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Japanese

ずっと真夜中でいいのに。

2021年10月号掲載

ずっと真夜中でいいのに。

ずっと真夜中でいいのに。

Official Site

ライター:石角 友香

ずっと真夜中でいいのに。(以下:ずとまよ)初の映像作品は、今年5月に幕張メッセで2日にわたり4公演実施された、その最終公演を完全収録したものだ。約1時間50分にわたる本作。ひと言、圧倒された。筆者は現場で当該ライヴを観ていないのだが、この映像作品は必ずしもファン必携アイテムなだけでも、現場でライヴを観られなかった人が情報を補完するためだけのものではない。ほぼノンストップで展開する本編17曲の迫力、2次元の世界観が立体化したようなセットなど、全編見どころと聴きどころに溢れているのだが、これから視聴する人のために、本作のポイントと、2021年のずとまよの現在地を探るヒントをこの映像作品から抽出してみたい。

●ACAねのフロントマン、シンガーとしての胆力
まず、今回の映像でもACAねの顔はまったく映らない。逆光に浮かぶシルエットや背後からのカット。ハイパーとゴシックとボンデージが融合したような衣装。ジャラジャラつけられたアクセサリー。見えないからこそ増す想像力。そして何より線は細いが、どんなジャンル感の楽曲でもブレないヴォーカル力に感服する。繊細なウィスパーを聴かせる「胸の煙」、轟音アンサンブルの中でも埋没しない「ヒューマノイド」、消え入りそうな声でもピッチは外れない「過眠」、地声とハイトーンを行き来する「マイノリティ脈絡」などなど。ほぼ、センターの高い場所で歌うが、ストリングス隊やペインターもフィーチャーする寸劇めいた「彷徨い酔い温度」では、フロアを煽り、逆に実験室のような左上段のスペースで歌う「ろんりねす」では、フラスコを弄びながらパフォーマンスするなど、フロントマン、エンターテイナーとしての胆力を見せつけてくれた。

●サポート・プレイヤーのレンジの広さとスキルの高さ
ACAねの表情が見えないことに反して、サポート・プレイヤーの演奏や表情が迫真のカメラ・ワークと編集で押さえられているのは、テーマ性のあるライヴにより求心力を与えている。何より音源で聴く以上に、ファンクを基盤に新世代ジャズのテイストやJ-POP感、それらをミックスしたポスト・ジャンル的な楽曲まで柔軟に消化したプレイは、大きな見どころだ。特に5弦ベースとウッド・ベースを操るベーシスト、ドラム・パッドも使うドラマーのそれはプレイヤー志向のリスナーにもぜひ観てほしい。

●オープン・リールや津軽三味線の果たす役割
ずとまよのライヴではおなじみになったオープン・リールのスクラッチや、ロック・ギターのリフ顔負けの津軽三味線は、ライヴのかなりのレパートリーで活躍するのだが、特にACAねが電子レンジをハンマーで叩く音もビートの一部と化す「機械油」で、その醍醐味と実際のサウンドやプレイを確認できる。生音ヒップホップ調の楽曲に不穏な要素を加味しているのだ。他にも前述の寸劇じみた「彷徨い酔い温度」での吉田兄弟(Open Reel Ensembleの吉田 悠、吉田 匡)の"役者風味"は、このライヴが持つ物語性にとっての狂言回しのようなアクセントにもなっている。

【期間限定】ずっと真夜中でいいのに。『機械油』(from LIVE Blu-ray CLEANING LABO「温れ落ち度」) ZUTOMAYO - Engine Oil


●ストリングスとの親和性
ストリングス・アレンジは、冒頭の「胸の煙」から単にアンサンブルのスケールを拡張するだけでなく、哀しみや切なさ、時にバイオレントな感情を表現する重要な構成要素だ。「お勉強しといてよ」では、ずとまよの持ち味であるファンクネス溢れる演奏に寄り添うアレンジが細やか。また、ストリングス・メンバーも「彷徨い酔い温度」でこのステージという"架空の街"の住人として、新聞を破る音をSE的に盛り込むなど、重要な役割を担う。

【期間限定】ずっと真夜中でいいのに。『お勉強しといてよ』(from LIVE Blu-ray CLEANING LABO「温れ落ち度」) ZUTOMAYO - STUDY ME


●重層的なセットが増幅するステージングの醍醐味
ライヴの現場にいた人はステージの全貌が見えたとき、心の中で感嘆の声を上げたと思うが、映像作品は序章となるドラム式洗濯機のカット、グラフィティを描くペインターの姿、後にACAねがぶっ叩く電子レンジ、揺れる洗濯物のカットで始まる。メンバーはずとまよのコンビニめいた"zutomayo mart"の中から登場し、去っていく。そして前述のフラスコや薬剤のようなものが並んだ左上段のスペース、ストリングス隊が居並ぶ右上段のスペース、さらにACAねの背後にはSFドラマの転送装置のような光る筒が立っている。未来的でありながら、どこかくすんだ色合いの街。それは2021年の東京のパラレル・ワールドを表現しているようにも見える。そのセットのセンターで顔を見せず、歌とアクションで存在感を示すACAねはさしずめこの街の首長だ。メンバーは全員、清掃員のような服装か、もしくは揃いの白衣のようなコート。加えてハットやキャップにマスクやバンダナで顔の大半を覆っている。"CLEANING LABO"の構成員という意味だろう。寄りのカットで衣装やセットの細部が確認できるのも、映像作品ならではの考察を深める醍醐味がある。

