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INTERVIEW

Japanese

H△G

2017年09月号掲載

H△G

メンバー:Chiho(Vo) Yuta(Gt)

インタビュアー:沖 さやこ

夏の記憶は色濃く残り、思い出すたびに切なさを感じる。その切なさがH△Gにとって大事


-H△Gは以前から季節を歌うことが多いですよね。

Yuta:結成当初からネット上での活動がメインだったため、いまも"海外へ発信すること"も意識しています。そうしたときに日本にしかない"四季"というものを表現し、発信していくことは重要だと考えています。

Chiho:特に夏の記憶って強烈に残っている気がします。春はウグイスが鳴いたり、秋は鈴虫の声が聞こえてきたりしますが、夏の蝉の鳴き声って異常に大音量ですよね! まさに日本中に鳴り響いているというか。そして異様に暑くて、冷たいものが異常においしい。真夏の太陽にさらされて汗をいっぱいかきながらの夏フェスは異常に楽しい。"夏といえば"がたくさんありますし、夏は五感を刺激するものがすごく多いと思います。夏の記憶は色濃く残り、私は思い出すたびに切なさを感じます。その切なさがH△Gにとって大事なのだと思っています。

-"夏の魔法にかけられて大人になっていくとしても"という歌詞が印象に残りました。

Chiho:この部分の歌詞は、夏の魔法にかけられて気づけば大人になっていくけど、それに相反して本当はまだ大人になりきれてない、という姿が描かれています。色濃く、でもあっという間に通り過ぎていく夏の不思議に包まれながら、夏を迎えるたびに歳を重ねていく。そんな現実や自分に心が追いつかない、そんな気持ちを感じながら歌っていました。H△G自体、青春期真っ只中という期間を少し過ぎたように感じていますが、これまでも青春というものに照準を定めて作品を作っていました。伝えたいことの核は変わっていないんですが、少しずつ描きたいものの視野が広がってきています。

-いまのH△Gが歌う"大人"とはどんな存在でしょうか。

Chiho:大人ってなんだろう(笑)。私は大人になろう、なろう、って思ってしまうときがあって。でも何もかもが大人にならなくてもいいんじゃないかなと思うんですよね。開き直ってるわけじゃないです(笑)。言葉にするのが難しいけど、大人にならなくてもいいはずの部分まで大人になろうとしてしまって。でも小さいとき、学生のときはこうだったじゃん! って思い出せたとき、ふっと肩の荷が下りることってあると思うんです。だからH△Gは、大人になるにつれて忘れてしまったそういう部分を思い出させるような、そんな音楽でありたいなと思います。そしてH△Gにとっての大人というのは、今まさに探し始めているときだと感じます。

-「星のパンフレット」は"裏リード曲"とのことですが、その真意とは?

Chiho:実はこの曲は、H△Gが最初に作った「星見る頃を過ぎても」(2014年リリースのデビュー・アルバム『f分の1ゆらぎ』収録曲)から繋がる曲として描かれているんです。「星見る頃を過ぎても」の主人公の7年前と7年後という物語になっていて、この主人公を通してH△Gの歩いてきた軌跡も感じるような1曲ということで、隠れたリード曲として収録されました。

-H△Gは季節と同じくらい夜を歌うことが多いと思いますが、特別な想いがあるのでしょうか。

Chiho:静かな夜、私は自分の心と向き合うことが多いです。いつかの日を思い出したりすることも多くて、思い出の引き出しをそっと開ける時間だったりします。私の住んでいる町の中には、心を落ちつけたいときに行くお気に入りの場所があります。中学生のときからその秘密の場所に行くようになったんですが、私にとっての青春の場所であり、今でもそんな夜を迎えることがあります。

-「スーベニールの花束」は"静岡PARCO 10周年TVCMソング"に起用されています。これまでのH△Gにないサウンドのアプローチで驚きました。

Yuta:H△Gチームの中には電通ミュージックの方がいるため、そこからご縁があり起用していただけることになりました。CMの絵コンテが先にできていて、それを見つつ、何度かやり直しをしながら(笑)、監督さんの思い描くイメージに近づけていきました。この曲は楽曲のトラックを先に作り、そこに僕がメロディを乗せるというコライト方式で制作しました。これまでのH△Gにないサウンドのアプローチになったのにはその流れも大きく関係していると思います。

