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INTERVIEW

Japanese

EARNIE FROGs

2017年04月号掲載

EARNIE FROGs

Member:三木 正明(Gt/Vo) おがた(Ba/Vo) テラオ(Gt/Cho) ゆかちん(Dr/Cho)

Interviewer:秦 理絵

-おがたさんはどうですか? もうひとりのソングライターとして。

おがた:私の場合は1曲だけ引っ掛かるワードが出てくると、そこから動けなくなっちゃったりしましたね。「灰色の街」(Track.10)の歌詞に"迷いを見つけた"っていうのが出てくるんです。これが最初は"課題を見つけた"だったんですよ。自分の中で、"人のことをあんまり大事にできない"だとか、人間として欠けてる部分があって、それが生きるうえでは課題だなと思ってて。でも、それを"課題"っていう、こなしていくようなニュアンスのワードでまとめていいのか? って。代わりの言葉を1ヶ月ぐらいずーっと悩みました。外に出ているときとかも、"課題じゃないなぁ"って考えたりしてて(笑)。

三木:"迷い"になって、良くなったよね。

おがた:もともと、ちゃんみき(三木)には仮の歌詞を渡してたんですけど、歌入れの当日に"迷い"に書き直したやつを渡したんです。まだ、あんまり歌い込みをしてないから、多少歌詞が変わってもわからないかなと思ったんですけど。

三木:いや、わかるわ(笑)。「灰色の街」が個人的には好きなんですよ。

-アルバムの後半に向けて、それまでの雰囲気をガラリと変えるバラードですね。

三木:もちろん曲を聴いてもらうと、僕が歌ってるので僕の歌っぽく聴こえるんですけど、バンドに持ってきたときはおがたが歌ってるから、最初のイメージは"おがたの歌"っていう感じがあったんです。でも自分が歌うときに、すごく気持ちが入っていきましたね。

ゆかちん:できた曲を聴いて、正直"ちゃんみきが歌うんかい?"と思ったもん。オガちゃん(おがた)の声でくるのかと思ってたら、"あれ? 違う"と思って。

テラオ:俺も思った。

おがた:普通に歌うだけだったらこの曲の低いキーも出るんですけど、ライヴで歌うってなると、一応、私も女性の声なので(笑)、バンド・サウンドに混ざると抜けていかないんですよね。だから、私が歌わない方がいいのかなって。

三木:おがたの歌のような、でも、僕の歌でもあるような、大事な曲になりました。

前回のインタビュー(※2016年11月号掲載)でこのバンドにつけた見出しが、"僕らはいろんな人に「悩まなくてもいいことを悩んでる」って言われ続けてる"だったんですよ。

三木:あぁ、そうだー!

-EARNIE FROGsは迷いのバンドですから。

ゆかちん:迷ってますね、いつも(笑)。

-だから「灰色の街」は、すごくこのバンドっぽいなと思いました。

三木:そうですね。僕、この曲を聴いたとき、泣いたもん。おがたの歌で。

おがた:それは知らなかった。

-でも、EARNIE FROGsは迷いのバンドなんですけど、その迷いの先に行こうとしてるのが、今回のアルバムなんじゃないかと思うんですよね。

三木:よくぞ気がついてくれました(笑)。前作のころから、変わっていく自分たち、動いていく自分たち、向かっていく自分たちみたいなのをすごく感じてるんです。今回は、それをもっと能動的に音楽として表せないかなっていう挑戦をした1枚なんです。もともとの自分たちから考えると、すごく遠くまで行けるような曲になってて。特に歌詞はすげぇ悩んだんですけど、人に届けたいっていう気持ちもありながら、書く自分が救われたいっていうのがあって。12曲をパッと聴いた感覚としては、いろんな曲があって、もしかしたら戸惑うこともあるかもしれないですけど、そこには確かな自分たちがいるんです。

テラオ:楽器目線でも同じことが起こってるんですよ。今回のギターは95パーセントぐらい僕が弾いてるんですけど。"いろんなことをやったれ!"みたいな曲が集まっていくなかで、その曲に向かうのは、自分ひとりなんです。だから、空っぽになるぐらい出せるものを出し尽くしたけど、それが結局、自分自身でしかなかったというか。変に自分たちらしさを追っかけなくても、何をやっててもEARNIE FROGsの音になるんだなっていうのは思いましたね。

三木:本当にそうだね。枠を外そうとはしたんだけど、自分の中からは超えることができなかった、みたいなところがあったんですよね。


いままではマイナスからプラスを見てたけど、だいぶゼロに近づいた状態からプラスを見てるような感じがする


-最近はセッションで曲を作るようになったって言ってましたけど、アルバムを通して、今回もそういう作り方が多かったんですか?

三木:うーん......すべてではないですね。セッションの方が早いし、楽しい感じの曲になるんですよ。そのときの自分たちの気持ちがちゃんと曲になるというか。そういう意味で、セッションの曲の方が華やかだったり、キャッチーだったりするんですけど、音楽ってそれがすべてではないじゃないですか。そういう意味では、楽曲の枠を作って、ドラム、ベースを録って、最後にガッチャンコする作り方をした曲もすごく良かったなと思うんです。

-どちらのやり方もできるようになってるんですね。

三木:そうですね。「Step Sound」とかは、テラさん(テラオ)がベースとドラムの打ち込みで、ほとんど全部作った曲だったりしますし。

テラオ:「Step Sound」はアイドルに楽曲提供をするとしたらっていうイメージで書いたんですよ。そしたら、(三木が)すごくいい歌をつけてくれて。

三木:オケを聴いたときに、あ、こんな感じの歌がいいな、ここは数字で言葉遊びだなっていうのがすぐに思いついたんですよね。で、俺が歌いたいわってなって。

テラオ:すぐにできたよね。