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INTERVIEW

Japanese

Newspeak

 

Newspeak

Member:Rei(Vo) Yohey(Ba) Steven(Dr)

Interviewer:石角 友香

バンド・サウンドだけでなく、ストリングスやホーンなどの生音やエレクトロニクスとの融合に、ボーダーレスなスケールを感じさせるNewspeak。だが、彼らにとってそのサウンドスケープはあくまでも表現したい曲ありきの発想だ。昨年のコロナ禍が本格化したタイミングに制作時期が直撃したゆえに、剥き出しの感情が乗った楽曲が居並ぶ2ndフル・アルバム『Turn』は我々、いや、世界中の今を生きる人間にとって必然的にリアルな内容に到達した。完成度の高い日本語への意訳も理解して聴くと、ますます楽曲への没入感も高まる。誰もが直面した2020年の出来事をきっかけにこのバンドの芯にもっと近づけると思う。

-ニュー・アルバムまでの約2年間、その間に誰もがコロナ禍を経験して。バンドも個人にもいろいろ反映されてるのかなと思うんですが、Newspeakに関してはいかがですか?

Rei:そうですね。直撃です。2019年の秋に『No Man's Empire』っていう1stフル・アルバム出して、そのツアーを冬から2020年の2月にかけて回って、その最中も曲作ったりもしてたけど、全員でアレンジしはじめたのがツアー終わってからなんで、ちょうど2020年の2月から制作が始まって。

Yohey:それこそ前のツアーに出てる最中は、"ヤバいウイルスきてるっぽいな"って話をしてる最中で。それ以降、世の中全部がストップしちゃったっていう。

Rei:だから結局、"どんなアルバムにしていこうか?"って話をしはじめた矢先、制作が止まったんですけど、緊急事態宣言とかを縫いつつ制作していったので、途中から"音楽的にどうしていこうか?"って会話よりも、いろんな感情の起伏に流されたまんま、歌詞を作ったり、どちらかというとエモーション重視のアルバムにシフトしていった感じ。コロナがなんなのか一番わかんないというか、心配な時期に作ったんで、直撃で影響されたアルバムですね。

-この間にいろんな活動をしてたと思うんですけど、前作(『No Man's Empire』)収録曲の「Lights and Noise」のスマホの俯瞰撮影のMVはそれぞれの生活が映し出されてて、象徴的でした。

Rei:あれはディレクターさんから"こういう企画があって、Newspeak、どうですか?"っていう流れで、全然コロナと関係ないときに作った曲なんですけど、世界中の友達とかに連絡したんです。今の人々を俯瞰してみると意外とエモくて。

Yohey:それぞれの家の中での世界があってっていうね。

Rei:アメリカとイギリスに住んでたことがあるので、ほんと友達に連絡しまくって(笑)。友達ばっかりだから、余計にエモくなりました。ひとりコスタリカの友達がいて、昔はめちゃくちゃチャラかったんだけど、Facebook見てたら、事故って脚をなくしてて。でも、結婚して義足つけて立ち直って子供ふたり産んでたんです。何十人って友達に出てもらったのに、一番幸せそうだったのがそいつだったんで、それ見て泣きそうになりました。

-奇しくも世界中の友達の近況が知れたと。活動はイレギュラーだったかもしれないけど、発見もあった?

Rei:そうですね。ライヴがこんな長い時間できなかったからこそ、久しぶりにライヴした瞬間に"あ、これのためにバンドやってたんだ。そうだった"って、むちゃくちゃ実感したし。それは音楽人としてはプラスだったんですね。これがないと、当たり前の日常、当たり前のライヴっていうのがたぶんずっと続いてったんだろうなと思うから。それは悪いことばっかりじゃなかったというか。

-しかし今回Reiさんの文学性というか、洋楽の歌詞にも通じるような表現で、かなり赤裸々な内容ですね。

Rei:そうかもしんないですね。書くことははっきりしてたというか。家にいると起こることは少ないんで(笑)。それ以外の曲もたくさんありましたけど、自然にそのときに感じてたことはそれしかなかった。なので、赤裸々なことが多くなっちゃったのかなと思います。

