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INTERVIEW

Japanese

嘘とカメレオン

2018年09月号掲載

嘘とカメレオン

Member:チャム(.△)(Vo) 渡辺 壮亮(Gt/Cho)

Interviewer:秦 理絵

-今回のアルバムの中で、まずリード曲の「フェイトンに告ぐ」には、ひとつ"自分らしく生きていく"っていうバンドのメッセージが含まれてるじゃないですか。もうひとつ強い意志を感じたのが「モームはアトリエにて」なんですよね。

チャム(.△):既成概念を壊していくっていうのが、私たちのバンドにもある軸のひとつだと思ってるから、「モームはアトリエにて」にはそれが強く出てると思いますね。

-他の収録曲についても話を聞ければと思いますが。「鳴る鱗」は、他の曲とかなり雰囲気が違ってて、横に揺れて踊れるようなポップ・ソングですね。

渡辺:これは古い曲ですね。いくつかトゲのある激しい曲ができるようになってきたなかで、その先に何か広がりを持たせたいなと思って作ったんです。ミドル・テンポで踊れるもの。でもニヒルな小難しさが残ってるような曲にしました。

チャム(.△):私たちの音楽は原風景というか、ちょっと懐かしいもの、古いものを大事にしてるところがあって、その感じが歌詞には出てると思いますね。

-なぜ、今作で嘘カメは原風景を描いたんでしょうね?

チャム(.△):誰もが通るものだからですかね。おばあちゃんの家の近所で鳴いていたセミの声とか。人によって違うとは思いますけど、そういう懐かしい景色って、誰もが通ってるからこそ、いろいろな人に響くのかなっていうのは思います。

-ちなみにタイトルの"鳴る鱗"というのは、どういう意味なんですか?

渡辺:それ、俺も聞きたいわ(笑)。

チャム(.△):これは夢の中で、よくわからない海洋生物の鱗で作った楽器を弾いてたんですよ。で、この曲のデモを聞いたときに、"夢で鳴ってた音が鳴ってる"と思ったんです。

渡辺:あんたの見た夢の音色を作ったのか! 俺、めっちゃ天才やん。

チャム(.△):私の歌詞はそういうものばっかりですね。

-チャム・ワールドですね。アルバムの中には1曲だけ、チャム(.△)さんが作詞作曲をした「うみねこの鳴く街で」という曲もありますが。

渡辺:これも古いですね。今となっては僕が全パート作ってるんですけど、僕が加入する前に、彼女が鼻歌を録音したものを送ってきて、それにコード進行をつけたんです。

チャム(.△):これは地元広島の呉の街並みなんですよ。呉線っていう海沿いを走る電車があって。あの風景を思い浮かべて書いたんです。

渡辺:これも原風景なんですよね。

-では、アルバムの最後に収録されている「キンイロノ」の話も聞かせてください。軽やかなポップスだけど、後半にかけてふくよかに広がる感じにエンディング感があります。

チャム(.△):まさに私たちは"to be continued感"って呼んでるんですけど。歌詞に出てくる"聖者"っていう2文字に、メンバーとお客さんを映してて。嘘とカメレオンっていう冒険の、次を照らしてるような曲になればいいなと思って書いた曲ですね。

渡辺:例えば、「うみねこの鳴く街で」とか「鳴る鱗」っていうのは、チャムが歌詞で出した原風景ですけど、「キンイロノ」は、僕の原風景なんですね。僕が子供のころは90年代後半だったんですけど、夕食を作るような時間帯に家で流れたアニメのエンディングに、故郷感がある歌が多いなと思ってるんです。それで、あのときの光景を曲に落とし込んだんですよね。子供のころに見た風景のぼやけた感じ。セピア色の感じというか。

-"原風景"っていうものは、今回のアルバムではひとつキーワードではあるけど、でも、次回作になったら、どうなるかわからないなっていう感じもしてるんですよ。

渡辺:僕たちはやりたいことをやるだけですからね。

チャム(.△):たしかに次も懐かしさを追い求めていくのかって言ったら、私たちもわからないんです。また違う境地にいくのかもしれないし。だから自分でも楽しみなんですよ。

渡辺:毎秒自分たちが変わっていってる感じがするんですよね。言い方を変えると、変わり続けてるっていうことが、唯一嘘カメの変わってないところもであるんです。