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INTERVIEW

Japanese

EARNIE FROGs

2019年06月号掲載

EARNIE FROGs

Member:三木 正明(Vo/Gt) おがた(Ba/Vo) テラオ(Gt/Cho) ゆかちん(Dr)

Interviewer:秦 理絵

-「言えない」の話も聞かせてください。おがたさんの作詞で、ほとんどピアノと歌がメインの曲ですね。

おがた:この曲は私がポロポロとピアノを弾いてるときにできた曲ですね。ピアノをメインにするつもりはなかったんですけど、今までちゃんとバラードを作ったことがなかったから、そういう方向にしようと思ったんです。その曲に何を歌えばいいかなって考えたら、「stand up crowd」で家の外に出られなかった時期を経て、メンバーといろいろ話して、外に出るきっかけを作ってもらえたのもあって。

テラオ:「言えない」は、おがたの言葉にできない気持ちが言葉になった曲なんですよ。「鯨」(2016年リリースの1stミニ・アルバム『SURVIVE』収録曲)とか「灰色の街」で歌ってるような。

おがた:それこそテラオは中学校のときからの付き合いだし、ちゃんみき(三木)も高校生のときからだよね。で、ゆかちんも専門学校から一緒だからみんな10年以上の付き合いなんです。友達とかそういうのじゃなくて、もう家族に近い。そうなると、逆にむげに扱ってしまうところがあって、思ってることを伝えるのが得意じゃないからうやむやにしてたところもあるんです。

-「言えない」はメンバーに対して、"ありがとう"と言いたかった曲なんですね?

おがた:はい。あと、10月に母親が亡くなったんです。そういうのも重なった時期だったんですね。21歳のときに実家を出たんですけど、実家を出るのも相談せずに突然決めて。親には何も言えずに出ちゃったんですよ。正月にもお盆にも帰らないみたいな。連絡が来ても電話に出ないとか、そういうのがあったりして......。

-そうだったんですか。

おがた:素直に伝えられないんですよね。

三木:(おがたは)思ってることとは全然違う方向に解釈されがちだよね。

-話を聞いてると、今回のミニ・アルバムはその瞬間その瞬間にメンバーが悩んでたこと、乗り越えたことが全部詰まったドキュメンタリーみたいな作品ですね。

三木:うん、言われてみると結果的にそういうものになりましたね。

-最後にアートワークについても触れたいんですけど、今回漫画をテーマにしたのにはどういう意図があるんですか?

三木:昨年末に「stand up crowd」、「usual music」、「シニカル」を3曲連続で配信したときから、漫画家とコラボしたいっていうのはあったんですよ。

テラオ:今まで僕らは、アートワークとか作品のタイトルからアーティスト象をイメージしづらかったと思うんです。昔からあるがままで音楽をやってるから、伝わりにくいバンドだなっていう自覚はあって。でも今回はパっと見たときに、僕らのイメージが膨らむような見せ方をしたいなと思ったんです。

三木:ヴィレヴァン(ヴィレッジヴァンガード)とかに置いてあるようなね。いわゆる少年漫画のデフォルメされたキャラクターっぽい感じじゃなく、もっと写実的で少し線が細い感じ、儚げにも見える感じっていうのを絵として表現したかったんです。

テラオ:こういうサブカルチャー的な要素を打ち出すことで、アーニーが持ってるクセのあるところを、もっとわかりやすく人に伝えられるようにアウトプットした感じですね。

三木:それには漫画がいいんじゃないかっていう。

-ジャケ写で描くのが交差点というのは、最初から決めてたんですか?

テラオ:そうですね。プロットとして大きな街の中で起きる出来事があって、それが交錯しているようなイメージがあったんです。それで年明けのツアー・タイトルを"交叉点"にして。だからイメージ先行だったんですけど、少しずつアルバムができあがっていくにつれて見えてきたものが"人間"だったんです。そこから、今回はその人間たちが生きる"街"っていうものをテーマにした、コンセプト・ミニ・アルバムになったんですよね。

-アーニーの曲って、今までもこの街で生きてる人が主人公で、その誰もが孤独とか鬱屈を抱えながらも健気に生きる姿を描いた曲が多かったと思うんですよ。それをアートワークも含めて、ようやく統一感のある作品として完成させられた意味は大きいですよね。

テラオ:うん。ずっとこういうことをやりたかったんだと思います。今回のアルバムは人間賛歌だなぁと思うんですよ。冷めてるように見えるけど、熱いんですよね。みんな一生懸命生きてるなぁって。

三木:だから音楽的にいろいろなことをやってるけど、言いたいことが変わってるわけじゃないんです。歌詞も暗いし(笑)。でも、たぶん僕はこういう曲が歌いたくて音楽をやってるんですよね。もっと楽に生きりゃいいのにって考えることもあるんですけど(笑)、それはずっと変わらないんだろうなと思います。