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INTERVIEW

Japanese

Newspeak

 

Newspeak

Member:Rei(Vo) Yohey(Ba) Steven(Dr)

Interviewer:石角 友香

-面白いなと思ったのが、インタールードが2曲あって、特に後半の「Summer Wasted」が、次の「Vinyl Wings of Wanderers」に繋がる印象がありました、インタールードはあとで入れようと?

Steven:曲が先にできてて、アルバムにどの曲入れる? って曲順話してるところで、納得できなかったから、曲の間に何か必要なんだっていうことがわかった。

-「Vinyl Wings of Wanderers」の、"この夏は無駄じゃなかったんだ"的な内容もリアルだなと思ったんですけど。

Rei:でも、実はこの曲はコロナと関係なくて(笑)。ひと通り言いたいことというか、コロナで感じたことは4ヶ月連続リリースと、プラス「Great Pretenders」や「Weightless」とかモロにコロナの影響を受けてる曲と、あと数曲で書いてるんです。この曲もいろいろ何回も作り直した曲で、最後のほうにサビも書いたね。俺よくやったわ(笑)。サビを最後に変えるとか(笑)。

Steven:コロナのあとにめっちゃ飛行機に乗りたいって曲になった(笑)。

Rei:コロナになる前から遠距離恋愛を......ずっとリバプールと東京を行ったり来たり。

-大変だ(笑)。

Rei:コロナのときは全然、行き来できなくなっちゃったんでっていう意味では関係してるのかな。"Summer Wasted"って言ってるんですけど、今までの期間、夏以外も含めてまぁ楽しかった時期って意味で言ってて、今までの期間は無駄じゃなかった、みたいなことなんですかね。まぁ、わかんないですけど(笑)。

-(笑)そう聞くとすべての状況がリアルですね。

Rei:リアルなんですよ(笑)。思い出した。"TOKYO"って曲も作ったんだけど、ボツにされたんだ。東京に住むプランはもうやめて、ニューヨークに行こうか、ロンドンに行こうか、南に行こうかみたいなめっちゃポップな曲作ったら、"ちょっと違うかなぁ~"ってStevenに言われて。

Steven:ははは(笑)。

Rei:ポップすぎたのかな。あと、ちょっとクサいって。(「TOKYO」は)もう俺のパソコンの奥底に沈んだから大丈夫。

-個人的には「Vinyl Wings of Wanderers」は結構、重く捉えてました。

Rei:逆にどういう意味ですか?

-多くの人にとって、去年は何もできなかったので、その実感を重ねて聴きました。

Rei:なるほど。でも、そういうふうに聴いてもらえるのは嬉しいですよ。捉え方は自由というか。結構限定的な歌詞もあるし、抽象的で、聴いてる人が自分のストーリーを詰め込んでいける曲もあるので、どっちの楽しみ方も正解だと思うし。

Steven:そうだね。言いすぎちゃうと人が自分の思い出作れなくなっちゃうから。

-ヘヴィな内容で言うと、先ほども"モロにコロナの影響を受けてる"とおっしゃっていた「Weightless」とか、「Great Pretenders」とか。

Rei:そうですね。4ヶ月連続リリースがあって、さっきも言った流れで、フラストレーションがあったり、どん底に落ちてる曲もあったり、別に自分たちが楽しく過ごせてたらどうでもいいやっていうテンションの曲もあるし、希望に向かうエナジー、紆余曲折とエナジーだけを書いて。アルバム曲の「Great Pretenders」はそれも全部含めて、前を向いていくフリをしよう、と。作ったときに"前を向こう"って言い切れなくて。だから、全部大丈夫だって思い込もう。結局思い込むことってことは、前に進める自信があるってことだから。自信ないと、"大丈夫だ"ってフリすることもできないんで。フリをするって、あまりポジティヴな言葉じゃないんだけど、ポジティヴに捉えて、喜怒哀楽のあとにこの状況でも前を向いて、いいターンをしたいという。そこまでのプロセスが他の曲であって、「Great Pretenders」がひとつにまとめて"大丈夫だよ"って伝えるという大事な曲ではありますね。

-アルバム・タイトルにも繋がってきますね。ところで、アンサンブルやアレンジで面白かったなと思う曲はありますか?