Chiho:私たち自身馴染みのあるPARCOさんの10周年をお祝いできるということで、とても嬉しく光栄な機会をいただきました。私の歌も、歌というよりは声というひとつの楽器として参加したりしています。H△Gの曲の中ではこういうアプローチは初めてかなと思います。あとは少し力を抜いて声を張らない歌い方で挑戦しました。ぐっと声量を絞ったなかで耳元で優しくささやくような雰囲気、そして1文字ずつ聴く人の耳に残るよう心掛けていました。ぜひ注目して聴いてみてください。

-歌詞には決意表明的なものも感じましたが、どんな出来事や物語が背景にあるのでしょうか?

Chiho:この曲、実は"決意!"というより、メジャー・デビューをするにあたって寂しく思っている方々に届けたいという想いから作られた曲なんです。ずっとずっとH△Gをそばで支えてきてくれた方がたくさんいるんですが、今回のデビューではその方たちから少しだけ離れて、H△Gがちょっとだけ自立し始めるきっかけになりました。まだまだこれからが勝負ですが、これまでどんなときも背中を押し続けてくれた方々への想いは変わらずここにあるということを記した1曲です。

-初回限定盤AとBには「secret base ~君がくれたもの~」が収録されています。なぜこの曲をカバーしようと思われたのか?

Yuta:H△Gチーム界隈でこの曲が好きな人間が多く、"夏"というテーマで曲を選出した際に賛成意見が多く出たこともあり、今回カバーさせていただきました。僕自身、大好きな曲です。この曲が主題歌になっていたTVドラマを思い出し、当時のことがフラッシュバックします。

-H△Gはこれまでに多数カバーをしてきたと思います。カバーすることの良さや魅力とはどんなものでしょうか。

Yuta:"カバーしてライヴで演奏する"ということは、H△Gのオリジナル曲と同じぐらいにその楽曲と向き合うことになります。歌詞、メロディ、コード進行、自分たちでは生み出せない表現がそこにあって、毎回とても勉強になります。そこで得たものをその先のH△Gの制作に生かしていっています。コード進行などは自分の手癖では考えられない進行を辿ることもあるので、ライヴで演奏を行う際に思わずミスしてしまいそうになる瞬間が多く、その点では怖いです(笑)。

Chiho:誰かの曲を、H△Gらしく自分たちに落とし込む作業はいつも少し手こずっています。でも、そこから生まれる新しいH△Gの表現を見つけられることが多く、とてもいい刺激になっています。歌に関しても、自分にはない歌い方は勉強になります。そしてそのなかで、私らしさを見失わないようにということを大切にしています。

-2017年8月15日には愛知県岡崎市・図書館交流プラザ Libra ホールにてデビュー記念ライヴ"夏の在りか"が開催されました。グループとして前進できるようなライヴになったのでしょうか。

Yuta:SEで登場する際に客席からの歓声を聞いたときに"岡崎市Libra ホールにこれだけの人が集まってくれたんだ"と体感し、思わず涙してしまいそうでした。デビュー記念ライヴを地元・岡崎市で開催できたこと、そしてそこに全国からみなさんが集まってくれたこと。僕らを支えてくれる方々の顔を思い浮かべながら、一瞬一瞬を大切に演奏しました。自分にとっての最高の"夏の在りか"になりました!

Chiho:今回のライヴでは、今までにない演出をたくさん織り交ぜていきました。レーザービームのような照明や、開演前と開演後の蝉や蛙たちによるBGM。そんな特別感に包まれた会場に、遠くから近くからたくさんの方が集まってくれました。ステージからの景色は最高でした。そして、その日1日を一緒に作ってくれていたスタッフはみんなH△Gのメンバー。自分たちにできる最高の音楽を届けよう、という想いからスタートしたH△Gが、ステージ上の実演メンバーだけでなく見えないところで大活躍しているH△Gメンバーみんなで作り上げた1日です。あの日あの場所にいた全員に感謝の気持ちを送りたいです。ここから先、さらに前へ前へと進んでいくH△Gを、楽しみに見守っていてください!