THE BEACHES ヒサシ the KID の「世界は常夏。」 【第5回】
2010年03月号掲載
【第五回】「海開き」
2010 年、世界は常夏。
いよいよ2010年代が幕を明けた。もう3月だけど明けましておめでとうございます。
2010年代、最初に買ったCDが2枚ある。
THESE NEW PURITANS『Hidden』とVAMPIRE WEEKEND『Contra』。
前回の原稿で2008年の2枚としてあげたこの2バンドのセカンド・アルバムが年明け早々同じ日に発売された。発売日に買って、2枚立て続けに聞いた。最初の印象はどちらも同じような進化を遂げたように感じた。ファーストで印象づけたそれぞれの個性はそのままにより洗練されたサウンドへ。そんな印象だったのが何度か聞いていくうちに変わってきた。
THESE NEW PURITANS はファースト・アルバムではファースト・アルバムらしいヘタクソな荒々しいギターリフがフューチャーされている曲が多い。が、実はそのサウンドはもの凄く凝った作りになっていて完成度も高い。セカンド・アルバムはヘタクソギターに変わってストリングスをフューチャーする事でファーストでも存分に味わう事が出来た独特のリズムがより浮き彫りになっている。ストリングスを入れるためにそれまで書けなかった譜面の勉強までしたらしい。ただ何度か聴いてくうちに、それはわざわざ自分で譜面まで書いてやる必要があったのかという弦の重ねかたとメロディーに笑えてくる。元々ダークな世界感のこのバンド。ギターとストリングスが入れ替わった事で最初は凄く荘厳なイメージに聞こえたアルバムだったのが、聴けば聴くほど可愛いアルバムに聞こえてきた。
「どう?俺達凄くなったでしょ?」って感じでとにかく可愛い。結果、ロックミュージック以外の影響の方が大きいのにロックバンドな佇まいで演奏されていたファーストの方が個性が際立っていたのかもしれない。セカンド・アルバムで陥りがちな罠にまんまとハマってしまったアルバムなのかもしれない。でもとにかく可愛い、このバンド。
そしてもう1枚のVAMPIRE WEEKEND『Contra』はなんと発売週にビルボードチャートの1位を獲得したらしい。凄い。ファーストでは宅録感バリバリのチープな音で演奏もヘロヘロ。だけどなのか、だからなのか、ファースト・アルバムはこうであって欲しいキラキラ感が抜群に良かった。
THESE NEW PURITANSと同じようにロックミュージック以外からの影響も大きいこのバンド。THESE NEW PURITANSがその本質を見せつけようとしたのに対して、ますます色々なジャンルを食ってそんな事はもう当たり前なんだっていう態度なのがこのセカンド・アルバムなのかもしれない。実際にこのアルバムではそんな事は二の次なのだ。これがポップミュージック。それをチャートでも証明してみせた。
これだけ個々の趣味やジャンルやシーンが細分化された中でどこにも属さないような音楽が1位を取るって凄い。2年前にアメリカツアーをした時に、遊びに来てくれたキッズがアメリカの好きなバンド誰だ?って聞くから「VAMPIRE WEEKEND」って答えたら「知らない・・・」って言ってたけど、あのキッズにももう届いているはずだ。アメリカってたまにこういう事が起こるからうらやましい。ちゃんとグッドミュージックが1位を取るっていう出来事が。日本でそういう経験をした記憶はまだ俺には一度もない。それがどれだけうらやましい事かこの俺の連載を一回目から全部読み返してもらえればわかると思う。読み返してもらわなくてもわかるか。もちろん俺もやるからにはそんな音楽を目指してるし、そんな音楽が周りにもっとあって欲しいし、それが出来れば日本でも売れて欲しいからだ。
10年代、最初に買った2枚が素晴らしかったので(THESE NEW PURITANSだって良かったんだよ)この2枚で10年代を占おうとか1ミリくらいは思いながら書き出したけど絶対無理だわ。たぶんこの『Contra』というアルバムもこれから始まる10年の指針になるようなアルバムではないと思う。きっと思いもよらない角度からサクッと景色を変えてくれるアルバムがアーティストがこの1、2年で登場するだろうし、そうあって欲しい。
「そういえばなんとかKIDがやってるビーチズとかいうバンドいたよね」って言われないように俺もがんばろう。つうかビーチズっていいんだからちゃんと聴けよ、このクソったれ!って感じで今年はキレてこうかな。
さあ、新しい時代の音楽を楽しもうよ、みんな!
