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INTERVIEW

Japanese

ASH DA HERO

 

ASH DA HERO

-"ブルーロック"という漫画も、ASH DA HEROというバンドも、何かをひっくり返してやろうって意思が根底にあると思っていて。「Judgement」は、そこがきれいにシンクロした結果なのかなと思うんですけど、原作を読んでいてそういった共感というか、わかるなぁみたいなところも多いんですか?

ASH:僕は連載が始まった当初から毎週読んでるんですけど、1話目で一気に胸ぐらを掴まれた気分になったというか。きっとこれは僕らだけの話じゃなくて、たぶん、現代を生きている人たちみんな、"予定調和ぶっ壊してぇ"ってどこかで思っているんじゃないかなと思うんですよ。"ブルーロック"は、まさしく予定調和を壊すというか、よくあるサッカー漫画なんか全部蹴散らしてやるよっていう、漫画としてのエゴイズムがバコーン! って来たし、僕らもロック・バンドはこうあるべきとか、ロックはこんなものだってステレオタイプとは違うというか。もちろんそういったロック・バンド然としたものも、それはそれでかっこいいと思うんですよ。たとえステレオタイプと呼ばれようが、"俺らはロックンロールの伝統を引き継いでるから"っていうのも、かっこいいと思うんですけど、僕が魅力を感じたロックンロールは、常に型を破ってきた人たちで。SEX PISTOLSにしてもそうだし、パンク・バンドなのにグラミー賞を獲っちゃうGREEN DAYとか、そういうところにときめきを感じているんです。型破り感とか、予定調和クソくらえだぜみたいな、自分の根底にある気持ちを引きずり出してもらえるし、僕らの音楽も、もしかしたらそういうところがあるのかなと思うので、そこの親和性が高くて惹かれ合った感じはあったかもしれないですね。

昨年のZepp DiverCity(TOKYO)でのワンマン([ASH DA HERO LIVE TOUR 2022 "Genesis"])を拝見させていただいたんですが、ASHさんが、ロック・バンドは時代じゃない、この時代で俺たちが太陽よりも輝いてやるという発言をされていましたよね。そういうところともすごく重なるというか。

ASH:"ブルーロック"って、ある種サッカー界の常識を覆してぶっ壊しちゃってる気もしていて。"日本にはストライカーがいないから勝てねぇんだろ?"って、めっちゃ極論言うやん! みたいな(笑)。"いや、それだけじゃないと思うよ?"って。頭でっかちの人、特に大人はそう言いがちだから、子供たちは"あ、そういうことか。じゃあ俺フォワードやるわ"とか、"ドリブルの練習してたけど、もっとシュートを磨かなきゃいけないんだ"とか、ストレートに受け止めているんですよ。でも実際に"ブルーロック"を観た子供たちが、俺らが子供の頃じゃ信じられんようなプレイをしているところを、その子たちのお父さんとかお母さんが、我々の「Judgement」を使ってTikTokとかインスタのリールとかにあげている動画が、いろんなところで観られて。

-めちゃめちゃ素敵ですね。

ASH:僕はありがたいことにサッカー番組("FOOTBALL LYRIC")をやらせてもらっているんですけど、現役の選手の方とか元日本代表の選手の方とか、いろんな方が"『ブルーロック』すごいよね?"って。現役の選手とか、刺激を受けまくっているみたいなんですよ。それはあの作品が持っているエゴイズムの部分があるからというか。わかりやすいエゴイズムって、世界の常識をアップデートさせちゃうんだなと思って。

-なるほどなぁ。たしかに。

ASH:だから、僕らもいろんなところで結構話しているんですけど、『Genesis』というアルバムでできあがったASH DA HEROという型があるんだとしたら、そこをどんどん破っていかないと。ロック・バンドがどうとか、ロック・シーンがどうとか、そんなセリフを言ってること自体がしゃらくさくね? ぐらいの。そんなこと言ってるからロック・バンドの時代がいつまで経っても来ねぇんだよ、そんなもんぶっ壊してやるよっていう気持ちで行きたいなって思ってますね。

-その力強い意志が込められたシングルですが、"ADH盤"には「自分革命」、"ブルーロック盤"には「最強のエンドロール」がそれぞれ収録されています。どちらの曲も昨年のZepp DiverCity(TOKYO)でのワンマンで披露されていましたが、曲自体はかなり前に作っていたんですか?

