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INTERVIEW

Japanese

ドミコ

2020年04月号掲載

ドミコ

メンバー:さかしたひかる(Vo/Gt)

インタビュアー:TAISHI IWAMI

筆者がドミコのさかしたひかるに出会ったのは2014年のこと。その間にも何度か会うことはあったが、音楽について話し込むのは実に6年ぶりだ。曲やアルバム単位での方向性は決めずに、どんな作品になるかを楽しむ。制作の原動力は、ただそこにあったギターに惹かれたから、音を鳴らしたい、歌いたいから。そのスタンスは当時も今もまったく変わっていなかった。"メンタリティ"と呼べるような表立った強い意志はなく、"原始的"と形容して感じるエネルギッシュなイメージも、そこまでハマらない。ここに届いた新作『VOO DOO?』は、そんな常に平熱の彼だからこその摩訶不思議なロックンロールが、さらに色鮮やかに拡張していく様が見えるような、唯一無二の作品だった。

-ひかるさんと初めてお会いしたのは2014年の7月。東京を拠点にするパーティー"FREE THROW"の京都編でした。ライヴにHAPPYとYogee New Wavesとドミコ、私がゲストDJで。

はっきり覚えてます。ドミコは京都と、関西は神戸でもライヴをしました。

-あれから約6年、ドミコがスタートして9年。当時からの仲間もそれぞれの道を歩み、また、音楽の聴かれ方や情報の取り方にも大きな変化があったディケイドを潜り抜けてきて、思うことはありますか?

ちゃんと考えたことがないんです。言われて初めて"9年なんだ"くらいのことで。ときどきそういう質問をされるんですけど、9年続けるって、簡単なことじゃないんですか? TAISHIさんは、僕より長くこの業界にいらっしゃいますけど、どうですか?

-ライター歴はドミコの半分くらいですけど、DJはドミコより長いですね。どちらも依頼があるか、自分でパーティーや媒体を立ち上げなければ対外的にはできません。でも、それと行為の継続はまた別の次元の話。そもそも誰に頼まれたわけでもなく、好きでやってることですし、それ自体をやめるか続けるか、という軸では考えたこともないです。

僕も同じですね。音楽を始めた頃と比べると、シーンも音楽を聴くツールも、ずいぶん変わりましたし、それに伴い作品の価値も変わってきたと思うんですけど、どんな状況でも、自分が作りたいものを作って出すだけ。それ以上でも以下でもないんで、やめるという選択肢も続けるという選択肢もないんです。かといって、貫いてきたとか、ブレずにやってきたとか、そういう強い意志もない。なんかカッコいいこと言えたらいいんですけどね。たぶん、潜在的にはものすごく頑固なんですよ。だから、今言ったような気持ちが変わることがまったくないのかと。

-ひかるさんと出会ったときに、"サイケデリックやグラム・ロック、オルタナティヴ・ロックが好きなの?"と話し掛けて、曲作りについて尋ねたら、私が言ったような音楽は好きだけど、特定のジャンルや方向性を狙って作ることはない、といった旨のことをおっしゃっていました。そこもずっと変わらずですか?

そうですね。やりたい音を定めて向かっていくこと、初めからゴールがあることに面白さを感じないんです。もちろん、好きな音楽があって出てくるフレーズだったり、音色だったりするんですけど、それらの組み合わせが、自分でも想像していなかったものになっていくことにワクワクするんですよね。

-作品を作りたいと思う原動力はなんですか?

めちゃめちゃ単純です。最近ギターを買ったから、早く音を鳴らしたいとか、このエフェクターを使ったらどうなるだろうとか。腹が減ったから飯を食うくらいの感じですね。

-今作のタイトル"VOO DOO?"にはどのような意味があるのでしょうか。

とっつきやすいシンプルなワードがいいなって。それは毎回思っていることで、その中で今回は、結構不気味な曲もあるし、中毒的な魅力というか、おまじないみたいなイメージで付けました。そこに、せっかくだから長く聴いてもらいたいんで、いつものように"?"を付けて、"聴いてみる?"みたいな。文字通りですね。

-"中毒的な作品"になったのも、いつものように結果的なことですよね? 曲を作るプロセス自体も変わらずですか?

いつもと同じで、自分の中から自然に出てきたものを重ねていったらそうなりました。そのなかで変わったことはいくつかあります。まずはドラムのアレンジですね。ビートに対する試行錯誤にはかなり長く時間をかけました。これまでは、基本的に僕がビートを練って、それをそのまま長谷川(啓太)に叩いてもらって微調整してたんですけど、今回は彼に委ねる部分も大きくなったんです。僕以外の感性が欲しかったんですよね。そうして生まれたものをブラッシュアップしていきました。

-これまでにリリースしたアルバムごとにも、楽しい変化があったと思うんですが、今回は、ビートもサウンドスケープも、全体的な音の質感も、聴いて取れるそれが最も大きいように思いました。

そこはやっぱりビートの変化だと思います。あと、これまでは歌の占める割合がかなり大きかったように思うんです。常に歌ってるくらいに。でも今回は、ギターを弾く時間も長くなって、アレンジの幅も広がったし、歌以外のところもしっかり聴かせられるような方向に向かっていったと思います。その結果、すごくドミコらしい作品でありながら、今までの枠から外にも出られたんじゃないかと。

-その"ドミコらしさ"とは?

自分で言っておきながら、そこに明確な言葉やロジックはないんですけどね(笑)。自分がリスナーの気分で聴いてテンションが上がるか上がらないか、そのどっちかですね。感覚的な部分が多いから、作業的にはすごくアナログ。効率は悪いですよ。

-これまでと比べて、低音が強く鳴っていることについてはどうですか?

まず、今までは作品とライヴを切り離して考えてたんで、ライヴになると別の曲レベルで大幅にアレンジが変わってたんですけど、そのスタンスに変化があったことが作用しています。

-音源とライヴのアレンジがかなり違うことは、ドミコの醍醐味でもあります。

そういうことを繰り返しているうちに、あの機材もこの機材もってなって、ベース・アンプも採り入れるようになってから、ライヴのグルーヴも作品に反映できるんじゃないかって、しっかりベースを鳴らした曲もありだなって、思うようになりました。だから、今回は、ライヴで感じたことが反映された曲もあるし、そのうえであえてライヴになるとセッションを多分に入れる余地のある曲も作れたんです。

-原曲とライヴ・アレンジの距離感が全体的に縮まったということですか?

作品が完成して全体を聴いてから気づいたんですけど、今回は100パーセントではないにせよ、ほぼそのままでもできるくらいに縮まってますね。だから、今まではライヴ・アレンジを考えるとなると、それこそ曲作り~レコーディング並みに時間を割いてたんですけど、今回はそれがなくて、少し寂しくもあります(笑)。