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INTERVIEW

Japanese

HEADLAMP

2018年08月号掲載

HEADLAMP

Member:平井 一雅(Vo/Gt)

Interviewer:秦 理絵

-今話を聞いてると、最初曲作りに悩んだ時期もあったけど、そこで一度じっくり考える時間があったから良かったのかもしれないですね。

本当にそうなんですよ。悩まされるのは嫌いなんですけど、終わってみたら、"ありがとう"と思いました。

-他の収録曲についても訊ければと思いますけど、「Skyline」はメロディが切ないですね。

これは激動の曲で......実は、友達が死んでもうて。昔、米子にツアーに行ってたときによく来てくれてた仲いい子が去年死んだんです。車の事故で。"スカイライン"はその車の種類です。もう2~3年会ってなかったんですけど、それがすごく悲しくて、よく言うと思うんですけど、会えるうちに会っておけば良かったなって。だから飛行機雲が天国の向こうに続いていくっていうイメージで、歌詞から書きましたね。

-それでメロディも悲しい響きになったんですね。

サビがマイナーの曲ってあんまりないんですよね。でも、マイナーって悲しいだけやと嫌なんですよ。人が死んでしまったから、希望を描くのは難しいけど、俺らは生きてるし。雲の向こうに何かがあるっていうのを歌うことで、その子がおったことを忘れへんようにしたかったんです。

-とても個人的な曲なんですね。

そう。その子と、その子の友達のために書いた曲ですね。今回のミニ・アルバムは命がテーマになってるなと思っていて、その鍵を握る部分ですね。

-命がテーマになりそうだと思ったのは、この曲ができてからですか?

それもあると思います。やっぱり生きていくためには、死を覚悟せなあかんと思うんですよ。"メメント・モリ"ってあるじゃないですか。

-ラテン語で"死を想え"という言葉ですね。

その言葉を意識すると、死の方を思っちゃうんですけど、今をどう輝かせて生きていけるかっていうことに重点を置いたら、「タクトを振れ」とか、100年後まで届く「タイムシャトル」が生まれて。悲しさも100年後まで届けることが大事なんですよね。

-なるほど。4曲目のタイトル"アンビー"は、歌詞に出てくる"Be anbitious"の略ですか?

そうです。かわいく言ってみたいなと思って(笑)。Be anbitiousって難しい言葉だけど、小さい子が"アンビー"って言ってたら、かわいいじゃないですか。だから、いつか自分の子供にも歌ってほしい曲やなって思ってます。

-それこそスカっぽい要素もあって、「タクトを振れ」のときに話していた、音を楽しむ、音楽で遊ぶっていう感覚に近い曲だと思います。

この歌詞を書いてたのは3年前ぐらいだから、今回のアルバムの中では古いんですよね。で、去年ぐらいから、弾き語りでやるようにはなってたんですけど、ドラムの奏が"いい曲やから入れよう"って言ってくれて。メンバーにも子供心で楽しめるような曲にしたかったから、"自由にやって"って言いましたね。メンバーも遊んでくれたし、ニコニコしながら手を振って聴くような、みんなで歌える曲になればいいかなと思います。

-歌詞には、お父さんに言われたこと、お母さんに言われたことが出てきますけど、これは実際の言葉ですか?

はい。これは中学のときに、おとうとおかあに貰った言葉をそのまま入れてます。"「もう人の目は気にせず自分を信じなさい。」"とか。

-何がきっかけでお父さんにそれを言われたんですか?

俺が中2ぐらいのときに学校に行きたくないって言い出したんです。吹奏楽部やったんですけど、部活の中で諍いがあって。で、"部活を辞める。ひとりでギターを弾いててもバカにされるし、学校にも行きたくない。嫌やねん"って言ったときに、"そんな人の目を気にしなくていいから、自分を信じてやりなさい"って言われて。おとんってすごいなと思ったんです。おかあに言われた"「たまには帰っておいで。」"の方は、高校に行ってから、ライヴとかで家に帰るのが遅かったりして、心配をかけた時期があって。でも、一度ライヴを観に来てくれたときに、"ちゃんと家に帰ってきてくれるなら、好きなことをやりなさい。バンドを続けなさい。絶対できるから"って言われたんですよ。それが自分の人生を変えた言葉なんですよね。そういうことを、自分も子供に歌いたいと思ったんです。


"愛に生きる"っていうのは、俺の人生のテーマなんです


-最後の1曲はバラード曲「愛に生きて」です。どんどんテンポが遅くなってきますね。

夜になっていくんですよね(笑)。

-前作『ON THE GROUND』も、1日を通しての流れがありましたね。

たしかに。作りながら、"あ、これは夜に聴きたい"と思うと、あとの方に持っていっちゃうんですよ。自分の中で最後の曲ってすごく大切なんです。

-"愛に生きて"っていうのは、壮大なテーマだなと思いました。

"愛に生きる"っていうのは、俺の人生のテーマなんです。だから今までもラヴをテーマにした曲もあったんですけど、それを改めてタイトルにしました。

-この曲の愛は、誰に対してのものですか?

人ですね。隣で支えてくれる身近な人とか。この曲は、昔おじいちゃんが死んだときに、「最後の夜」っていう曲を書いたんですけど、そのアンサー・ソングなんです。18歳ぐらいのときに作った自主制作に入ってるから、誰も知らない曲なんですけど。そのときに、おじいちゃんとおばあちゃんが大恋愛をして、駆け落ちをしたっていう話を聞いたんですよ。で、おとんが生まれて、今俺が生まれたっていう。そんな大恋愛をした人の血を継いでるのやったら、愛を胸に携えながら生きていかないけんと思ったんですよね。で、今はおばあちゃんも身体が弱ってきてて。おばあちゃんから貰ったのはこれだよっていうことを書いたのが、今回の「愛に生きて」なんです。この曲をおばあちゃんに歌って、みんなに歌う。その順番が崩れてしまうと嫌だなと思ったんです。