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INTERVIEW

Japanese

AIRFLIP

2021年12月号掲載

AIRFLIP

メンバー:Satoshi(Gt/Vo) Gucci(Gt/Cho) Fujimon(Ba/Cho)

インタビュアー:山口 哲生

AIRFLIPが、12月22日にフル・アルバム『RED』をリリースする。バンドのカラーでもある"赤色"をタイトルに掲げた本作は、コロナ禍での活動自粛、さらにはメンバーの脱退という危機的状況に陥りながらも、足を止めることなく前に進み続けた彼らの不屈の精神が詰め込まれている。AIRFLIPらしい爽快感溢れるポップ・パンク・チューンから、新たな挑戦を試みた楽曲まで、よりドラマチックに、よりまっすぐに希望を高鳴らした全12曲について、3人に話を訊いた。


「Brand New Day」を超える曲を作らないといけない。そこは念頭に置いてました


-アルバム『RED』が完成しましたが、今年1月にはミニ・アルバム『All For One』をリリースされていて。前作は昨年中に完成していたとは思うんですが、それでもハイペースですよね。

Gucci:たしかに(笑)。

Fujimon:周りからも言われました。"もう出すん?"って(笑)。ただ前作が、もともともっと前に出す予定だったものがコロナで発売が遅れたというのがあったので。

-そうなんですね(笑)。ツアーと並行して制作されていたそうですけど、スケジュール的にはどんな感じだったんですか?

Satoshi:レコーディングを2回に分けたんですよ。7月と9月末と。なので、5~6月に作ったものを7月に、8月に作ったものを9月末に録ってます。

-今作から現体制での制作になったわけですが、正式ドラマーは不在の状況ではありつつも、引き続き音源は出していこうという感じだったんでしょうか。例えば、メンバーが決まるまでは出すのは控えておこうとか、そういうわけではなく、とにかく前に進んでいこうという。

Satoshi:そうですね。今はサポートにMasunoriが入ってくれているので、音源を出せる機会があるのであれば出したいという気持ちは、メンバー全員ありました。

Gucci:そもそも止まる概念をあまり持っていなかったというか。メンバー3人とも全員作曲ができるので、それぞれで曲を作って、じゃあどの曲をやろうかって前向きに話しながら作っていった感じでしたね。

-ハイペースな制作ながらも、曲はスムーズに出てきました?

Fujimon:完成に持っていくまではめちゃくちゃ時間かかりましたね。

Satoshi:でも、今回は早くなかった?

Gucci:あぁ。詰める時間的にはね。

Satoshi:アルバムを作るのが決まったのが結構ギリギリだったんで、ちょっと急いだところもあるんですよ。

Fujimon:でも、納得できるまでしっかりやれましたね。RECの前日ギリギリまで練っていたので、結構バタバタした感じはありましたけど。

『NEO-N』(2019年リリースのメジャー1stフル・アルバム)ではWilliam Ryan Key(ex-YELLOWCARD/Vo/Gt)、『All For One』ではKubotyさんをプロデューサーに迎えていましたけども、今回はセルフ・プロデュースですよね。

Satoshi:そうです。

Fujimon:コロナということもあり、プロデューサーどうこうになるといろいろ制約も出てくるので。あとはサポートのMasunoriさんが参加してくれてますね。すぐそこにいるんですけど(笑)。

-実は取材場所にMasunoriさんもいらっしゃるんですが、今深く頷かれてます(笑)。今回セルフでやろうというのは、特に決めていたわけでもなく?

Satoshi:自分たちでは特に決めていなかったです。でも、過去2作で一緒にやらせてもらって、いいことも大変なことも経験させてもらったうえで、今回は自分たちでやろうというのは、どこか頭の中にあったかもしれないです。

Gucci:Ryanにプロデュースしてもらったときの、細かいところまでチューニングはこだわらないといけないこととか、Kubotyさんのフレーズのチョイスとか、そのあたりはたぶん、メンバー個々で身になっている部分はありますね。

-実際に身になった部分が反映されている実感もあります?

Gucci:そうですね。僕に関しては、学んだことをフルに生かしながら。

Fujimon:RyanにもKubotyさんにも怒られてたもんな(笑)?

Gucci:(笑)そのときに言われたことをやっていたら、エンジニアさんから"そんなに細かいところまで気にするんですね"って言われて。でも"やるならそれぐらいやったほうが絶対にいいですよね"って言ってくれてましたね。

-まさに自然と身についていたと。

Fujimon:Ryanのチューニングに関しては僕も一緒ですね。シビアに何度もやるっていう。Kubotyさんにはギター・メインでプロデュースしてもらっていたので、僕はそこまでという感じだったんですけど、今回自分が作ってきた曲のギターフレーズは、Gucci君に任せることが多かったです。Kubotyさんに鍛えてもらったんで、いいのを弾いてくれるだろうと思って。そういうのは頼りになりましたね。

-Satoshiさんはいかがですか? 過去2作の経験が生きた場面というと。

Satoshi:僕もFujimonと同じで、KubotyさんとはGucciほど一緒にやっていたわけではなかったんですけど、Ryanのときは英詞の添削がすごく多かったんですよ。

Fujimon:赤ペン先生な(笑)?