-ところで今さらなんですが、英語から日本語への意訳はどうやってるんですか? というのも単なる対訳ではなくて、日本語詞として完成度が高いので。

Rei:都合のいいようにかなり意訳したりしてますけど、やっぱりそのまま直訳してもうまく伝わらないものとか、言語が違うとどうしてもあるんで。そこは自然になるように時間はかけますね。自分でまず作ってYoheyとかスタッフに"これどう?"って聞いて、不自然なところがあったら指摘してもらってまた直してみたいな。英語のリリックを作るときぐらい、フィードバック貰って。英語の歌詞はStevenに訊くし、Stevenに聞く時点で和訳も作ってYoheyにも聞くし。英語でやってると距離感があるというか、ハードコアとか、ヘヴィ、ラウドとかは英語でそのまま訳詞なしでいってる人もいるんですけど、僕らみたいな音楽性で英語でってなると和訳も頑張らないと、と思ってて。どうやってリスナーと距離を縮めるかっていう取り組みの中のひとつとして、力は入れてるかなと思いますね。

Steven:やっぱ日本だから日本人もちゃんと言ってることわかって欲しい。シリアスで、リリックわかってほしい、伝えなきゃってバンドはちゃんとやらなきゃと思う。Newspeakはリリックに力入れてるから、やっぱりわかってほしいんですよね。

日本でやってるからにはもっと日本の人に伝わってほしい――世界基準とか言われるより、目の前のお客さんに伝わるほうが嬉しいし


-なるほど、プロセスはよくわかりました。前作からのこの2年間って、よりサブスクであるとか、YouTubeで観るとか、コメントも海外のリスナーも多いし日本以外にも広がってる印象があるんですが、メンバーとしてははどうですか?

Rei:どうなんですかね。

Yohey:少しずつ。うん。

Steven:まだまだ。

-ハードル自体は下がってると思うんですが。

Rei:まぁ、そうですね。ランダムに見つけてくれてる人がいるというか。

-日本のリスナーの声で多いのは"世界基準のバンドで、Newspeakほど実力と評価がかけ離れてるバンドはいない"という内容だと思うんです。

Rei:嬉しいけど悔しいですね。英詞だから世界基準って言葉が出てくるのかもしれないけど、英詞は強みもあるし、距離感ができてしまう要因でもある。日本でやってるからには日本でたくさんの人に聞いてほしい。そこでなんとなくめっちゃかっこいいって言われるより、一歩踏み込んで、それこそ歌詞の対訳を読みながら聴いてもらえると全然、印象が変わったと思うんです。そういう作業をもっとしてもらえるような仕掛けを作っていければ、英語だとか、ちょっと取っつきづらいところとかもなくなっていくのかなと。ずっと大っきいステージが似合うって言われてるけど、大っきいステージでやってないっていう現実もあるから(苦笑)。世界基準とかは最終的には考えてますけど、今、自分たちが一番嬉しいのはライヴハウスでやって、目の前でお客さんにめちゃくちゃ伝わってることで、海外からコメントくるより嬉しいし。

Yohey:だから、そういう意味では僕らも全然、気取ってるつもりはないですし。わりと結構泥臭くやってる。そのへんはね。ほんとにみんなと同じように日本で生活してて、日本で音楽やってるっていう。

Rei:そこの溝は何をしたら埋まるのか? って、ずっと課題というか、考えなきゃいけないなとは思うよね。

-Newspeakの面白いところは曲調の多彩さだと思うんです。逆にそれが"どういう界隈の人なのか?"がわからなくて取っ掛かりがないのかもしれないんですが、今回のアルバムは、むしろいろんなジャンルを聴いてる人が好むアルバムかなと感じたんですよ。

Steven:そうですよね。ロック・ファンならギリギリ聴こえるハードな曲があって、ゆっくりなチルな曲もあるし、面白いインディーズな、モダンな打ち込みの曲もあるしいろいろありますよね。誰でも好きになれるアルバムだと思います。

-順番に聴いていくと、1曲目の「Blinding Lights」は腹の底から力が入る感じで。この曲、動機はそんなに明るいものではないんじゃないかと思ったんですが、どうでした?

Rei:4ヶ月連続リリースをしてくなかで作った曲で、それまでにわりと"コロナなんてどうでもいいや"って曲もあれば、どん底に落ちてる人を慰めるような曲もあるし、怒りやフラストレーションが爆発してる曲もあるし。いろんな紆余曲折があるなかでも、やっぱり光に向かいたい右往左往してる感じと、やっぱり打ち克ちたい、希望に向かう力、エナジーみたいなものは表現したかったんです。エナジーだけを表現したかったらたぶんもっとアッパーな歌詞だろうし、Aメロも物悲しげな感じじゃないのかもしれないけど......そこまでにあった感情の起伏をまとめた感じの曲だと思います。