THE BEACHES ヒサシ the KID
【THE BEACHES ライヴ情報】
■ 3/13 ■
新宿MARZ / Motion / Marble 『EMPIRE FESTIVAL』
■ 3/20 ■
渋谷LUSH 『uhnellys「BE BO DA」release tour final!!!!!!』
■ 3/27 ■
京都livehouse nano 『mogran’BAR 6th anniversary special!feat.THE BEACHES』
■ 3/27 ■
心斎橋FAN-J twice『【MUSicK vol.7 】‐1st Anniversary Special‐』
■ 4/4 ■
下北沢CLUB Que 『HARISS presents DEAD MAN’S CURVE vol.1』
■ 4/9 ■
京都METRO 『KUMARU RECORDS『KUMARU EXPO 2010』&『AGYOU』W RELEASE PARTY』
■ 4/24 ■
中野MOON STEP 『FIGHT FOR RIGHTS vol.42』
Related Column
- 2010.09.01 Updated
- THE BEACHES ヒサシ the KID の「世界は常夏。」 【第8回】
- 2010.07.01 Updated
- THE BEACHES ヒサシ the KID の「世界は常夏。」 【第7回】
- 2010.05.01 Updated
- THE BEACHES ヒサシ the KID の「世界は常夏。」 【第6回】
- 2010.03.01 Updated
- THE BEACHES ヒサシ the KID の「世界は常夏。」 【第5回】
- 2010.01.01 Updated
- THE BEACHES ヒサシ the KID の「世界は常夏。」 【第4回】
- 2009.11.01 Updated
- THE BEACHES ヒサシ the KID の「世界は常夏。」 【第3回】
- 2009.09.01 Updated
- THE BEACHES ヒサシ the KID の「世界は常夏。」【第2回】
- 2009.07.01 Updated
- THE BEACHES ヒサシ the KID の「世界は常夏。」 【第1回】
LIVE INFO
- 2025.12.15
-
MONOEYES
Kroi
GODSPEED YOU! BLACK EMPEROR
anewhite
山田将司(THE BACK HORN)/ 大木伸夫(ACIDMAN)/ 内澤崇仁(androp)/ 村松 拓(Nothing's Carved In Stone) ほか
TOOBOE
Mrs. GREEN APPLE
Hump Back
- 2025.12.16
-
くるり
SPARK!!SOUND!!SHOW!!
優里
YOURNESS
GANG PARADE
ザ・クロマニヨンズ
GODSPEED YOU! BLACK EMPEROR
Mrs. GREEN APPLE
- 2025.12.18
-
桃色ドロシー
あいみょん
くるり
Nikoん
東京初期衝動
The Ravens
リーガルリリー
ザ・クロマニヨンズ
点染テンセイ少女。
渡會将士
高岩 遼
カメレオン・ライム・ウーピーパイ
Homecomings
PompadollS
- 2025.12.19
-
(sic)boy
Helsinki Lambda Club
桃色ドロシー
ガラスの靴は落とさない
Nikoん
flumpool
吉井和哉
東京初期衝動
LiSA
BIGMAMA / THE BOYS&GIRLS / KALMA / オレンジスパイニクラブ / ハク。
SHERBETS
VII DAYS REASON
キノコホテル
羊文学
僕には通じない
Mrs. GREEN APPLE
BLUE ENCOUNT
- 2025.12.20
-
NANIMONO
PENGUIN RESEARCH
LACCO TOWER
RADWIMPS
ポルカドットスティングレイ
ぜんぶ君のせいだ。
The Cheserasera
flumpool
ハシリコミーズ
ZOCX
クジラ夜の街
ExWHYZ
浪漫革命
mudy on the 昨晩
"MERRY ROCK PARADE 2025"
ザ・クロマニヨンズ
Awesome City Club
SPECIAL OTHERS
LUCY
アイナ・ジ・エンド
め組
ACIDMAN
UVERworld
パピプペポは難しい
eastern youth
Mrs. GREEN APPLE
優里
- 2025.12.21
-
NANIMONO
The Biscats
桃色ドロシー
クジラ夜の街
RADWIMPS
LACCO TOWER
NEE
東京スカパラダイスオーケストラ
GLIM SPANKY
フラワーカンパニーズ
MOSHIMO
DURAN
(sic)boy
"MERRY ROCK PARADE 2025"
VII DAYS REASON
ザ・クロマニヨンズ
LiSA
Appare!
Newspeak
齋藤知輝(Academic BANANA)
Keishi Tanaka
鶴
清 竜人25
MONOEYES
暴動クラブ
UVERworld
OKAMOTO'S
優里
- 2025.12.22
-
DOES
東京スカパラダイスオーケストラ
フラワーカンパニーズ
Kroi
FINLANDS
アーバンギャルド × 氣志團
あいみょん
- 2025.12.26
-
(sic)boy
"FM802 ROCK FESTIVAL RADIO CRAZY 2025"
水曜日のカンパネラ
TOMOO
ポップしなないで
ビレッジマンズストア / 忘れらんねえよ / 3markets[ ] / Cloudy ほか
坂本慎太郎
インナージャーニー
LACCO TOWER
UVERworld
RADWIMPS
RAY
- 2025.12.27
-
優里
東京スカパラダイスオーケストラ
MOS
"FM802 ROCK FESTIVAL RADIO CRAZY 2025"
ハシリコミーズ
Mirror,Mirror
ザ・クロマニヨンズ
LEGO BIG MORL
神聖かまってちゃん
the band apart × FRONTIER BACKYARD × ASPARAGUS
"COUNTDOWN JAPAN 25/26"
ExWHYZ
Appare!
RADWIMPS
凛として時雨
- 2025.12.28
-
優里
水曜日のカンパネラ
MONO NO AWARE
LEGO BIG MORL
柄須賀 皇司(the paddles)
"FM802 ROCK FESTIVAL RADIO CRAZY 2025"
KenKen
SPRISE
Nikoん
ザ・クロマニヨンズ
"COUNTDOWN JAPAN 25/26"
(sic)boy
YONA YONA WEEKENDERS
DJ後藤まりこ × クリトリック・リス
吉井和哉
Plastic Tree
RELEASE INFO
- 2025.12.17
- 2025.12.19
- 2025.12.20
- 2025.12.21
- 2025.12.22
- 2025.12.24
- 2025.12.26
- 2025.12.27
- 2025.12.29
- 2026.01.01
- 2026.01.04
- 2026.01.06
- 2026.01.07
- 2026.01.09
- 2026.01.11
- 2026.01.12
FREE MAGAZINE

-
Cover Artists
ZOCX
Skream! 2025年12月号








