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INTERVIEW

Japanese

STEREO DIVE FOUNDATION

2020年02月号掲載

STEREO DIVE FOUNDATION

Interviewer:山口 哲生

-ちなみに、R・O・Nさんが作ってみたいと思っていた曲というと?

「Blackout」です。

-かなり重厚でシリアスな雰囲気の曲ですね。

暗いものって、タイアップではあまりないんですよ。もちろんそういう作品もあるんでしょうけど、僕にお声が掛かるものの中にはなかったりして。だから、あまり書く機会のないタイプの曲だったのもあって、ちょっとやってみたいなと思ってました。

-リード曲の「PULSE」は、シンセのフレーズが耳には残りつつも、ギターがガツガツ出ていて、かなりパワフルですね。

この曲は"「Renegade」のようなカッコイイ曲を作ってほしい"という話があったんですよ。

-似ている曲は避けるという状況のなかで似た感じのものを作るのも、なかなか大変なのではと思うのですが。

どうだったかな......あんまり覚えてないんですよ(苦笑)。なんか、11月ぐらいから時間が飛んでて、気づいたら今日なんです。どうだったっけな......リード曲候補で出した曲があったんですけど、ちょっと優しいからやめておこうっていうことになったんですよ。そこから改めて作り出して......3日後だったかな。

-すごいスピード......!

いや、これでも自分の中ではかなり悩んだんですよ。そこはさっきの責任感もそうなんですけど、言ってみれば、曲作りに関して頼れる人間が自分しかいないんですよね。"これで本当にいいのか......?"っていう。それこそ自分のバンドであれば"いや、これでいいし"って言ってるんでしょうけど、関わっている人間がね、もう多いこと多いことなので。そういう思いがやっぱり強かったことに気づきました。

-なるほど。

なんかこう、頑張ってくれている周りの人たちに、やって良かったと思ってもらえるものにしたいというか。そこも大事だと思うんですよ。もちろん最終的にはお客さんに聴いて喜んでもらいたいという気持ちはあるんだけど、その前に、一緒になって仕事をしてくれている人たちが、"これいいじゃん! 頑張ろう!"って思えるものを作らないと。だから、最近あまり感じることのない感覚だったかもしれないですね。

-「PULSE」の歌詞は、楽曲を作ることについて書かれていますよね。

そういう感じですね。専門用語とかをいろいろ使いながら、わかりやすいことをわかりやすく書いたほうが、ライヴでも盛り上がるかなって。ライヴで盛り上がる系の曲って、だいたい音楽について書くことが多いかもしれないです、僕は。

-そこは演奏しているところや、現場の空気みたいなものをイメージするからこそ、そういう言葉が自然と出てくるんでしょうか。

そういうものもあると思いますよ。たぶん、これって"バンドあるある"だと思うんですよね。楽器のこととか、ダウンビートがどうとか、キックがどうとか、そういうのあるじゃないですか。だから、バンドあるある曲です。

-(笑)アルバムとしては、ハードやシリアスなものもあれば、「Coda」のような清涼感もありつつ、明るい雰囲気のものもありますね。

これは"みんなで合唱できるような曲が欲しい"っていう話があったので、じゃあこういう感じかなって。それもあって、おそらくコーラスのところから作ったと思います。まずオーダーがあったところを入れてみて、じゃあどうするかっていうのをパズルしていった感じだったと思いますね。

-歌詞に関しては、過去の出来事を振り返るような印象もありますが。

歌詞は、基本的には万人に当てはまるようなものにしつつ、曲調が呼んでくるところがあるので、その雰囲気に当てはまるものを書いているつもりですね。そこに自分の経験がフィードバックされたものがあったりなかったり、創作だったり。いろいろありますね。

-「Coda」には合唱できるものというテーマもあって、より当てはまるようなものをイメージされているのですか?

どうだったかなぁ......(苦笑)。(紙資料に書かれている歌詞を見ながら)見覚えない文字だからなぁ......。

-「Coda」の出だしの歌詞そのままじゃないですか(笑)。

でも、すごくわかりやすいですよね。いろんな人が経験していくことというか......なんか、今思ったんですけど、占いってみんな好きじゃないですか。あれってなんで好きかというと、"ピッタリ当たってる!"って思うからなんですよね。でも、占いってたまに曖昧なことも書いているから、誰にでも当てはまりやすいようになっている部分もあるのかなって。実のところは。星座占いで自分のところを見て、めっちゃ当たってるわと思って、試しに違う星座を見てみると、そっちでも当たってるなって思ったり(笑)。それと同じ現象を歌詞で起こしたいんだと思う。

-曲を聴いた人を"これは自分のことなんだ"という感覚にさせて、その世界に連れていくというか。

それですね。今気づきました。「Coda」の歌詞で言えば、"少し滲んだインク"って、ちょっと具体的なことを書いてはいるんですけど、少し滲んだインクを見たことのある人ってかなり多いと思うんですよ。"古い映画"を観ていて、"次のシーン、こうだったら良かったのにな"と思う人も、意外といる。

-サビに出てくる"幼き声"も、小さい頃は誰もが経験していますし。

その"幼き声"が呼び起こされたのも、自分かもしれないし、子供を亡くしてしまったお母さんのことかもしれないし。そうやっていろんな可能性を考えられる歌詞っていいなと思うんですよね。それでいて、無意味ではないもの。

-あと、限定しすぎてはいないけど、具体的な景色も見えますよね。

そうそう、そういうものがいいですよね。なんかすげぇインチキくさい感じになっちゃったかもしれないけど(笑)。でも、歌詞に関しては実際にそういうことなんだと思った。

-アルバムはエレクトロ・サウンドが軸にはなっていますけど、「Linde」はいわゆるバンド・サウンド的な要素もある曲ですね。

単純に途中で生ドラムを入れたら面白いかなと思って。あと、ライヴでやるからギターは入れておいてほうがいいかなと思っていたんだけど、よくよく考えたら全部の曲にギター入ってました。しかも結構デカめに(笑)。どうやらギターを入れたがる人らしいです。

-そこはご自身のルーツと繋がるところがあります?

あると思いますよ。ヘヴィなものと、ピアノ・ロックは好きでよく聴いていたので。最近は全然活動できていないけど、ピアノ・ロック・バンドをやってますし。やっぱり好きなんでしょうね、ギターとピアノが。

-ヘヴィなものだとどのあたりがお好きなんですか?

KORNですね。あとはDEFTONESとか、あの時代の音楽がすごく好きです。あとはLIMP BIZKITとかね。正直、手法としてもうとにかくいろんなところでやってきたので、ドロップDで新しいリフを作るのってめちゃくちゃ難しい。もうないよね? っていう。ただ、血としてはずっとあるんでしょうね。

-ピアノ・ロックの場合はいかがですか?

SOMETHING CORPORATEとか、あとはなんだろう......DROPPING DAYLIGHTとか、THE FRAYとか。たぶん、Andrew McMahonがとにかく好きだったんでしょうね。