Japanese
H△G
2016年01月号掲載
Writer 沖 さやこ
インターネットの発達によって、様々なタイプのアーティストが現れるようになって久しい。筆者もレコード店のレコメンドなどで新しい音楽と出会ったり、試聴機に入っている作品を片っ端から聴いたり、店長におすすめを訊いたりすることも多いが、それと同じくらい家でSoundCloudや動画サイト漁りをする。インターネットの世界にはネットだからこそ成し遂げられる作品に溢れ、そのクオリティは――気軽に投稿できるぶん低いものも頻繁に見受けられるが――高水準のものが多い。DTMを使ったトラックメイカーがCMソングを手掛けることや、メジャー・アーティストのアレンジやリミックス、作曲などを担当したり、自身がメジャー・アーティストとして活躍することも珍しくなくなった。そしてDAOKOや、ぼくのりりっくのぼうよみのように、才能あるクリエイターたちと手を組み、自身の世界観をさらに確固たるものにする10代のアーティストも現れている。
VOCALOID音楽の立役者のひとりであるハチ=米津玄師も活動の幅を広げ続け、彼が2015年にリリースしたフル・アルバム『Bremen』はオリコン週間チャート1位を獲得し、第57回日本レコード大賞の優秀アルバム賞も受賞した。これは一部の人間のものだったインターネットから始まった芸術が、メイン・カルチャーとなった象徴的な事象とも言えるし、発端はどんなものであっても、素晴らしい音楽は多くの人の心を掴み巻き込んでいくということの証明でもあると思う。もはやネット・シーンがどうこうと語ることすら時代遅れなのではないかと思うくらいだ。
そして彼らもインターネットを中心に活動している。ヴォーカル+コンポーザー&クリエイター集団、その名もH△G(ハグ)。ヴォーカルのChihoを中心に、サウンド・コンポーザー・チーム、ミュージシャン・チーム、レコーディング・エンジニア・チーム、デザイナー・チームによって構成されるクリエイター集団の総称である。そんな彼らが2015年12月24日に、配信限定でベスト・アルバム『Everlasting Night of Teenage Girls』をリリースする。アジアからヨーロッパ圏を中心に世界各国から厚い支持を得ているH△Gが、海外ファンにも自分たちの音源を手にしてもらいたいという想いから、厳選した既発曲+英詞バージョンを8曲収録している。
H△Gの音楽はヴォーカリストのChihoと4人の"実演メンバー"、そして覆面制作集団の手によってでき上がっている。Chihoはジャズ・ピアニストの父とクラッシック・ピアニストの母のもとに生まれ、幼少期より音楽が溢れる環境の中で育つ。ミュージカルと声楽によって培われた歌唱力とのことだ。パソコンで同期音源を操るコーラス&パフォーマーはShoko。音楽、アイドル、アニメをこよなく愛するH△Gのマネージャー的存在で、メンバーのスケジュール管理やSNSでの外交を担当している。ライヴでは独特のウィスパー・ボイスでChihoの歌に花を添える。リーダー兼ギタリストのYutaはすべての楽曲を作曲。少年期をイギリスで過ごしバイオリンとピアノを学び、帰国後独学でギターを始める。普段は寡黙だが内に秘めた闘志はメンバー随一とのことだ。H△GのライヴやMVなどで実演する鉄壁のリズム隊はYukihitoとTakeshi。ガールズ・ヴォーカル・メロコア・バンドのSandy Beach Surf Coasterなど、H△Gの他にもメンバー、サポート問わず様々なバンドで活躍している。そしてこの5人に加え"Wish CREW"なるものが存在する。H△Gの編曲やトラック制作などを行なっている覆面コンポーザー集団で、H△Gでは"Wish CREW"もメンバーと位置づけているとのことだ。
