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LIVE REPORT

Japanese

CIVILIAN

Skream! マガジン 2018年02月号掲載

CIVILIAN(ex-Lyu:Lyu)

Official Site

2017.12.21 @LIQUIDROOM ebisu

沖 さやこ

2016年7月にバンド名を変え、5枚目のシングル『赫色-akairo-』とメジャー1stアルバム『eve』をリリースしたCIVILIAN。彼らは、観客と歩み寄りながら少しずつ自分たちの目指す新しい世界を確立してきた。今回のツアーは、CIVILIAN史上最大規模の全国ツアー。ツアー・ファイナルはLyu:Lyu時代にリリースした『君と僕と世界の心的ジスキネジア』から約4年9ヶ月間の変化や歴史を凝縮したステージだった。

序盤は「一般生命論」や「愛 / 憎」などメジャー・デビュー後に世に出したハードな楽曲を畳み掛ける。安定感のある演奏に加え、曲間で挟み込むコヤマヒデカズ(Vo/Gt)のMCも演出のひとつとして存在し、スマートにライヴは進んでいった。ダンス・ナンバー「どうでもいい歌」からシンプルなアレンジが温もりと切なさを作り出す「AM4:00のノック」の緩急も効果的に響く。「ハロ/ハワユ」では雨が降る映像のプロジェクション・マッピングが施され、純市(Ba)と有田清幸(Dr)が客席にクラップを煽ると、コーラスの同期音とともにシンガロングやクラップが沸いた。コヤマだけの音楽がバンドのものに、そしてリスナーのものになっていることが明確に表れたワンシーン。CIVILIANという名義に説得力が生まれる一幕でもあった。

全8公演のワンマン・ツアー。1本終えるたびに改善点を見直し"ここをこうしたらもっと感動してくれるだろうか......と考えて、みんなにひとつでもいいものを届けようという気持ちでこの日を迎えた"と語るコヤマは、このLIQUIDROOMにすべて出し切るつもりでいると宣言する。"京王線に乗っているとき、僕はいつもこんなことを考えていました"という彼の台詞に駅の雑踏のSEが重なり「文学少年の憂鬱」へ。どこか一歩引いて淡々とした演奏は、諦めと打破したい気持ちの両方がない交ぜになった心情を克明に描く。同期やSEなどを多用し楽曲の世界観を重視したステージングは、バンドのリアリティを見せつけるというより、バンドの描くストーリーの中に観客を誘うようだった。軽快な「自室内復讐論」、8ビートが心地よい「あなたのこと」など、3人は曲の良さが引き立つ演奏と歌唱に従事する。

リズム隊のMCのあとは後半戦。「赫色-akairo-」では攻撃を仕掛けるようなひりついたサウンドスケープで圧倒し、「ぜんぶあんたのせい」はフロアの天井に散りばめられた照明も鮮やかに点滅する。曲の爆発力を助長する華やかさに、観客も身を委ねた。その勢いのまま続いた「生者ノ行進」はこの日のクライマックスのひとつ。メンバー全員が思考を吹っ飛ばして全速力で走り抜けるような爽快感と、そこに重なる観客のシンガロングとクラップ――この場にいる全員が心の底から高揚していた。コヤマは間奏で笑顔を見せ、目を瞑り観客の声を聴き入る様子からも全身で喜びを感じていることが窺える。"俺ら3人にとってとても大切な曲"、"この曲を作って本当に良かった"と晴れやかな表情で語るコヤマの姿を見て、改めてLyu:LyuがCIVILIANになる必然性と必要性を感じた。それは気持ちを吐き出すというよりは、過去の自分たちへのエールやリスペクトを捧げるように演奏された「メシア」も同様である。痛烈さよりも優しさが前に出た音像は、LIQUIDROOMをまるごと包み込む大きい力を持っていた。コヤマはLyu:Lyu時代の葛藤などを語ると"『eve』はもがいてきた俺たちの血と汗の結晶"だと話す。本編ラストの「明日もし晴れたら」はバンドのナチュラルな姿が反映された演奏。完全に音楽の中に入り込んだ状態の人間にしか出せない力強さと優しさが、とても美しかった。

アンコールでは"試行錯誤して辿り着いたツアーだった"、"いまやっとツアーを通して、バンドの中に流れている血液が正しく循環し始めているような気がしている"と話し、これからもっと成長できるという手応えを興奮気味に語ったあとに、自分たちの歩みに関わった人々すべてに感謝を告げた。CIVILIANになってからの3人はCIVILIANとしての強みを高めてきたのだろう。ここにLyu:Lyuとしての強みが加わった楽曲は、過去最高に大きなものになるのではないか。「ディストーテッド・アガペー」、「暁」というLyu:Lyu時代のでもキーとなっていた楽曲を演奏するCIVILIANを観ていて、そんな想像が膨らんだ。

興奮冷めやらぬ観客はWアンコールを求め続け、その声にメンバーも急遽ステージに登場。"やり切ったんだけど"と笑い、求めてくれることに感謝するコヤマは"何もわかってなくてがむしゃらにジャムって、最初に3人で作り上げた曲を最後にバン! とやって終わろうと思います"と言い、3人は最後に「空-カラ-」を届けた。2時間を超えるこのワンマン・ツアー・ファイナルは、CIVILIANの新たな、そして大きな分岐点になったと言っていいだろう。



[Setlist]
1. 一般生命論
2. 残り物の羊
3. 愛 / 憎
4. どうでもいい歌
5. AM4:00 のノック
6. ハロ/ハワユ
7. 文学少年の憂鬱
8. 自室内復讐論
9. あなたのこと
10. 言わなきゃいけない事
11. 赫色-akairo-
12. ぜんぶあんたのせい
13. デッドマンズメランコリア
14. 生者ノ行進
15. 3331
16. メシア
17. 顔
18. 明日もし晴れたら
en1. ディストーテッド・アガペー
en2. 暁
wen. 空-カラ-