Japanese
ASCA
2018年03月号掲載
Interviewer:杉江 由紀
-使命感とは、何に対するものでしょう。
歌というものを通じて、自分にどれだけのことができるんだろうか? ということをより真剣に考えるようになったんです。それこそ、デビューする前はバイトとかもしていたので、生活のすべてを歌や音楽で埋めるわけにはいかなかったんですけど、デビューを機に環境も変わってより真正面から歌に向き合えるようになったときに、自分の中に少しだけ残っていた中途半端な部分が一切なくなったんですね。純粋に、ここから先の自分は歌を歌って生きていくんだという覚悟ができたんだと思います。
-では、ASCAさんとしては今後ご自身の歌を受け手の方々にどんなふうに聴いていただきたいと考えていらっしゃいますか。
曲のタイプにもよるとは思いますが、自分自身が好きだったアーティストさんの歌によって勇気づけられたり、つらかった時期を乗り越えられたり、という経験をしたことが何度もあるので、私も自分の歌を聴いてくれる方々の心を少しでも動かしたり、背中を押すことができるような歌を届けられたらいいなと思っていますね。
-先ほどの使命感という言葉は、その目標とも密接に結びついていそうですね。
去年、私は地元の愛知県からこちらに上京してきたんですけど、実際に上京するまでにはかなりの葛藤が自分の中にあって、そのころも私を救ってくれたのは音楽であり歌だったんです。中学生のときにコンテストでファイナリストになったとはいえ、そこから去年11月のデビューまでにはいろいろと紆余曲折もありましたね。"こんなところでくすぶっていていいんだろうか?"という思いが日に日に大きくなっていっていたのが去年の始めごろで、半ば飛び出すくらいの感じで私はまずこっち(東京)に来てしまったんですよ。
-半ば飛び出すくらいの感じでまずこっちに来てしまった、というのは具体的にどんなことを意味するのですか。
その時点では、まだASCAとして始動する話も何も具体的には動いていなかったんです。でも、成人式が終わった時点で"とりあえず、東京に出よう!"と思って引っ越してしまったんですね(笑)。そうしたら、幸いちょうどそのタイミングでASCAとしてのデビューに向けたプロジェクトが始まったという流れでした。
-念ずれば花開くではなく、自ら動いてみることでいよいよ道が拓けたわけですね。しかも、その節目が成人式だったというのが実に感慨深いエピソードです。
誰でも、人生の転機ってきっと何度かはあると思うんですよ。そういう大変なときとか、つらいときとか、頑張らなくちゃいけないとき、あるいは少しネガティヴなモードになってしまいそうなときほど、私はいつも感情移入しながら音楽を聴いてしまうし、それに助けられてきてもいるんです。だからこそ、私も聴いてくれる人たちが"もうひと踏ん張りしてみよう"と思ってくれるような歌を歌いたいと思うんでしょうね。
-当時のASCAさんにとっての壁や困難は、いずれも音楽と歌に関することでしたか。それとも、時にはプライベートな面でもそれらが出現したりして?
プライベートなことも......まったくなかったわけではないですけど、それでもだいたいは歌とか自分の夢に関することがほとんどでしたね。地元で路上ライヴをしていたころなんかも、ずっと悩みっぱなしでしたし。まぁ、悩んだところで結局行き着くのは"やっぱり歌いたい"という気持ちでしかなかったんですよ。歌うことに悩みながら歌うことでいろいろなことを乗り越えてきた、という部分が私には結構あると思います。
-ちなみに、路上ライヴをされていたころに収穫できたことはありますか。
いろいろありましたよ。昔、実は高校1年生のころに別名義の"大倉明日香"としてCDを出したことがあったんですね。そのころにラジオに出演する機会がありまして、そのことを覚えていてくれた人が路上ライヴにたまたま通り掛かってくれたらしく、最後まで聴いてくださって、話し掛けてくれたことがありました。人の記憶に残る歌が自分にも歌えているんだな、ということがわかってそのときはとても嬉しかったです。あとは、路上ライヴを観てくれたうえで、いったんどこかに色紙を買いに行ってくれて、戻ってきてから"サインください!"って言われたこともありました。わざわざそこまでしてくれるなんて! と、あのときも思わず感動してしまいましたね。あとは......そうそう! 人生初のチップをいただいたこともありました(笑)。
-なるほど。様々な経験をされたのですね。
そもそも、路上ライヴに関しては"立ち止まってもらう"だけでもすごいことですから。あの時期は、歌う人間として鍛えられたところもたくさんあったと思います。
-さて。それではここで話をまた今現在へと戻しましょう。デビュー・シングル『KOE』に次ぐ、今回の2ndシングル『PLEDGE』を制作していくうえで、ASCAさんが特に留意されていたのはどんなことでしたか。
どんな曲調かということだけでなく、個人的に最も大事にしていたのは歌詞の内容をいかにして聴き手に伝えていくか、ということでしたね。前回の「KOE」のときもそうだったんですが、今回の「PLEDGE」についても"(アニメのタイアップを)任せていただいた以上は、その期待にしっかり応えなければ"という気持ちが強かったです。しかも、そういう今の自分の気持ちと今回の「PLEDGE」の歌詞はすごくリンクしていたんですよ。そういった意味で、今回は前回以上に歌詞に対して深く入り込めたところがありました。
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