Japanese
Newspeak
Skream! マガジン 2021年12月号掲載
2021.10.09 @LIQUIDROOM ebisu
Writer 石角 友香 Photo by Ryotaro Kawashima
世界基準のバンドと評価されることより、ライヴハウスで目の前のオーディエンスをアップリフトしたい――『Turn』インタビュー時のRei(Vo)の発言はNewspeakというバンドの本質であり、コロナ禍という現実との接地点を見失いがちな時代にごく自然な認識だ。バンドがバンドであるためのライヴ。全国8ヶ所をめぐる"Turn Tour"ファイナルの東京公演でのメンバーの表情は清々しかった。
洋楽的と呼ばれることのポジティヴな意味は英語詞やボーダーレスなジャンル感以上にライヴでの音作りにあった。アルバム同様、オープナーは「Blinding Lights」。圧のない分離の良い音像の上でReiの静から動へとスムーズに変化するヴォーカルが映える。椅子席で空間を空けているが、当然みんな立ち上がり、サビで自身を解放するようにそこここで手が挙がる。そのモードのまま前作『No Man's Empire』収録のフィジカルに訴える「Wide Bright Eyes」へ。Yohey(Ba)が部分的にボンゴを叩き、プリミティヴなビートが強化される。メンバーで担うコーラスが、フックの多いReiのメロディを引き立てる「Generation of Superstitions」と、一曲一曲が短編映画並みの世界観を持ち、それをライヴで実感させる演奏力が求心力の理由だろう。歓声を上げられないファンの長い拍手に気持ちが反映されていた。
うねるベース・ラインに導かれて都会的なノワール感に浸れる「Pyramid Shakes」では、印象的なギター・リフをReiが巧みに弾いていることと音色作りにも驚きが。ビートのテクスチャーの変化も細かく変えながら叩くSteven(Dr)のセンスにも驚かされた。国内外問わず同期で済ませてしまうバンドが多いなか、可能な限り生演奏するところにリフやフレージングのタイム感を大切にしていることがわかる。ライヴでここまで洗練されたアンサンブルを展開できるのは曲のヴィジョンが明確だからなのだろう。マイナー・チューン繋がりで「What We Wanted」のチョイスも嬉しく、今のアレンジにアップデートされている。さらにコロナ禍で中ぶらりんになったマインドが窺える「Vinyl Wings of Wanderers」は、いい意味で、パーソナルで曖昧なムードを壊さず、しかも滑空するような体感を残す。ここはDATSのベースで、今回はサポート・ギターで参加した早川知輝の繊細なセンスも大きい。
Reiが約1年半ぶりのツアーでの帰還の挨拶に続き、"喜怒哀楽、様々な感情の中で作った『Turn』っていうアルバムのライヴなので、波が結構あるかと思います"と話したが、むしろその波を自身もオーディエンスも楽しんでいることが窺えた。メランコリーと前向きな気持ちを持ち続けるバランスを取りながら過ごしてきたこの世界に、祈りのニュアンスを贈るような「Jerusalem」から、横ノリできる洒脱な曲である「Silver Lines」に繋ぎ、無力感とそこからの浮上を丹念に編み上げていく「Parachute Flare」では、静謐な曲の入り、感情が爆発していく様子を膨張するシンセ・ベースで同調させ、サビでのReiのハイトーンとファルセットがよりせつなく響く。冗長な部分のない尺の中でリアルなドラマを見たようないい重みを受け取った。
モノトーンのライティングの中に響く光のようなピアノ・リフが印象的な「July」、グルーヴの端々にTHE MUSICや90年代UKのバンドで踊るアプローチが散見される「Media」と、新作以外の選曲もフックが効いている。踊れるビート感は新作からの「Hear It Out」に接続。流れるように途切れなくアップ&ダウンするReiのヴォーカルが牽引するカタルシスもさることながら、歌メロとギター・フレーズのユニゾンや、空間を捻じ曲げるシンベも効果的。シンセ使いと無機的なビートがリスキーな人間関係を描く「Animals」までの3曲は、楽器をフレキシブルに扱い、アレンジ巧者であるこのバンドのこだわりを堪能させた。
濃厚な世界観に静まるフロアにReiが"コーン見た?"とアルバムに用いられた実物が展示されていることをファンに確認。笑い声は出せないが、誰もが頷いていたんじゃないだろうか。目の前の人とのコミュニケーションだ。ツアーをまわり、"人の前で音楽するって、どれだけバンドにとって重要か。やっぱ直接、最高ですね"と喜びを表す。Yoheyも"俺らどこからきたんやろう? 「Back On the Dance Floor」やろって"と、Newspeakというバンドがライヴを大事にしてきた背景を共有していた。
終盤はラテン的なメロディとリズムの「Lake」、複雑なリズムでもイントロからクラップが起こる「24/7 What For」と、自然に身体が反応するナンバーを続け、コロナ禍によってより明確にあぶり出された、見えない誰かにとっての自分の存在の軽さがじわじわと迫ってくる「Weightless」を披露。生演奏では曲の主題のその先を目指すように熱を帯びた演奏で届けられた印象だ。そして、"次の曲は『Turn』ってアルバムをまとめてくれた曲です。前を向けなくても、前向きなフリでもいいと思う。この曲を聴き終えて、ドアの外に出て「明日は明るいかも知れない」って思えたらいい"と、歩みを進めていくような確かなビートと光に向かうようなコーラスに鼓舞される「Great Pretenders」で、ライヴ、そして正真正銘、Newspeakの引き延ばされてしまった第1章は完結。アンコールなし、本編のみに賭けた表現は『Turn』を軸にしたナマの作品だったのだ。2020年の春という誰にとっても二度とない体験が赤裸々に刻まれた『Turn』というアルバムは、だからこそ普遍的なのだと思う。ここからまた、このバンドが描く現在を見ていきたい。
