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INTERVIEW

Japanese

ザ50回転ズ

2018年01月号掲載

ザ50回転ズ

Member:ダニー(Gt/Vo) ドリー(Ba/Vo) ボギー(Dr/Vo)

Interviewer:岡本 貴之

1月17日にリリースとなる初のセルフ・タイトル・アルバム『ザ50回転ズ』は、フル・アルバムとしては9年ぶりの作品。とはいえ、彼らは決して止まっていたわけじゃない。その間、デビュー10周年を迎え、デビュー・アルバムのリマスター盤『「50回転ズのギャー!! +15」~10th Anniversary Edition~』や7インチ・シングル、ミニ・アルバムのリリース、国内外でのライヴ活動など、常に精力的に動き続けていたからこそ、今作がこんなに豊富な音楽的アイディアが詰め込まれた1枚になったはず。新しい試みをしつつも、誰が聴いても"ザ50回転ズ"としか言いようのない最高傑作について、メンバー3人にたっぷり話を訊いた。

-9年ぶりのフル・アルバムはセルフ・タイトルになりましたね。

ダニー:セルフ・タイトルはキャリアに1回のみ許された切り札というか。この切り札をいつ出すのか? っていうのはザ50回転ズを組んでからこれまで考えたことはなかったんですが、マスタリングが終わってひと段落したときに、メンバーと乾杯して"タイトルどないすんねん?"って言った次の瞬間にこのタイトルが出ましたね。"セルフちゃうのこれ?"って。

ドリー:たしかにセルフ・タイトルってありやなって思ったんですよね。あまりにもザ50回転ズな作りになっているので。だからダニーが言ったときに、僕もボギーも"あぁ、いいね!"ってなりました。

ダニー:満場一致で、ストーンと決まったよね。普通、1stアルバムにセルフ・タイトルを冠するような印象がありますけど、僕たちの場合は何を血迷ったか1stアルバム(2006年リリース)が"50回転ズのギャー!!"なので。

-"ギャー!!"を付けてしまったという(笑)。

ダニー:(50回転ズの)"ギャー!!"、"ビリビリ!!"(2007年リリースの2ndアルバム)、"ビックリ!!"(2009年リリースの3rdアルバム)ときてしまったので、ようやくここでセルフ・タイトルにするのはどうかと。メンバーとも話していたんですけど、内容が、ザ50回転ズがまったく新しいことに挑戦し続けた12曲オンリーだったらおそらく違うタイトルになったんじゃないかと思うんですよ。でも俺たちの必殺技、ロックンロールの楽しいところ、ロマンチックなところとかがガッチリ入ったうえで、新しい試みも数曲入っているという、"最新型のザ50回転ズ"で、しかもベスト盤的な最高な内容ということでセルフ・タイトルしかないなって思ったんですよね。

-いろんな曲の要素を聴き比べると、1stアルバムのアンサー・アルバムのようにも思えました。

ダニー:あぁ~そうかもしれないですね。「天王寺エレジー」(『50回転ズのギャー!!』収録曲)と「新世界ブルース」もご近所やからな、みたいなね。結局、僕らがやりたいことってこういうことやなって思うんですよね。僕らの魅力が一番伝わるのってこういう曲なんだろうなっていうのも思いますし、一周回って戻ってきたじゃないですけど、なんとなく1stアルバムの純粋さに近いもんはあるんじゃないですかね。いろんなレーベルとかレコーディングとかの経験を経ての9年ぶり4枚目のフル・アルバムなんで。原点に戻るまではいかないですけど、"俺たち、結局やりたいことはここだったよな"っていうアルバムになってます。

ボギー:ラインナップを見て、"ザ50回転ズ"としか形容しがたいなっていうことでセルフ・タイトルになっているわけで。まさに俺たちの最新アルバムだなって思っています。

ドリー:全部新曲なんですけど、今までリリースしたザ50回転ズの曲たちをギュっと集めたような雰囲気はあるかなって思いますね。

-ここに至るまでミニ・アルバムや7インチ・シングルをリリースして、ライヴもずっとやってきたわけですけど、ここでフル・アルバムを出すことになったのはどうしてなんでしょう?

ダニー:もう、"ええ加減出そう"っていうことですね。

ドリー&ボギー:ははははは(笑)。

ダニー:僕たちはライヴをずっとしてるんで、お客さんからの反応をダイレクトに聞けるんですよ、良くも悪くも。だからライヴが終わって片づけをしているときにお客さんから"フル・アルバム出してくれません?"って真剣な目で見られるという(笑)。まぁそうやろうなって。俺たちもミニ・アルバムって聴き切りのサイズが好きだったこともあって、ミニ・アルバムを作りがちやったんです。でもそれも3、4枚で満足していたんですが、結局5枚も作っちゃって。ぶっちゃけた話、ミニ・アルバムは曲数が半分だから、制作期間が半分で済むんですよ。だからすぐリリースできてツアーもできるっていう。回転がいいんですよね。ミニ・アルバムっていうのはすぐにお客さんに会いに行ける、フットワークを重視したボリュームなので。制作期間を含めて、ツアーを重視した結果ですね。

-なるほど、そういうことですか。2016年に1stアルバムのリマスター盤でもある『「50回転ズのギャー!! +15」~10th Anniversary Edition~』を出したことが今作制作のきっかけにもなっていたのかなって思ったものですから。

ダニー:あれは、新曲を作るときに心のどこかにひっかかる何かではあったと思うんですよ。あのリリースが2016年にあって今作の制作が2017年の頭から半年くらいだったので、なんとなく1stアルバムの匂いが残っていたというのはあったんですよね。だから1stアルバムのアンサー・アルバムっておっしゃっていただいたのは、その香りを感じてもらったのかもしれないし、僕らも知らず知らずのうちに原点に立ち返る意識になっていたのかもしれないです。

ドリー:ライヴ中心にやっているので、(『「50回転ズのギャー!! +15」~10th Anniversary Edition~』の)リマスターのマスタリング作業を終えてリリースして、ツアーで1stアルバムの曲を全曲やって、というのを経ていたことが、心のどこかしらに影響を与えていたかもしれないですね。

ボギー:うん、そうだね。

-その結果生まれたアルバムは、ロックンロール、モータウンあり、ブルーグラスあり、昭和歌謡、三味線までありと盛りだくさんですね。

ダニー:そうなんですよね。もう、なんのバンドかわからない。

ドリー&ボギー:ははははは(笑)!

ダニー:"これはロック・バンドなのかな?"っていう。エレキ・ギターとエレキ・ベースがラウドに鳴っていて、楽しくて踊れてロマンチックで、拳を握ったり、たまにちょっとホロッときたり。

-ザ50回転ズをRAMONESを始めとするパンクとかロックンロールのイメージで見ている人が「新世界ブルース」を初めて聴いたら驚くと思います。

ダニー:1stアルバムに「天王寺エレジー」という曲があるように、僕らは最初から王道のロック・バンドではないんですよね。パンク・バンドでもないし。アティチュード的にはパンク・バンドに近いものはあると思うんですけど、やっている内容がパンク一辺倒ではないので。ルックスもおかしいですよね。60年代のサイケ・バンドみたいな髪型とスーツですから。ちょっと捉えどころがないというか。だから、最初は勘違いされるんですよね。