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INTERVIEW

Japanese

ユビキタス

2017年01月号掲載

ユビキタス

メンバー:ヤスキ(Vo/Gt) ニケ(Ba) ヒロキ(Dr)

インタビュアー:沖 さやこ

2016年11月に3rdミニ・アルバム『孤独な夜とシンフォニー』をリリースしたばかりの3ピース・バンド、ユビキタスが、約2ヶ月というインターバルで4thミニ・アルバム『ジレンマとカタルシス』を完成させた。それぞれのアルバムで"夜"と"昼"というテーマが設けられている、というコンセプチュアルな面を持たせつつも、根本にあるのはメンバー3人による純粋な音楽愛だった。1年間で2枚のミニ・アルバムを作り上げたバンドは、かなりいいモードにあるようだ。

-2016年11月にリリースされた1年ぶりの作品となる3rdミニ・アルバム『孤独な夜とシンフォニー』から、たった2ヶ月のインターバルで4thミニ・アルバム『ジレンマとカタルシス』がリリースされるとは。驚きました。

ヤスキ:2015年の11月に1stフル・アルバム『記憶の中と三秒の選択』をリリースして、約1年の制作期間をいただけて。"次のステップとして自分たちがどういう表現をしていけるかな?"と考えたときに2枚のミニ・アルバムというところに辿り着いて、メンバー間で話し合ってそれぞれのテーマを"昼"と"夜"にしたいなと。ミニ・アルバムは小説でいう短編集みたいなイメージがあって好きなんですよね。......制作は大変でした(笑)! けど楽しかったです。

-ライヴと並行させながらの制作だったんですよね。

ヤスキ:もともと曲はあったんですけど、『孤独な夜とシンフォニー』の制作もギリギリになって。やっぱりライヴをやるたびにメンバーの価値観が変わっていって、それによってだんだん曲も変わっていって。

ヒロキ:ずっとお客さんを突き放すようなライヴをしていたイメージがあって。でもライヴを重ねていくうちに巻き込みたくなってきたんです。だからバンド・サウンド+お客さんの熱量でその日を楽しくさせていくようになってるんちゃうかな。

ヤスキ:『孤独な夜とシンフォニー』も『ジレンマとカタルシス』もレコーディングの1週間前までバタバタしてました。『ジレンマとカタルシス』に収録されている「カタルシス」(Track.7)は、歌詞が上がったのがレコーディングの2日前でした(笑)。


音楽が敵になることはないから、音楽を信じてほしい


-『記憶の中と三秒の選択』のときは方向性に悩んだ場面もあったとインタビューでおっしゃっていましたが、今回の2作はいかがでしょう?

ヤスキ:今回はテーマを決めたのが大きくて。『孤独な夜とシンフォニー』は結構自由に夜をイメージして書いたんですけど、そのあと昼をイメージして作る......ってなったときに、自分の中にあまり昼の要素がなかったんですよね(笑)。

-ははは(笑)。たしかに昔からヤスキさんは夜の曲が多い。

ヤスキ:それで"どうしよう!?"となったときに、もともと入れるつもりやった曲を全部なくして書き直したりして(精神的に)落ちた時期があったんですけど。そのときに「ジレンマ」(Track.1)ができて、「R」(Track.6)と「カタルシス」ができあがって。そこに制作期間中に作った「10」(Track.3)と「スモールワールド」(Track.4)を入れた、という感じですね。結構こだわって、録り方も前とちょっと変えたりして。今回の作品はイヤフォンとかで聴いて目をつぶったら、目の前で鳴っているような感覚になるくらいの立体感はありますよね。

-そうですね。『孤独な夜とシンフォニー』は音楽的に新しい挑戦が、『ジレンマとカタルシス』はバンドのパワーを感じられる作品だと思います。

ヤスキ:『孤独な夜とシンフォニー』の「サカナ」は喋ってますからね(笑)。斉藤和義さんとかがやってはる感じの(アプローチ)を、僕も音楽を始めたときから"ああいうのをいつかはやりたい!"と思ってたんです。スタジオでジャム・セッションをしていたときに出てきたのがギターのフレーズで、それにテンション上がったヒロキが"それで1曲作ってみ!"と言ってくれて。"こういう反応で生まれそうな曲なら僕自身も遊ばないと"と思って、メロディというよりは言葉を詰めていく――というやったことがないことに挑戦できました。

-音楽で遊べるようになってきたんですね。

ヤスキ:1年の期間をいただいて、いい意味でわがままになれてる気はします。この2作品を作る前に"ユビキタスってなんなんやろ?"と考えていても答えが出ない時期が続いていて。今の時点(※取材日は12月9日)で『ジレンマとカタルシス』の曲では「カタルシス」だけをライヴで演奏してるんですけど、"カタルシス"という言葉には"精神の解放"という意味があって、ライヴハウスに来ている人たちがしんどい選択を迫られても踏ん張って生きてこれたのは、ライヴハウスや音楽があるからというのもひとつの理由じゃないかと思って――本当に純粋で当たり前のことなんですけど、音楽が敵になることはないから、音楽を信じてほしいと思うんです。この2枚を作るのはすごく大変で、できあがったときにひとつ超えられた感覚がすごくあって。めっちゃ普通の、あえて言わないようなことを言えるのは、いま僕に自信があるからこそやと思う。

-「ジレンマ」から「R」と「カタルシス」で徐々にいろんなものを取り戻し、そのあともその流れが続いている。

ヤスキ:はい。最近ちょっと良うなってきたんです(笑)。

-それは何より。「カタルシス」が生まれて良かったですね。

ヤスキ:「カタルシス」は僕にとってのグッド・メロディで、これがいいと言われへんかったら何作っていいかわからへんというところまで行きました。もともと僕がリード曲のつもりで作っていたのが「ジレンマ」と「君の居場所」(Track.2)やったんです。僕は自信満々やったんですけど、メンバーから"どっちも違う"と言われて落ち込んで(笑)。

ヒロキ:僕は歌詞ができあがるまで聴かへんから、サウンドやメロディの感じを重視するので、「ジレンマ」と「君の居場所」が上がってきたときは"......うん"みたいな感じやったんです。

ヤスキ:『孤独な夜とシンフォニー』のリード曲「イナズマ」も、『ジレンマとカタルシス』のリード曲「カタルシス」も、持っていった時点でOKやなという感触がありました。メンバー全員が"いい"と思った曲は勝手に完成するので、そういう曲が出てくるまで曲作りをせなあかん。レコーディングの日程が決まったのに曲がないという状況に、初めて"音楽怖いな"と思いました。そこに1回入っちゃって焦ったんですけど、マンパワーでなんとか脱出できたというか(笑)。