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INTERVIEW

Japanese

chocol8 syndrome

2017年05月号掲載

chocol8 syndrome

Member:しゃおん(Vo) ケンコモブチ(Key/Cho) しま(Ba) 奏(Dr)

Interviewer:蜂須賀 ちなみ

-お話を聞いてみて、若い女性特有の考え方だなと私は思ったんですけど。

ケン:正直、"超わかる!"っていうのはなかったですね。

しま:ひとつのポイントに絞って話すと、俺は別に並ぶのも嫌いじゃないし、もしも出てきたものが自分の思ってたのと違ったとしても、それはそれでひとつの経験だなって思うタイプなので。そしたら今度他のところに行くときに"こないだあそこに行ったときに(思ってたものと)違ったからきっとここも違うんだろうな"、"今度のは良さそうだな"とか思えるので。

しゃおん:でもポップコーンとか綿あめのために2時間並ぶ奴がいるんだよ? 原宿には。ありえなくない!?

しま:あ~、それはないね。

しゃおん:カラフルなお菓子と自撮りしたいためにみんな買ってるんだよ! それをネットに投稿してるようじゃファッションだよ。どうせ家ではせんべいとか食ってるくせに......。

-(笑)ある意味、鬱憤というか、しゃおんさんの中で溜まりに溜まってたものが歌詞の中に吐き出されてるわけじゃないですか。でもケンさんは先ほどもおっしゃっていたように、それを見て明るい歌詞だと思ったんですよね。

ケン:うーん(笑)。今までの曲と比べて、というか......僕、サビの"夢という名の真実"っていうフレーズが結構好きで。どういう意味なのかはちょっとわからなかったんですけど、希望に満ち溢れてる感があるなぁって思って。で、そのフレーズはラスサビにもあるんですけど、実は最初はその部分がなかったんですよね。

しゃおん:"あたしが求めてたまらないのは/夢という名の真実/夢は真実になってく"っていうところがまるごとなかったんですよ。

ケン:でも"夢という名の真実"ってパワー・ワードだなと思ったので、"もらった歌詞を変えてもいい?"、"こいつで締めないとこの曲は終われないよ"っていう感じで(しゃおんに)聞いて。そのおかげで明るい感じの曲になってるんじゃないかなと思います。

-たしかに、今までのしゃおんさんだったら歌ってなかった言葉なんじゃないかなと思います。

しゃおん:そうですね、今までの曲はヘイトな部分だけを抜き出してたので。でもこの曲は二面性というか、"こうなりたい"、"良く見せたい"って思ってる自分と、実際にはそうなれない自分の境界線というか、そういう曖昧な部分を切り取りたいと思ったのでポップな部分も出したいなと思いました。なのでジャケットも、明るくて魔法少女やセーラームーンみたいにキラキラした子とちょっと暗めの女の子が対になってるようなイメージで。

-右側の女の子はセーラームーンのような衣装を着て自信ありげに笑ってて、左側の女の子は制服を着てちょっと悲しげな表情をしてますね。ステージ上の自分はどちらに近いですか?

しゃおん:それはもう完全にセーラームーンですね。

ケン:俺もそんな感じかも。ステージでは"こうなりたい"っていう自分を表現できる。普段は結構落ち着いてる方だと思うんですけど――

しゃおん:ていうか、いつも暗い!

ケン:(笑)学生時代もクラスの端っこにいて静かにしてるタイプだったけど、明るいグループの人たちを見て"いいなぁ"って思ってたし、そういう人になりたいなっていう気持ちもあって。だからステージの上では、パン! っていう自分なんです。

奏:"パン! っていう自分"って何だよ(笑)。

ケン:爆発(笑)?

奏:まぁ自分が輝ける場所っていうことだよね。

ケン:そうそう。だからもう本当に楽しくてしょうがなくて。

-しまさんや奏さんはそのあたりいかがですか?

しま:俺はどちらかというとケンさんから見た、憧れられる側の立ち位置にいた人間なので。

しゃおん:チャラチャラしてるもんね。

しま:チャラチャラはしとらん(笑)! でも誰とでもワーキャーできるような人だったんです。

奏:自分もそうですね。ライヴ以外でも友達と遊んだりとかすることが結構多かったので、逆にライヴのときは切り替えて"しっかりやろう"っていう気持ちがあって。俺らはそんな感じですね。ドラムとベースなので、しっかりとライヴを作ることがまずは大前提というか。

ケン:だから本当に真逆だよね。

奏:でも、ちゃんといい役割分担になってると思う。

しゃおん:でも、人生うまくいかなかった人の方が輝けるんだよ。

しま:俺はいつでも輝いてるけどね。

一同:(笑)

-この4人だからこそ"二面性"が表現できるのかもしれませんね。この「ティーンガールの憂鬱」にも2曲目の「ピーターパンシンドローム」にも大人と子供、虚構と現実という対比が登場しますよね。だから統一性もあります。

しゃおん:そうですね。でもそんなに意識はしてなくて......。

奏:10代最後の今の気持ちを歌詞に書いてたら自然と統一性が生まれたっていう感じだよね、どっちかっていうと。

しゃおん:何か自然な流れだったよね。だからこういう曲が2曲連続で出てきたっていうことは、大人になりたくないっていう気持ちが強すぎるからなのかもしれない(笑)。

ケン:そういう葛藤を表すためにこの曲(「ピーターパンシンドローム」)はロック・テイストにして、ギターの音が目立つように作りました。1曲目がポップだったので、ポップとロックという対比もつけて。

しゃおん:これが一番ロックだよね、今ある曲の中で。ストレートで、シンプルなロック。

-逆に言うと、ストレートな曲が出てくるのが3年目のタイミングっていう。今まではそれだけストレートにはいかなかったっていうことなんですよ。

ケン:捻くれた曲ばっかりでしたね。

奏:昔は"良い曲を作ろう"ってこねくり回してたところがあったよね。今は作曲者も作詞者もプレイヤーもいろいろ経験を積んできて、想いやメッセージを込める余裕が生まれたというか。そういうところはあるかもしれないです。

-そのうえでしゃおんさんの書く歌詞がバンドにとっても武器だとみなさんご自身が気づいたからこそ、"歌詞を聴かせる"という方向にバンドが進んでいってるわけですよね。

奏:そうですね。やっぱり『エウロパe.p.』を出してそのツアーをまわったときに、感情的に聴いてくれるお客さんが増えたなと思ったんですよ。涙ぐみながら聴いてくれてる人もいたりして。それで、もっといろいろなことを伝えていけたら自分たちにとってもお客さんにとってもいいんじゃないかなと。お客さんが普段思ってることや言えないことも代弁できたらいいんじゃないかなっていうふうに思い始めましたね、最近は。