-添削ってどういう感じだったんですか?

Satoshi:自分が歌詞で言いたいことをすり合わせて、それならこっちの言葉のほうがいいとか、そういう言い回しにするならこの単語は絶対にいるとか。あとは文法的なところですね。前置詞が抜けてるとか、本当の学校の先生みたいな感じで(笑)。

Fujimon:聞くの嫌やわ、前置詞とか(笑)。

-たしかに久しぶりに聞きました(笑)。言い回しの話というのは、母音の問題とか?

Satoshi:そういうのもありましたし、ネイティヴの人がそういう意味を歌うときは、これが鉄板だからとか。今回の歌詞はそのあたりに気をつけながらやってましたね。あと、歌の練習はしているので、いい歌を歌えるようにっていうのは変わらないです。

-Masunoriさんがサポートで参加されるようになって、制作面で変わったところもありました?

Satoshi:流れはこれまでと一緒ではあったな?

Gucci:うん。ただ、アドバイスや意見を結構しっかり言ってくれるんですよ。曲の構成も、この感じならここは短いほうが絶対にいいとか。僕ら3人がそれぞれ作った段階で、ドラムもある程度固めているんですけど、そのフレーズも結構アレンジしてくれて。そういうところはだいぶ助かりましたね。

-曲作りの段階からがっちり参加してもらっていたんですね。

Satoshi:そうですね。全然サポートじゃなかったです(笑)。

Gucci:(Masunoriが)深く頷いてはるわ(笑)。でも、マジで大きかったです。

-Fujimonさんとしては、リズム体としての意思疎通もうまくいってます?

Fujimon:もうマブっすよ!

Gucci:意思疎通しすぎてうるさいからな(笑)。

Fujimon:シンクロしてますからね。あいつ、俺のこと好きなんすよ。ここにおらんから言うけど。

-まぁ、いるんですけどね(笑)。

Fujimon:ははははは(笑)。でも、やっていて気持ちがいいですよ。

Satoshi:俯瞰で曲を聴いて意見を出してくれるし、僕ら3人でやっていたら出てこない発想を言ってくれたりもするんで。そこはほんと助かりますね。

-しっかり中に入りながらも、視点は俯瞰なんですね。

Fujimon:そういうのができちゃうやつなんですよ。

-ベタ褒めですね。ご本人、すごく恥ずかしそうにされてますけど(笑)。

一同:ははははははは(笑)。

-アルバムに向けて曲を作っていく際に、こういう作品にしたいと考えていたことはありましたか? 『All For One』は2ビート多めで、勢いのある作品でしたけども。

Satoshi:毎回、前作を超える気持ちでやっているんですけど、今回のアルバムを作り出す前に、ライヴの代表曲になっている「Brand New Day」(2017年リリースの1st EP『BRAND NEW DAY』表題曲)を超える曲を作らないといけないっていう話をみんなでしていて。そこは念頭に置いてましたね。みんなすごくメロディにこだわっていたし、いい曲ばっかりできた実感もあります。

-そのなかで、アルバム・タイトルをAIRFLIPにとって大切な色でもある"RED"にした理由というと?

Satoshi:人間って、赤い色を見ると感じることが2種類あるらしくて。ひとつは、ちょっと脅迫的な感じというか。迫ってくるような不安とか、心配とか、そういうネガティヴなものもありつつ、真逆の意味で勇気とか信頼とか、ポジティヴなものも感じるらしいんですよ。僕らがこのアルバムを作ったのもコロナ禍真っ只中で、ダメージを受けて不安な思いをしている人がたくさんいるし、逆に、このアルバムでリスナーの人たちを勇気づけたりできるものにしたいと思って、このタイトルにしました。

-1曲目の「Mayday」から、1枚通してかなり爽快感がありますね。

Satoshi:"Mayday"には"SOS"という意味と、"働く人への感謝"みたいな意味があって。歌詞としては、コロナ前ってすべてが当たり前だったじゃないですか。今はできなくなってしまったことが普通にできていて。それが恋しい気持ちはありつつ、でも、いつかまた日常に戻れるように一緒に頑張っていこう、みたいな思いから歌詞を書いていて。なので"SOS"と、ちょっとこじつけっぽくなっちゃうんですけど、"労働者への感謝"というのを、"頑張っている人たちへのエール"の意味も包括して付けたタイトルです。

-誰かに向かってエールを送りたいという気持ちは、昔から強かったですか?

Satoshi:そこはバンドを続けていくごとに、という感じですね。そういう気持ちの持って行き方でライヴをしたほうが、しっくりくることが多かったんですよ。それで自然とAIRFLIPの楽曲も応援歌が多くなっていったし、コロナ禍で何もできない状況で困っている人たちがたくさんいるので、これはもう応援歌を作らんとアカンなって。