Narukaze:「自分革命」は、バンドを始める頃に作った曲ですね。「最強のエンドロール」は去年のツアー中に書きました。

-「自分革命」は、初めの頃に作ったのもあって、自分たちのベーシックというか、ひとつの土台みたいなイメージもあったんでしょうか。

Narukaze:いや、そこすら見えていない状態だったので、こういう曲をバンドでやったらどうだろうって作った感じでしたね。

ASH:あれはまだパイロットの時期だったよね。「Merry Go Round」とか「WARAWARA」(共に『Genesis』収録曲)とか、あのへんを作っていた頃。

Narukaze:うん。メンバーの得意な部分とかがまだ全然見えていなかったので、いろんなタイプの曲を作ってたんですよ。そういうなかで、こういう曲やりたいなと思って作った曲ですね。

-その楽曲が、言ってみればようやく出ると。

Narukaze:そうですね。アルバムに......入れなかった理由は覚えてないけど(笑)。

ASH:たしかに言われてみればそうだ(笑)。でも、そうだね。ここに来てようやくって感じ。

-バンドがひとつの塊になっているところがかっこ良くて。リズム隊が最高でした。

WANI:「自分革命」は、やってて純粋に気持ちいいですね。ギターも含めてキメが多いから、バチっと決まったときの気持ち良さもあるし、2Aのベースとドラムのユニゾンみたいなところがめちゃくちゃ好きで。

-エグいですよね、あそこのパワー感。

Sato:だいぶエゴで弾いてますね(笑)。一応バンマスに"大丈夫かな?"って相談して。まぁ、相談しても勝手に弾いてたと思うけど(笑)。

Narukaze:うん(笑)。

ASH:俺も相談されたよ。"ASHさ、ここの2小節目ってなんて歌ってるっけ? あ、じゃあ、あぁ......うん。ありがとう"。"いや、何がわかったんだ?"っていう(笑)。

Sato:ちょっとトリッキーすぎるから、ASHのラップとのハマりはどうなのかなって確認させてもらって。だからまぁ、大丈夫なのかなって思いながら、ははははは(笑)!

一同:はははははは!

ASH:急に笑うやん(笑)!

Narukaze:何が面白かった(笑)?

Sato:いや、"大丈夫かな?"って聞いてるけど、結局弾いてるから(笑)。エゴくいかせてもらいました。

Dhalsim:まだバンドが始まって最初期の頃だったのでドラム、ギター、ベースをビートと捉えて、その上でスクラッチをするイメージで最初はやっていたんですけど、ナルさんから"ここは合わせてほしい"って言われて。それまでキメに合わせることってあんまりしてこなかったんですよ。でも、やってみたらハマり方も気持ちいいし、ライヴで全員が合うとすごく良くて。

-たしかに、DJでキメに合わせるって、最初はなかなかイメージが浮かばなさそうな。

Dhalsim:そうなんですよ。スクラッチも突き詰めていくと、平坦なビートの上でどれだけ変態なことができるかっていうふうに寄っていってしまうので、キメと合わせるのはロック・バンドのDJならではだなと。

ASH:"自分革命"だね。

Dhalsim:そう、まさに(笑)。

-デモが上がってきたときに、ラップもすらすらと浮かんだりしました?

ASH:いや、そもそも最初はラップじゃなかった気がする......違ったよね?

Narukaze:うん。最初はメロディを打ち込んでた。

ASH:だよね。わりと歌モノっぽい感じだったんですけど、ラップとかやってもいい? って電話した気がする。

Narukaze:そうそう。

ASH:イメージがふわっと湧いたんですよ。この曲を作ったのは、バンドをやろうぜってなって、じゃあどうやって進めていこうかというのを考えていた時期だったんですけど、底知れぬワクワク感と、ほんの一抹の不安みたいなものが、禍々しくもマーブル模様になっていて。ただ、何かが始まりそうだねってスタッフ含めてみんながドキドキしている状態という。その情景を歌として残しておきたいというのが着想としてあったんですよね。"やれんのか? いや、やるしかないっしょ"っていう状態。それを書こうと思ったんだけど......そうだ、20km走りに行ったあとだ。

-20km......!?

ASH:普段ランニングしてるんですけど、その日がたまたま20の日で。"ほんと嫌だ、なんで俺走ってんだろう"とか思うんですよ。誰からも"頑張ったねー!"とか言ってもらえないし、わけわかんないけど走りに行くんです。で、帰ってきてなんのために走ってんだろってぜえぜえやってたときに、"息を吸って 目の前を睨む"というのが出てきて。

-まさに出だしの部分が。

ASH:で、すぐにナル君に電話かけて、バーッ! と一気に書きました。シャワー浴びろよ! って感じだったけど、びっちゃびちゃのまま書いてた気がする。ランナーズ・ハイの状態で書いてたから、建前じゃないそのときの自分の本音も出てるだろうし、僕らを取り巻く状況を結構リアルに書いたんだなって、振り返ってみて感じますね。歌詞を読むと、あのときのことを思い出せます。