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INTERVIEW

Japanese

Newspeak

2019年11月号掲載

Newspeak

メンバー:Rei(Vo/Key) Ryoya(Gt) Yohey(Ba) Steven(Dr)

インタビュアー:TAISHI IWAMI

期待値を遥かに凌駕するサウンドの強度を手に入れた、その秘密を徹底解剖


-"No Man's Empire"というアルバムのタイトルからは、高い誇りや理想を感じますが、どんなイメージだったんですか?

Rei:ありがたいことにいくつかのレーベルから声を掛けていただいて、でも今までのDIYなスタイルとの狭間で揺れることも。そんななかでアルバムを作り出して、47都道府県ツアーも始まって、最初に言ったジャンルのこととかも考え出して、病んでるとかではないんですけど、ちょっと疲れたんです。それで、空いた日は気分転換で山や島にひとりで行くように。そんな感じで人里を離れると、下界のことなんてどうでもよくなる、じゃないですけど、ちょっと悟ったような気持ちが芽生えてきたんです。

-そこで見えた世界が"No Man's Empire"だったんですか?

Rei:"No Man's"は、第一次世界大戦中にどの勢力からも占有されていない"No Man's Land"と呼ばれた土地から取りました。そこに"Empire"をくっつけて。たしかに、大層なタイトルになっちゃったんですけど、そこまで大きなことや政治的なことを言ってるわけではないんです。

-すべては政治や国の話にも繋がるとは思うんですけど、直接的にはもっとパーソナルなことですか?

Rei:コミュニティに属することって簡単だし、生活していくことや何かを表現するうえで、属することは避けられないようにも思うんです。でも何かに属して自分の気持ちを押し殺してまで、音楽で何かを成し遂げようと思う必要なんてないんじゃないかって。

-難しいラインに立たされることはありますよね。

Rei:そこで、山からの景色を見たり、サバプロという仲はいいけど僕らとは属するジャンルが違うと思っていたバンドと一緒に47都道府県を回ったりすることで、自分はなんて小さい世界で生きていたんだろうって、思ったんですよね。今までは東京と大阪、自分が住んだことのある大都市に起こることがすべてだったんですけど、47都道府県、どこにでもクールな人はいるし、最初にも言ったように、みんな壁なんて持たずに自由に楽しんでくれてる。

-ライヴこそ"No Man's Land"だと思います。

Rei:結局ひとりの人間が行動できる範囲なんて知れてるから、コミュニティに属して生きていくしかないんですけど、そこで感じることなんて、広い世界から見れば小さなことだって思える瞬間もある。そういう気持ちでライヴをしていくと、お客さんの反応もさらに良くなったし、自分もひとつ抜け出せたような清々しい気持ちになれたんです。どんな生活をしてる人にも通ずることだと思うので、いろいろな視点から書いたこのアルバムを聴いて、そんなふうに抜け出せる人が少しでもいればいいなと思います。

-今まではReiさんがふだんの生活圏の中で考えている自由が中心にあったと思うんですけど、今作は確かに、音からも言葉からも、おっしゃったような視野の広さを感じます。だからといってそこまで解脱しているわけではなく、すごくエモーショナルでもある。

Rei:簡単に言うと考えすぎは良くないってことで、回り回ってあまり何も考えてないんです(笑)。要するに、自然な自分が最も出ているアルバムで、僕がもともとエモーショナルなんだと思います。

-サウンド面では今回2曲目の「Wide Bright Eyes」でTony Hoffer(※BECKやBELLE AND SEBASTIANやTHE FRATELLISらを手掛けた)が、6曲目の「Stay Young」でDaniel J Schlett(※DIIVやArto Lindsay、THE WAR ON DRUGSらを手掛けた)がミックスに参加しています。今まではStevenとYoheyさんのふたりだけで行ってきた作業を、海外のビッグ・ネームに依頼してみて、どうでしたか?

Rei:思い切りがすごいですね。

Yohey:"ここまで僕らの曲で遊んでくれて、ありがとうございます!"って、そんなミックスでしたね。

Rei:ずっと自分たちだけでやってきて麻痺してたんだと思います。もはや音に対するジャッジができなくなっていたところに、TonyとDanielが入ってくれたことで、StevenとYoheyは見えたことが大きかったんじゃない?

Yohey:そうね。基本的にStevenがデスクに座って黙々とやってることに僕が意見を言ってたんですけど、TonyとDanielが入ったことで、Stevenの視野が広がって、最初の段階から僕が座るスペースをくれたし、僕もふたりがいたからこそ、そこに座らされたときにできることがあった。"キックの音ってこれでいいんだ"とか、"シンセとギターのバランス、こっちでもカッコいい"とか、アイディアがどんどん広がっていったんです。

Rei:2曲だけなのに、全体のプロデューサーになってくれたような。すごいよね。

-具体的なエピソードをひとつ挙げてもらっていいですか?

Steven:「Wide Bright Eyes」をミックスしてくれたTonyが、"この曲でリスナーにどうなってほしい?"って聞いてきたから"踊ってほしい"って言ったんだよね。そして最初に返ってきた音を聴いた瞬間"ウォーッ!"って。想像してた以上にスネアがデカかった。自分だったらあそこまではやらないなぁ。

Rei:今までのミックスだと、クラブで僕らの曲をかけてるDJがいたとして、フロアの客はガンガン踊ってるんだけど、チル・スペースの人は"いい曲鳴ってるな"って軽く揺れてるくらいだったところを、首根っこ掴んで"踊りやがれ"ってフロアに放り投げるみたいな音(笑)。

-Newspeakは、もともとそういう、エクストリームな強さが特徴だったと思うんですけど、さらに勢いを増してましたね(笑)。でもうるさくない。

Yohey:その思い切りの良さって、ジャンルとか技術とか機材とか、あらゆることが海外から入ってきたなかで、唯一海を越えてこなかった感覚だと思うんです。それがミックスに出ていてめちゃくちゃ興奮しました。