Japanese
ザ50回転ズ
2018年01月号掲載
Member:ダニー(Gt/Vo) ドリー(Ba/Vo) ボギー(Dr/Vo)
Interviewer:岡本 貴之
-シンセの音は「純情学園一年生」でも目立ってますよね。
ダニー:"うにょにょにょにょ~ん"って音ね。アナログ・シンセは全曲入れようと思ったんですよ。タイトルを"ザ50回転ズのうにょにょにょにょ~ん"にしようと思ったくらい入れたかったんですけど(笑)、スタジオでいろいろ研究してみた結果、結局いらんな、ということになったのが8曲くらいありまして。でも4曲くらいアナログ・シンセを入れてます。ちゃんとルーツのあるところに入れているんですよ。「純情学園一年生」は80'sのアイドル歌謡的なメロディなんですけど、当時のアレンジャーって、めちゃアナログ・シンセを入れたがって、売れてる人から売れてない人までアナログ・シンセが入っているんですけど、その軽薄な感じを出したかったんです。他にも、「ハンバーガーヒル」には、途中のリズムが落ちるところでダブっぽいドラムが入っていて、その奥で"ゴワゴワゴワ~ウォワウァワワ~"って......。
ドリー:誌面で伝わりづらい(笑)。
ダニー:そういうのも入っています。あれは、映画"狂い咲きサンダーロード"の冒頭部分の煙がバーッて出ている場面があるじゃないですか? あそこで"ゴワゴワゴワ~"って鳴っている音があって。"あの音ってめっちゃカッコいいけどなんの音やろう?"ってずっと探していて、アナログ・シンセだって突き止めたんですよ。それで、「ハンバーガーヒル」っていう不穏な曲に入れているんです。
-いやぁ~、"狂い咲きサンダーロード"が入っているとは気づきませんでした!
ダニー:いや、気づかないでしょう普通!
一同:(爆笑)
ダニー:僕も初めて言いましたから。でも、再現性がすごいんで映画をもう1回観直してから聴いてみてください(笑)。それと、「クレイジージジイ」には特に前半部分に入っているんですけど、グラム・ロック・バンドのSWEETが中期くらいにアナログ・シンセをよく使ってるんです。グラマラスでキラキラした感じで、見た目だけじゃなくて音楽的な意味でのグラム感、ブギーっぽさ、スエード・ヘッドとかストンパー的なアプローチでのイギリスっぽいグラム感というか。それでSWEETのピヨピヨ感を出したくて、こういう曲にしました。
-「ホテルカスバ」はこれまた他の曲とは違うロカビリー的なアプローチでウッド・ベースを弾いてますね。
ドリー:これはダニーから、"ウッド・ベースでスラップをやってほしい"って言われて。でもスラップやったことなかったんですよ(笑)。それでイチから練習しました。エレキ・ベースとウッド・ベースは音の並びだけ一緒で、あとは全然違う楽器なので。これは2017年のツアーではまだやってないですけど、2018年のツアーではウッドを弾くのかな? どうなのかな? っていう感じです。
ダニー:どうなのかな~!?
ボギー:僕は至ってシンプルな跳ねのリズムで叩いているんですけど、やっぱりスラップですよね。スラップの"バチンッ"っていう返りの音がすごくリズムに影響があって。一緒にやってると、ドラムも変わったことをしているように聴こえるんですよ。
ドリー:エレキ・ベースとリズムの取り方が変わるんだよね。
ダニー:どっちかというとネオロカの雰囲気やけど歌謡曲の感じもあって。STRAY CATSとCab Callowayと、歌謡曲を足して3で割ったような感じというか。面白い感じになりましたね。ホーン隊は浅草ジンタのシーサー(Tp)君と、SCAFULL KINGのNARI(Sax)さんにアレンジも全部お任せして吹いてもらいました。ええ仕事をしてくれましたねぇ。
これからもやりたいことだけをやっていきたい
-今作にはザ50回転ズがこれまで受け取ってきた、ロックンロールを始めとする音楽が詰め込まれていると思いますし、それを受け継いで自分たちの音楽にしているのがザ50回転ズの活動だと思います。それこそ2017年にChuck Berryが亡くなりましたけど、"俺たちがやらなきゃ"みたいな気持ちってあります?
ダニー:ぜんっぜんないね!
ドリー&ボギー:(笑)
ダニー:そういう使命感みたいなものはないんですよ。僕たちは僕たちでルーツを探して、最高に楽しいロックンロールをやるだけ。バンドとしては楽しいロックンロールをやって、もし僕たちのルーツに気づいてくれたら、個人個人ディグっていってほしいです。だから、サービスを説明しすぎないようにしたい。みんな何もかも言いすぎている気がするんですよ。だから僕らは言いすぎない。"秘すれば花なり"的な。世阿弥です。
-それにしては饒舌な感じですが......。
ダニー:ははははは! 多弁な世阿弥やなぁ。
-でも、"最高に楽しいロックンロールをやって、もしルーツに気づいたらディグってほしい"っていうのは、リスナーもそう感じて聴いている気がします。
ダニー:うん、僕らもそう願ってます。
-セルフ・タイトルのアルバムを作ったザ50回転ズがこれからどこに向かうのか楽しみです。
ダニー:組んだときからそうなんですけど、"今やりたいことをフレッシュなうちにやる"って思っているんですよ。もしかしたら10年後に今作を振り返ったときに、"シンセ入れるんじゃなかった~!"とか"なんで三味線弾いているんだ!?"とかって言ってる可能性もありますけど(笑)、今どうしてもやりたかった。そんな感じでたぶんずっとやっていくんでしょう。"今、最高のものを作る"っていう気持ちで、これからもやりたいことだけをやっていこうと思います。
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