- 1
LIVE INFO
- 2024.11.21
-
ザ50回転ズ
KANA-BOON
Maki × PRAY FOR ME
ヤングスキニー
THE YELLOW MONKEY
ASIAN KUNG-FU GENERATION
THE ORAL CIGARETTES ※開催延期
ラックライフ
シノダ(ヒトリエ)
(sic)boy
Thom Yorke
CVLTE
eastern youth / People In The Box
CNBLUE
Ivy to Fraudulent Game
離婚伝説
ドレスコーズ
椎名林檎
This is LAST
KEYTALK ※公演中止
- 2024.11.22
-
ヤングスキニー
マルシィ
オレンジスパイニクラブ
Bray me / EverBrighteller / FUNNY THIN
フラワーカンパニーズ / 斉藤和義
ズーカラデル
u named (radica)
TK from 凛として時雨
SUPER BEAVER
コレサワ
LONGMAN
セックスマシーン!!
終活クラブ
(sic)boy
the shes gone
ドミコ
点染テンセイ少女。
CVLTE
BREIMEN
SIX LOUNGE
秋山黄色
Newspeak
w.o.d.
BLUE ENCOUNT
SANDAL TELEPHONE
超☆社会的サンダル
武瑠
ヤユヨ
浅井健一
YAJICO GIRL
緑黄色社会
あたらよ
- 2024.11.23
-
NANIMONO
打首獄門同好会
SPECIAL OTHERS ACOUSTIC
ザ50回転ズ
Conton Candy
四星球
Lucky Kilimanjaro
Maki × PRAY FOR ME
back number
Bray me / EverBrighteller / FUNNY THINK
I Don't Like Mondays.
9mm Parabellum Bullet
ビッケブランカ
新しい学校のリーダーズ
ねぐせ。
Vaundy
Hakubi
HERE
小山田壮平
KNOCK OUT MONKEY
オレンジスパイニクラブ
ASIAN KUNG-FU GENERATION
WANIMA
chilldspot
Ivy to Fraudulent Game
People In The Box
NEE
秋山黄色
ADAM at
ポルカドットスティングレイ
竹内アンナ
the shes gone
HY
あいみょん
まなつ
POP ART TOWN
優里
アーバンギャルド
Amber's
緑黄色社会
Thom Yorke
椎名林檎
怒髪天
- 2024.11.24
-
NANIMONO
打首獄門同好会
DENIMS
SPECIAL OTHERS ACOUSTIC
ザ50回転ズ
キュウソネコカミ
LONGMAN
四星球
安藤裕子
Conton Candy
back number
Bray me / EverBrighteller / FUNNY THINK
ウソツキ
9mm Parabellum Bullet
新しい学校のリーダーズ
リュックと添い寝ごはん
FIVE NEW OLD
SHE'S
Vaundy
Umisaya
fhána
シノダ(ヒトリエ)
People In The Box
HERE
大森靖子
AIRFLIP
ASIAN KUNG-FU GENERATION
WANIMA
ずっと真夜中でいいのに。
Mega Shinnosuke
リアクション ザ ブッタ
SpecialThanks
Half time Old
HY
あいみょん
YOUR ADVISORY BOARD
泣き虫☔︎
優里
フレンズ
the quiet room
Thom Yorke
椎名林檎
- 2024.11.25
-
Age Factory
安藤裕子
シノダ(ヒトリエ)
KANA-BOON
フレデリック
BUMP OF CHICKEN
- 2024.11.26
-
Age Factory
SUPER BEAVER
PEDRO
SIX LOUNGE
神はサイコロを振らない
煮ル果実
Thom Yorke
BUMP OF CHICKEN
ハンブレッダーズ
The Novembers
(sic)boy
ストレイテナー
ヤングスキニー
THE YELLOW MONKEY
にしな
- 2024.11.27
-
新しい学校のリーダーズ
PEDRO
LAST DINOSAURS / ego apartment
ハンブレッダーズ
まなつ
Jamie xx
雨のパレード
詩羽(水曜日のカンパネラ)
go!go!vanillas
ヤングスキニー
にしな
- 2024.11.28
-
MOROHA
Age Factory
新しい学校のリーダーズ
DYGL
煮ル果実
SIX LOUNGE
まなつ
アンと私
挫・人間
秋山黄色
w.o.d.
