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INTERVIEW

Japanese

ASCA

2018年03月号掲載

ASCA

Interviewer:杉江 由紀

-直訳すると、"PLEDGE"とは"誓約"を意味します。ASCAさんにとっても、これは未来に対しての誓いを託した歌になったということなのですね。

決められた運命のように思えることでも、もし別の結果が欲しいなら自分の力で目の前にあるものを壊して、さらに未来へと向かっていくような強さをこの歌の詞から感じたんです。その姿勢こそが、ここで言う"PLEDGE"なんだと私は感じていますね。思い入れが強かったせいか、レコーディングのときはめっちゃ汗をかきながら全力で歌うことになってしまいました(笑)。

-文字どおりの熱唱をされたと(笑)。

レコーディングで使うヴォーカル・ブースって、わりと狭いですしね。完全にひとりっきりの空間なのもあって、全身全霊で集中して歌っているとだんだん体温も上がっていっちゃうみたいです。とはいえ、あくまでも広いところでたくさんの人たちに向けて歌うことをイメージしていました。でも、実際は狭いし、かなり孤独だったりするんです(笑)。

-優雅に見える白鳥が、水面下ではせわしなかったりするのと少し似ていますね。それから、これは参考までにうかがいたいのですけれど、ASCAさんはレコーディングでのテイク数という面では多い方ですか? それとも、少ない方でしょうか。

それは、曲を作ってくれた方のタイプにもよりますね。今回の表題曲「PLEDGE」を作ってくださったSakuさんは基本的に細かく曲の世界を突き詰めていく方ですし、私自身もやっていくうちに"ここをこうしたい"というこだわりがどんどん出てくる人間なので、お互いの相乗効果で今回のレコーディングは結果的にわりと長めの時間をかけることになったと思います。

-それだけ、完成度の高いものを具現化できたということですね。

場面によって、だんだんと場面が展開していくような構成といいますか。1曲の中で、感情が刻々と高まっていく雰囲気を歌で表現したかったんです。当然、サビで最も強いインパクトを聴き手に与えたかったことは間違いないんですよ。でも、意外とBメロの歌い方も個人的には難しかったし、とてもこだわったところでしたね。

-静かに淡々と歌って完結する楽曲でもなければ、かといって派手に歌い上げればそれでいいというタイプの楽曲でもないので、"機微"と場面の切り替わりを念頭に置いたヴォーカリゼーションが必要になってくるのがこの「PLEDGE」だと言えそうです。この世界を克明に描き出すのは、なかなか並大抵のことではないはずですよ。

そう言っていただけると嬉しいです! たぶん、今ある程度の表現力を身につけられているのだとしたら、それは昔7年くらい音楽教室に通っていた経験も生きているかもしれないですね。教室ではテクニックや発声の仕方よりも、感情表現の方を積極的に磨くような感じだったので、今もその経験は非常に役に立っていると思います。この取材が終わったら、音楽教室の師匠に"褒められました"って電話しなきゃ(笑)。

-さて、"PLEDGE"というこの作品タイトルになぞらえまして、ここでASCAさんにもうひとつお答えいただきたいことがございます。今このタイミングにて、ご自身に対して何かを強く誓うとするなら、それはどんなことになりますか。

誓いですよね。自分自身に対してとなると、まずは"諦めずにやり通す"ことかなぁ。これからも常に希望を捨てずに、困難が目の前に立ちはだかったときには、自分で道を切り拓いていくことを誓います!

-自分で道を切り拓いていく、と言えば。今回のシングルのカップリング曲となっている「悠遠」にて、ASCAさんは作詞に初挑戦されたそうですね。

はい。作曲者である重永亮介さんと、この曲では一緒に作詞にも参加させていただきました。自分の携わった歌詞がCDになるのは初めてのことなので、今回はそれもすごく嬉しいことですね。

-となると、もしや詞のテーマ自体はASCAさんが?

これまでASCAの楽曲の中には恋愛を歌ったものがなかったので、ここでは自分らしさを出す意味でもラヴ・ソングをかたちにしてみました。一応、テーマは遠距離恋愛です。

-つまり、これは実体験に基づいたものだということでしょうか。

基づきつつ、作品として膨らませたところもあります(笑)。

-切なさもあり、温かさもあり、の歌詞はなんとも言えず胸に響きますね。ここは、ひとつ現在進行形で遠距離恋愛をしている読者の方に向けて、ASCAさんからメッセージをいただきたいところです。ズバリ、遠距離恋愛をうまく運ぶ秘訣はなんでしょうか。

えーっ! 難しい! だって、この「悠遠」は失敗に終わっちゃったやつですよ!?

-いえ、だからこそですよ。失敗に終わってしまったからこそ、"あのとき、こうしていれば......"とあとから習得できたことがあるはずだと思いますのでね。

なるほど(笑)。その点からいくと、"自分本位にならずに相手を思いやる"っていうところかなぁ。どうしても、離れていると不安って大きくなってしまいがちだと思うんですよ。だとしても、"もっとこうしてよ!"とか自分の希望ばかりを言わないようにすることが大事かもしれません。

-ここまでいろいろとうかがって参りましたが、最後に5年後なり、10年後なり、ASCAさん自身が未来のASCAというアーティスト/シンガーにどうなっていてほしいか、教えてください。

歌手になりたいと思うようになる前の私は、小学校3年くらいまで何かあるとすぐに"どうせ、自分なんか......"と思ってしまうタイプの子供だったんですよね。そうやって弱音を吐くたびに、親には当時メチャクチャ怒られていたんですけど、今思うとそういう諦めの意識を捨てなきゃいけないなと思い始めたころから、自信をなくしたときでも"どうせ......"という言葉を自分の中でのNGワードにするようになったんですよ。そして、私が芯の強い女性アーティストたちに憧れるようになったのは、今思うとそのころくらいからだったんだと思うんです。今はただ憧れるだけではなくて、自分でもみなさんに向けて歌を伝えられるようになったので、ここからも女性の持っている強さというものを聴いてくださる方たちに届けていきたいと思います。当然、CDだけではなく生の歌でもそこは表現していきたいので、将来的にはライヴ活動にも力を入れたいですね。5年後と言わず、近い将来にはツアーで各地をたくさん回っていたいです。みなさんに会えるのが楽しみだな。