H△Gにとって初の全国流通となったのは2012年にリリースされたコンピレーション・アルバム『Rockin' on Girl's Door Vol.2』。愛知発のガールズ・ロック限定レーベル"STRAWBERRY FIELD"がメロディック・パンクの名門レーベル"Baby Rock Diamond"と共に企画するガールズ・ロック限定コンピで、H△Gは「星見る頃を過ぎても」「少女たちの終わらない夜」で参加している(※この2曲は今回リリースされるベスト・アルバムにも収録されている)。そしてその翌年、カナダの歌姫momocashewとYamato Kasaiにより結成された世界基準の音楽制作ユニット"Mili(ミリー)"とのスプリット・アルバム『H△G × Mili』をAmazon限定でリリース。同作はリリースと同時に完売した。
2014年1月に初の単独作品となるプレ・デビュー盤『少女たちの終わらない夜 e.p.』を、5月にはデビュー・アルバム『f分の1ゆらぎ』を発表。そしてMiliとのスプリット・アルバムの再発を望む声の多さを受けて2015年1月に『H△G × Mili vol.2』をリリースした。セールスも好調で、同年2月に渋谷CLUB QUATTROで行われたリリース・パーティーはソールド・アウトを記録している。この約3年にわたる活動の中で、ニコニコ動画初投稿作品がニコニコインディーズ・デイリーチャート第1位を記録し、『少女たちの終わらない夜 e.p.』は国内最大のインディーズ・サイトindiesmusic.com週間チャートで第1位を獲得するなど、インターネットを中心に話題を集めてきた。だからこそ同時にジャパニーズ・カルチャーに精通した海外ファンも増えてきたというわけだ。
H△Gの音楽はDTMトラック・メイカーやVOCALOIDクリエイターとは違い、バンドの生演奏を基盤にしたアプローチだ。プログラミングやストリングス、ピアノなどの華やかなウワモノがインパクト大で響く、力強いギター・ロック。ギターにはメロコアやエモのテイストもあり、優雅さと泥くささが同居しているところも特徴的。そしてChihoの透明感のある伸びやかなヴォーカルは楽曲をドライヴするというよりは、楽曲の一部に溶け込むようでもあり、音の上で佇むようでもあり、はたまた楽曲を俯瞰しているようでもある。
彼らのコンセプトは青春期の"葛藤"や"胸の痛み"そしてその"蒼さ"を言葉やサウンド、デザインで表現すること。例えば彼らの代表曲でもあるTrack.1「星見る頃を過ぎても」の歌詞に着目すると隅から隅までセンチメンタルや悲しみしか存在せず、誰しもの別れの体験に当てはまる描写ゆえに自分自身が経験した別れなどを思い出させ、さらなる感傷を呼び起こす。だが音楽やChihoの歌声に湿っぽい雰囲気は皆無で、歌詞に綴られた葛藤や胸の痛みをすべてポジティヴに昇華するようだ。それは現実逃避なのか、それとも夢を現実に変える力なのかは定かではない。だが彼らは音楽を通じて全力で"未来は明るい"と叫んでいるようでもある。それは傷だらけになりながらも笑顔を絶やさずに希望を持って勇敢に困難へと立ち向かう、物語の主人公のようだ。仮想現実とも言える2.5次元で活動する彼らは今後一体どのような展開をしていくのか? 2016年の動向に注目したい。
H△G
配信限定ベスト・アルバム
『Everlasting Night of Teenage Girls』
2015.12.24 ON SALE
1. 星見る頃を過ぎても
英題:Past the Stargazing Season
2. 少女たちの終わらない夜
英題:Everlasting Night of Teenage Girls
3. 桜の唄
英題:Song of the Cherry Blossom
4. カラフル
英題:Colorful
5. あの夏、僕らは。
英題:Nostalgic Summer Days
6. パラロジクスノート
英題:Paralogics Note
7. forget-me-not(Original Artist:Split BoB)
英題:Forget Me Not
8. 星見る頃を過ぎても(English Version)
英題:Past the Stargazing Season
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