クラブ
崎山蒼志
フラワーカンパニーズ
リーガルリリー
THE BACK HORN
PK shampoo / 挫・人間 / ART-SCHOOL / 忘れらんねえよ ほか
YJC LAB.
くるり
Nothing's Carved In Stone
"氣志團万博2025"
9mm Parabellum Bullet
INORAN
moon drop
PENGUIN RESEARCH
- 2025.11.16
-
SUPER BEAVER
LUCY
SCOOBIE DO
ザ・クロマニヨンズ
chilldspot
LiSA
秋野 温(鶴)
セックスマシーン!!
MOS
キュウソネコカミ
ぜんぶ君のせいだ。
Lucky Kilimanjaro
離婚伝説
YOASOBI
浪漫革命
BLUE ENCOUNT
Dios
超能力戦士ドリアン
ENTH × SPARK!!SOUND!!SHOW!!
ポルカドットスティングレイ
osage
CNBLUE
UVERworld
フラワーカンパニーズ
清 竜人25
NANIMONO
brainchild's
Cody・Lee(李)
Mrs. GREEN APPLE
Bye-Bye-Handの方程式
ザ・シスターズハイ×猫背のネイビーセゾン
eastern youth
Laura day romance
FOUR GET ME A NOTS × FILTER × THE LOCAL PINTS
ガガガSP / 打首獄門同好会 / bokula. / 日食なつこ ほか
Base Ball Bear
ぼっちぼろまる
ネクライトーキー / KANA-BOON / フレデリック / 夜の本気ダンス ほか
androp
"氣志團万博2025"
People In The Box
9mm Parabellum Bullet
wacci
- 2025.11.17
-
toe / LITE / ADABANA
SEKAI NO OWARI
- 2025.11.18
-
LITE
Rei
SCOOBIE DO
打首獄門同好会
SIGRID
さとうもか
Tempalay
THE ORAL CIGARETTES
Hump Back
SEKAI NO OWARI
森 翼
東京スカパラダイスオーケストラ
- 2025.11.19
-
あいみょん
Hakubi
ぜんぶ君のせいだ。
Hump Back
YOGEE NEW WAVES
オレンジスパイニクラブ
SIGRID
LEGO BIG MORL
Adrian Sherwood
LONGMAN
東京スカパラダイスオーケストラ
- 2025.11.20
-
Tempalay
PEDRO
Rei
moon drop
ドラマチックアラスカ
コレサワ
a flood of circle × 金属バット
キュウソネコカミ
ザ・シスターズハイ
Adrian Sherwood
VOI SQUARE CAT
私立恵比寿中学
さとうもか
ラックライフ
ザ・クロマニヨンズ
吉澤嘉代子
点染テンセイ少女。
- 2025.11.21
-
ポルカドットスティングレイ
PEDRO
SHERBETS
ドラマチックアラスカ
荒谷翔大
ザ・シスターズハイ
Adrian Sherwood
Hakubi
LONGMAN
reGretGirl
キタニタツヤ
東京スカパラダイスオーケストラ
SPRISE
Anyeed(Dyna/ego apartment)
超☆社会的サンダル
TOKYOてふてふ
TOMOO
浪漫革命
吉澤嘉代子
フレデリック
Bye-Bye-Handの方程式
FINLANDS
- 2025.11.22
-
Chimothy→
ねぐせ。
AIRFLIP
ポルカドットスティングレイ
wacci
キュウソネコカミ
ズーカラデル
NEE
the paddles
TOKYOてふてふ
LiSA
優里
BLUE ENCOUNT
moon drop
チリヌルヲワカ
ASP
Eve
miwa
Conton Candy
ストレイテナー
The Biscats
セックスマシーン!!
離婚伝説
Ado
MOS
荒谷翔大
リーガルリリー
NANIMONO
brainchild's
SUPER BEAVER
藤巻亮太
ビレッジマンズストア
PIGGS
SPRISE
アーバンギャルド
Omoinotake / クリープハイプ / Saucy Dog / マルシィ ほか
CVLTE
RADWIMPS
ガガガSP / SpecialThanks / YONA YONA WEEKENDERS / BACK LIFT ほか
フレデリック
osage
RELEASE INFO
- 2025.11.07
- 2025.11.08
- 2025.11.09
- 2025.11.10
- 2025.11.11
- 2025.11.12
- 2025.11.14
- 2025.11.17
- 2025.11.18
- 2025.11.19
- 2025.11.21
- 2025.11.22
- 2025.11.26
- 2025.12.03
- 2025.12.05
- 2025.12.10
FREE MAGAZINE

-
Cover Artists
暴動クラブ
Skream! 2025年10月号

















