Skream! | 邦楽ロック・洋楽ロック ポータルサイト

MENU

INTERVIEW

Japanese

mihoro*

mihoro*

Interviewer:吉羽 さおり

-でも、この曲がなぜ"ミヤコワスレ"というタイトルになったんですか。

これは花の名前なんですけど、憩いの場という花言葉があるんです。聴いてくださっている方は、この曲を聴いて、リラックスというか気を休めてほしいなと思うし。ドラマでレストランに来るお客さんにとっては、レストランは憩いの場だなっていうのがあったので、"ミヤコワスレ"というタイトルはいいなって。あとこれはたまたまだったんですけど、ミヤコワスレは6月23日の誕生花なんです。6月23日はこのミニ・アルバムのリリース日でもあるので、これかなって思いました。

-「孤月」も同じく関口さんのアレンジです。心情的にはどうしようもないくらい寂しい曲ですが、サウンド的には一転してキラキラとしたギャップがある仕上がりですね。

「孤月」と「分かり合えないよ」は同じくらいのタイミングで関口さんにお願いしていて。どちらも爽やかな感じがいいなっていうのがあったんです。「孤月」のほうが具体的にアレンジの感じがあって、アコギ1本で作った段階でだいぶジャカジャカしている感じだったので、イメージとしては、歌詞は暗いけど曲は速いテンポで明るくしたいんだなっていう。それを汲み取ってくださったのかなと思います。これもアルバムに入れるつもりで作ったというよりも、年末に暇で曲を作っていたら、本当は別の曲がアルバムに入る予定だったんですけど、それよりもこっちがいいなって。

-年末はそうやっていろんな曲を書いていたんですね。

コロナもあって友達とも会えないしで、ずっと家でギターを弾くしかなかったのもありましたね(笑)。と言ってもタイアップの曲もそうですけど、あまり重く考えすぎずに、普通に楽しみながら作っていたなと思います。

-また「会いたいなんて言わせないで」は、これぞmihoro*さんの曲という、リアルに心の内を曝け出すような曲です。

これは、強い女の人というイメージで作っていった曲ですね。"あぁ、ダメだ~"っていうよりも、"いや、知らんし!"ってくらい強い人というのを大前提にして作り始めて。メロディも、今まであまりこういう感じはなかったので、自分で作ったのに歌うのが難しいんですけど、曲は結構とつるっとできたんですよね。

-強い女性像だったんですね。

はい。でも結局、強い人も弱い部分があると思うので──

-結構、その弱い部分が見えちゃってますね(笑)。

本当に強い人というよりは、見栄を張っている人かなって思います。この曲とか、「馬鹿な女」もそうなんですけど、ちょっと意志が弱いところがあるというか。ダメだってわかっていても、いや好きだから──みたいなところがあって(笑)。

-そこが溢れ出てしまっていますね。

結局、負けちゃうという。そういうのがにじみ出いてるなって。「馬鹿な女」は、"私はそうです、馬鹿な女です"って感じなんですけど(笑)。「会いたいなんて言わせないで」はそんなことないって言いつつも、全然ダメな感じで。でも、そういう人いません?

-いると思いますよ。会いたいと思ったときに、期待して相手からの連絡を待っちゃっている感じとか。

なんの根拠もないけど、連絡が来るかなと思っちゃうみたいな感じですよね。最終的には来ないから、こっちから連絡しちゃうけど、"そんなこと言わせないでよ!"っていう。ちょっと都合のいい女の人っていう感じがあって、連絡が来るとすぐに行きますみたいなところがあったりとか。そういう女の人っていうのが頭の中にあったので、この曲はすぐできましたね。

-「馬鹿な女」にしても「会いたいなんて言わせないで」にしても、すごく具体的に画が浮かびますよね。仕草や動作、考え方もリアルだなって思います。

自分でも、歌詞を見て馬鹿だなって思うんですけどね(笑)。自分のことではないし、別に友達にこういう人がいるとかではないんですけど。例えば、「馬鹿な女」に出てくるようなタバコを吸っている人って、"メガネをかけてる人"や、"金髪の人"と同じくらいすぐに"タバコを吸っている人"という印象がつくと思うんです。そのタバコをふと見たときに、あの人のだって思っちゃうけど、逆にその人からしたら相手にそういうものがなかった場合、思い出すタイミングやきっかけがないのかなって。