マルシィ
終活クラブ
BURNOUT SYNDROMES
Cö shu Nie
フィルフリーク
シノダ(ヒトリエ)
go!go!vanillas
a flood of circle
KANA-BOON
- 2024.11.29
-
離婚伝説
CVLTE
Age Factory
SHE'S
ずっと真夜中でいいのに。
BLUE ENCOUNT
フィロソフィーのダンス
OKAMOTO'S
DYGL
NEE
Lucky Kilimanjaro
神聖かまってちゃん
Ivy to Fraudulent Game
小山田壮平
tacica
秋山黄色
w.o.d.
ねぐせ。
Dear Chambers
アンと私
the dadadadys
挫・人間
ASIAN KUNG-FU GENERATION
NANIMONO
にしな
Hello Hello
吉澤嘉代子
PIGGS
パピプペポは難しい
TK from 凛として時雨
a flood of circle
BREIMEN
ヤユヨ
CIVILIAN
DOES
East Of Eden
シド
岸田教団&THE明星ロケッツ
ANABANTFULLS
三浦透子
- 2024.11.30
-
back number
NEE
ポルカドットスティングレイ
大森靖子
SHE'S
ずっと真夜中でいいのに。
OKAMOTO'S
tacica
SPECIAL OTHERS ACOUSTIC
フィロソフィーのダンス
SWANKY DOGS
the shes gone
ヤングスキニー
Aimer
リアクション ザ ブッタ
ストレイテナー
ズーカラデル
ウソツキ
Newspeak
9mm Parabellum Bullet
ねぐせ。
BLUE ENCOUNT
moon drop
Cö shu Nie
ASIAN KUNG-FU GENERATION
Conton Candy
椎名林檎
Vaundy
MYTH & ROID
Hakubi
This is LAST
崎山蒼志 / MONO NO AWARE / 荒谷翔大 / 家主 ほか
GANG PARADE
BiS / KNOCK OUT MONKEY / パピプペポは難しい / LEEVELLES ほか
須田景凪
フラワーカンパニーズ
フレデリック
LiSA
なきごと
Machico
"ビクターロック祭り2024"
- 2024.12.01
-
back number
reGretGirl
Lucky Kilimanjaro
大森靖子
OKAMOTO'S
SIX LOUNGE
SPECIAL OTHERS ACOUSTIC
フィロソフィーのダンス
Ivy to Fraudulent Game
Aimer
MOROHA
Helsinki Lambda Club
リアクション ザ ブッタ
ストレイテナー
THE YELLOW MONKEY
DENIMS
LACCO TOWER
9mm Parabellum Bullet
NANIMONO
ハク。
fhána
オレンジスパイニクラブ
the shes gone
Vaundy
Hakubi
さめざめ
ベランダ
GOOD ON THE REEL
秋山黄色
須田景凪
I Don't Like Mondays.
the quiet room
Laughing Hick
PEDRO
LiSA
indigo la End
- 2024.12.02
-
Saucy Dog
スカート
挫・人間
chilldspot
RAY×BELLRING少女ハート
- 2024.12.03
-
Saucy Dog
ヤングスキニー
リーガルリリー
SHE'S
LONGMAN
キュウソネコカミ
まなつ
ASH DA HERO / POLYSICS
IMAGINE DRAGONS
Age Factory
Amber's
SUPER BEAVER
- 2024.12.04
-
ASIAN KUNG-FU GENERATION
神聖かまってちゃん
The Ravens
go!go!vanillas
リーガルリリー
PEDRO
Galileo Galilei
ASH DA HERO / POLYSICS
SIX LOUNGE
マカロニえんぴつ / SAKANAMON / ヤユヨ ほか
DYGL
NEE
点染テンセイ少女。
SUPER BEAVER
RELEASE INFO
- 2024.11.22
- 2024.11.23
- 2024.11.27
- 2024.12.04
- 2024.12.06
- 2024.12.11
- 2024.12.13
- 2024.12.18
- 2024.12.20
- 2024.12.25
- 2024.12.27
- 2024.12.28
- 2025.01.06
- 2025.01.08
- 2025.01.10
- 2025.01.15
FREE MAGAZINE
-
Cover Artists
PEDRO
Skream! 2024年11月号