Japanese
アーバンギャルド
2018年04月号掲載
Member:浜崎 容子(Vo) 松永 天馬(Vo)
Interviewer:荒金 良介
ストレートで素直なものが一番強いと思うんですよ
-今回は繰り返しの歌詞フレーズも多くて、そこもキャッチーさに繋がっているのかなと。
松永:口ずさめるものが多いですよね。パッと聴いて、覚えられるものにしたかったから。「インターネット葬」とかも(NHK)「みんなのうた」で流れたらいいなと思ったんですけど、"殺せ"という歌詞があるから、どうだろう(笑)。
-「インターネット葬」は童謡に通じる親しみやすいコーラスも入ってますよね。
浜崎:実際の子供たちを使いましたからね。インディーズ時代に子供の声を使ったこともあったから、そこは初心に返ったのかなって。
-音楽的にはテクノ/ニュー・ウェーヴの色合いが濃くなってませんか?
浜崎:それはおおくぼさんの影響が大きいと思います。アーバンギャルドに加入する前からサポートで手伝ってくれて、外部からずっと見てくれたから。第三者的な目線でアーバンにこういう曲ないよね? とか、もっとこうした方がいいと思ったのがそういう要素なのかなって。
-今作が自分たちのど真ん中みたいな気持ちはあります?
浜崎:そうですね。やりたかったけど、どうしてやらなかったんだろうって。ストレートで素直なものが一番強いと思うんですよ。音に関しても一番言いたいことを出そうよって。
-『鬱くしい国』のタイミングで取材したとき(※2014年6月号掲載)に浜崎さんはアーバンギャルドでは作詞しないと言ってましたが、そこも解禁してますよね?
浜崎:はははは(笑)。そんなことを言ってましたか。
松永:「大人病」、「キスについて」は僕と一緒に浜崎も共作しているんですけど、彼女の中に明確なイメージがあって......。
浜崎:そう。"大人病"って曲名を聴いて、こういう言葉を絶対に入れてほしいというのがあって。最初に天馬が出した歌詞は私が思っていたものと違ったから、自分が思っていた歌詞を見せて......。
松永:それで改めて書き直したんですよね。
浜崎:「キスについて」はヴォーカリスト的に歌いたい曲だから、絶対に収録してほしいとお願いして。この曲も自分なりの歌詞のイメージが膨らんでしまって、こうしたい! って。その意見を聞いてくださって、書き直してもらいました。
-浜崎さんの自我も芽生えたと。
浜崎:ソロでは作詞もしているんですけど、意外と(作詞は)好きかもと思って(笑)。ソロ活動で気づかせてもらえたから。
-「キスについて」もすごくいい曲ですね!
浜崎:おおくぼさんが作ってきて、すごくいい曲だなって。アーバンギャルドでほかにもバラードはあるんだけど、曲が長すぎたり歌詞がアルバムのコンセプトに寄っていたりとか、ライヴでストレートに伝わらない感じもあって。「キスについて」はどの場面でも入れられる曲だなと思います。
松永:歌詞も普遍的な言葉だけを使って、業界用語みたいなものを避けようと。文字数も少ないから、心情も削られて映像のみで喚起させるしかない。短歌みたいな感じです。
浜崎:アーバンを知らない人でも良質のJ-POPのバラードだ! と思ってくれたらいいなと。
-あと、"東京タワー"(「ビデオのように」)という歌詞があったり、「トーキョー・キッド」という曲名もありますが、今作は東京も裏テーマなんですか?
松永:アーバンギャルドがイメージする少女というコンセプトは東京のような都市でもあるのかなと。自意識が強くて、ちょっとしたアクシデントで壊れやすいものみたいな。
浜崎:女の子ってひとつ衝撃的なことがあると、簡単に壊れちゃうし、そういう危うさは東京という街に似ているかなって。
松永:しかも常に変わりたがって、渋谷駅のように改築を繰り返すわけですよ。山手線もひと駅ごとに色があるじゃないですか。今作は曲ごとにカラフルな色合いがあるし、その変幻自在な感じもアーバンギャルドらしさであり東京らしさかなと。
-そして、4月8日には10周年記念公演("アーバンギャルドのディストピア2018 KEKKONSHIKI")も控えてますよね。
松永:10周年公演ということで、中野サンプラザホールという過去最大の会場でやらせてもらうんですけど、アーバンギャルドの歌詞や音の世界観をいままで以上にステージで表現できるんじゃないかと思います。事件として目撃してくれないと、生(せい)は体験できないですからね。液晶ばかり覗いている幽霊のみなさん、肉体を取り戻すためにライヴにおいでください!
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