-その人を象徴する何かっていうことですね

そういうものがなかったら、お別れしたときに思い出すタイミングがないのかなって。私はあるけど、あなたはあるの? っていう感じが描きたかったんですよね。ちゃんと思い出してほしいし、その彼がまた他の誰かと出会ったとしても、あの人が良かったなって思ってほしいというか。そういう人が描かれている感じですね。たぶん、この曲は過去一、"貴方"って言ってるかもしれない(笑)。1番のAメロ、Bメロ、サビの頭が全部"貴方"、"貴方"、"貴方"になっていて。これはMVも撮っているんですけど、曲の雰囲気とはまたちょっと違った依存しすぎている女の子が描かれているので、楽しみにしてほしいです。

-こういう曲こそ、mihoro*さんの曲として認知されやすい曲じゃないですかね。

知ってほしいですね。リリースされているものは少ないですけど、ライヴでやっているのはこういう曲が多いので。「コドモノママデ」をTikTokとかでたくさん再生してもらって、そこからmihoro*を知ってくださる人は、ポップでキャッチーな感じと思っている人も多いと感じるです。でも、実際「さよなら最愛の人」(2020年1月リリースの配信EP表題曲)や、「遊んでたの、知ってるよ。」(2019年リリースの1stミニ・アルバム『もう制服は着れない』収録曲)を聴いてくれて、そっちが好きだっていう人もいると思うので。この曲もそういう方に聴いてもらいたいなと。私はこっちのほうが、作るのが楽しいし好きなんですよね。

-自分の経験じゃないものでも、なぜここまで描けるんだろう、このドロッとした感情が描けるんだろうっていうのはあるんですが、そこは自分のどういう部分が引っ張り出されていると感じますか。

本当になぜかはわからないんですよね。少女漫画とかも読まないし、恋愛ドラマとかも特に観るわけではないので。きっと、歩いているときにたまたま見かけたカップルを、こうでこうでこうだなぁって想像しちゃうというか。それで勝手に曲にしているのかもしれないです(笑)。最初は私の中で言葉としてあるものや、イメージがベースになって、そこにプラスして、そういえばこの間見たあの人がっていうのが、絡み合って1曲になっていると思うので。わりと人間観察をしているのかもしれないですね。

-前作『Re:』に収録された「コドモノママデ」が、現在TikTokですごい数再生されているというのは、率直にどう感じていますか。

あまり自分がTikTokを見ないので、知らなかったんです。高校の同級生からLINEが来て、"TikTokで有名な誰々ちゃんが使ってるよ"とか送ってもらったんですけど。嬉しいんですけど、実感はなくて。ただ「コドモノママデ」のMVが出してすぐよりも、徐々に観てもらっているなというのはあったので。気づいたら、聴いてくれている方が多いなっていう印象でした。でも、これはたぶんあるあるなんですけど、「コドモノママデ」をmihoro*という人が歌っているのを、どこまで知ってもらっているかなとは思うので。今回のメジャー1stミニ・アルバム出しますってなったとき、"あ、「コドモノママデ」の人なんだ"って思ってもらえる、名刺代わりの曲になっていたらいいかなと。その第一歩としては良かったなと思います。「コドモノママデ」がTikTokで使われるようになって、ちょっとSNSでハマるような曲を作ろうかなって思ったんですけど、それは嫌だなって思ってやめました(笑)。たまたま流行ったぶんにはいいんですけど、そこに合わせにいくのは負けた気になって嫌だなと思って。

-愛にまつわる生々しさ、嫉妬や不安、幸せもリアルに描かれた今作のアルバム・タイトル"love is alive"には、ライヴへの想いも込められたそうですね。

本当にライヴがしたいんですよね。コロナ以前はめちゃめちゃライヴをやっていたんです。このコロナでライヴがほぼなくなってしまって。有観客をやったのが1度で、それ以外は配信ライヴしかやっていなかったので。今、"ライヴ"ってどうすればいいんだっけというか、ちょっとビビってしまっている自分がいるというか。以前は普通に楽しんでやっていたけど、今この状況でお客さんが減っていたらどうしようとかもあって、ちょっとライヴするのが怖いなっていうのもあるんです。すごくライヴがしたいのに。それくらい、これまで日常的にライヴをやっていたんだなって改めて思いましたね。