Yohey:生のホーンとストリングスが入ってるんですけど、そのレコーディングとかはかなり面白かったですね。オーケストラの方とか、あまり普段、アドリブとかやらないっておっしゃってたんですけど、「Animals」って曲では結構、変な音も入ってて。

Steven:楽しかったね。

Yohey:ヴァイオリンとかチェロとかで、"ちょっと変な音ください"って、ひたすら変な音を弾いてもらうだけの(笑)。

Rei:例えば、これ、"女性のためにウィスキーを買った"っていう歌詞から始まってるんですけど、"飲みすぎてゲロ吐いちゃったみたいな音、ください!"(笑)――そう言ったか忘れましたけど、そういうようなことを言って"うーん、違いますね"、"それ! それ!"みたいなのをやって(笑)、みんなでテンション上がって。

-外部の人に頼むにはなかなかハードルの高いことを(笑)。ホーンもいわゆるソウル、ファンク的なホーンじゃなくて、繊細な使い方ですね。

Yohey:ホーンは「Generation of Superstitions」でギターとユニゾンして、メインのフレーズ吹いてるとか。あとは「Weightless」の頭のファンファーレみたいなフレーズとか。

Rei:あれはもうデモで入れちゃったから。

Yohey:本物じゃないとっていうね。

-アレンジで好きだなと思ったのは「Hear It Out」で。フルートとシンセ・ベースの組み合わせが面白い。

Rei:このアルバムの中でもいろいろ、音楽的に最もチャレンジした曲のひとつかなぁと思いますね。一番、ハイブリッドで和っぽさもあるし。

Yohey:東京って感じするよね。雑多な、いろんなものが混ざってるっていう。

Rei:アコースティック・ギターとフルートとシンベ(シンセ・ベース)と打ち込みドラム。で、サビのギターは結構ゴリっとしてるし。いろんなものから影響されたのかな。

-あとはReiさんのヴォーカルの表情が曲によって多彩で、それも聴いてて楽しめる理由かなと思います。

Rei:たしかに今までよりも、結構幅が広いアルバムですね。「Blinding Lights」みたいなパンチのある歌い方は今まではやってこなくて、音源でやってるのは初めてかも。「Parachute Flare」はソフトなところから高いファルセットもあるし。感情の起伏がアルバム制作中にあったから、それほど幅が出ちゃったのかなと思いますね。家でぼそっと歌ってるような歌も、たぶん家でぼそっと作りたいテンションのときがあったからだし。コロナでテーマが消えていったから、それだけのレンジというか、ダイナミクスがついたのかなという気はしますね。

-そのぶん、リアルな感情の起伏が?

Rei:そうですね。それが最終的に振り返るとテーマになってた感じです。

-現時点でNewspeakのキャリアにおいてどんなアルバムになりましたか?

Rei:前作1stフル・アルバム『No Man's Empire』でNewspeakの第1章が終わって、第2章に行くかと思ってたんだけど、コロナで止まらざるをえなかった時間があって、思ったように進めなくて、第1章延長戦みたいになっちゃって。だからたぶん、『Turn』は第1章の終わりですね。第2章に行く予定だったものもバラされて、いい意味で丸裸の自分たちの音楽性と感情がもう1回、自然に出ちゃったっていうアルバムなのかなと思いますね。"丸裸Newspeak『Turn』"。

Yohey:そうやな。"自分を見失ったらこれを聴きなさい、思い出しなさい"ってアルバム(笑)。

Steven:アルバム作りながら自分のメンタル・ヘルス・ケアになってた。友達にも会えない、飲みにも行けないから。そこの気持ちも入ってると思うね。

Rei:吐き出しながら癒されてる。ほんと、曲作りがあって良かった。