●MCでの決意表明、そして新曲披露
パンデミック下のライヴに来てくれたことを感謝するMC以外に、ACAねが今回のライヴで音楽表現を続けるモチベーションめいたMCをした。それは"言い切れることはないけれど、何かをけなして貶めることは嫌いだと言い切れる"ということ。その意思を音楽に落とし込む研究をさらに続けるのだ、と。そのあと、針を刺すような白いレーザーが無数に飛び交った「正義」がよりリアルに響く。また、アンコールで披露した新曲「あいつら全員同窓会」に滲む、狭いコミュニティが持つ欺瞞に叩きつける拒絶は、先のMCから繋がるメッセージとして強く聴き手を揺さぶった。果たして"CLEANING LABO「温れ落ち度」"とはなんだったのか――汚れを落とすというのはひとつのメタファーだろう。ネットで発見され、ネットで共感する共同制作者を発見し、ファン同士がネット上で議論し、愛のあるファンアートがアップされる。ACAねはリアルな社会以上に汚れてしまったネット社会に怒りがあるはずだ。前向きな復讐の凱歌、もしくは自分たちの未来を再定義するための物語。魂を削って楽しむACAねたちの表現は本作を通じてもっと遠くまで届くだろう。

【期間限定】ずっと真夜中でいいのに。『正義』(from やきやきヤンキーツアー@東京ガーデンシアター2020.11.29) ZUTOMAYO - Seigi


なお、ずとまよは次のチャプターである"果羅火羅武~TOUR"を11月からスタートさせる。



ずっと真夜中でいいのに。『LIVE Blu-ray CLEANING LABO「温れ落ち度」』 Trailer (ZUTOMAYO - CLEANING LABO NUCLEOTIDE)


▼リリース情報
ずっと真夜中でいいのに。
ライヴ映像作品
『LIVE Blu-ray CLEANING LABO「温れ落ち度」』
2021.09.29 ON SALE


【初回限定盤(Blu-ray2枚組)】
amazon TOWER RECORDS HMV
UPXH-29051/2/¥8,800(税込)
※魔導書パッケージ仕様(色:クリーニングホワイト)

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【通常盤(Blu-ray1枚組)】
amazon TOWER RECORDS HMV
UPXH-20106/¥4,950(税込)

※初回限定盤、通常盤共通
特別副音声にて"ACAね ライブ反省会 ソロ"付き
プレイパス®対応

[収録内容]
"CLEANING LABO「温れ落ち度」@幕張メッセ幕張イベントホール2021.5.16" ※初回限定盤/通常盤共通

1. 胸の煙
2. お勉強しといてよ
3. 勘冴えて悔しいわ
4. ヒューマノイド
5. はゔぁ
6. 繰り返す収穫
7. 機械油
8. 彷徨い酔い温度
9. 勘ぐれい
10. 過眠
11. ろんりねす
12. 眩しいDNAだけ
13. 暗く黒く
14. 秒針を噛む
15. マイノリティ脈絡
16. 正義
17. 正しくなれない
encore
EN1. 奥底に眠るルーツ
EN2. あいつら全員同窓会
EN3. MILABO

"やきやきヤンキーツアー(炙りと燻製編)@東京ガーデンシアター2020.11.29" ※初回限定盤のみ

1. JK BOMBER
2. こんなこと騒動
3. 勘冴えて悔しいわ
4. 低血ボルト
5. マイノリティ脈絡
6. 勘ぐれい
7. マリンブルーの庭園
8. 雲丹と栗
9. Ham
10. サターン
11. MILABO
12. Dear Mr「F」
13. 眩しいDNAだけ
14. 秒針を噛む
15. 正義
16. 脳裏上のクラッカー
encore
EN1. 暗く黒く
EN2. 正しくなれない
EN3. お勉強しといてよ
予約はこちら


MAPPA『10th Anniversary Movie』コラボ楽曲
「ばかじゃないのに」
ZTMY_baka_H1.jpg
NOW ON SALE
配信はこちら

配信リリース
「あいつら全員同窓会」
NOW ON SALE

▼ツアー情報
karakaraboo_tour.jpg
"果羅火羅武〜TOUR"
2021年11月3日(水・祝)埼玉 和光市民文化センター サンアゼリア 大ホール
2021年11月5日(金)長野 長野県ホクト文化ホール・大ホール
2021年11月13日(土)石川 本多の森ホール
2021年11月21日(日)鹿児島 川商ホール第一ホール
2021年11月24日(水)福岡 福岡市民会館
2021年11月25日(木)福岡 福岡市民会館
2021年11月27日(土)香川 サンポートホール高松
2021年12月5日(日)神奈川 よこすか芸術劇場
2021年12月11日(土)千葉 千葉県文化会館
2021年12月12日(日)宮城 仙台銀行ホール イズミティ21
2021年12月18日(土)広島 上野学園ホール
2021年12月19日(日)山口 下関市民会館 大ホール
2021年12月22日(水)北海道 カナモトホール
2021年12月23日(木)北海道 カナモトホール
2022年1月16日(日)群馬 ベイシア文化ホール 大ホール(群馬県民会館)
2022年1月21日(金)東京 J:COMホール八王子
2022年1月26日(水)大阪 フェスティバルホール
2022年1月27日(木)大阪 フェスティバルホール
2022年1月30日(日)静岡 静岡市民文化会館 大ホール
2022年2月8日(火)愛知 センチュリーホール
2022年2月9日(水)愛知 センチュリーホール
[チケット]
指定席 ¥8,000(税込)
※政府のガイドラインに基づいた、会場収容人数で実施を予定しております。
※今後、政府の新型コロナウイルス感染症予防対策のガイドラインに準じて、会場の定員数等、変更がある場合がございます。都度、更新される政府のガイドラインに準じて実施いたします。
セブンイレブン先行:9月25日(土)11:00~9月29日(水)23:59
チケットはこちら
プレリザーブ(チケットぴあ)先行:10月2日(土)11:00~10月10日(日)23:59
チケットはこちら
詳細はこちら

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