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INTERVIEW

Japanese

the band apart×□□□

2016年10月号掲載

the band apart×□□□

the band apart:木暮 栄一(Dr)
□□□:三浦 康嗣
インタビュアー:石角 友香

-形になるとすごく川崎さんの像を結びますね。

三浦:結びます(笑)?

木暮:形になってようやく音楽として聴けるんですけど(笑)。やっぱり川崎って幼馴染みだし長い間知ってるから、ギターを爪弾きながら歌ってるっていうだけで面白すぎて。笑っちゃうだけだったんですけど、意外と切ない曲なのかなぁと(笑)。

-バンアパって元から開いてる人たちだと思うんですけど、□□□によって意外な側面が表出した今回のように、機会がないとそれがなかなかわからないと思うので。

木暮:そうですね。

三浦:ほんとそうですね。みんな東京出身っていうのもあるかもしれないけど、普通に開いちゃってるから、"俺ら開いてるから"ってわざわざアピールする必要がなくて。"あ、頼まれればやるよ"ぐらいの感じなんです。どう見られようが見られまいが、ただいるだけって感じが好きですね。住んでるのは練馬区だけど、六本木ヒルズに住んでるベンチャー社長よりも断然都会的だなって感じますね。

-バンアパも気持ちはメンバーそれぞれかもしれませんが、木暮さん自身はいかがですか?

木暮:すげぇいいのができたなと。聴いてて面白いし、"なんだろうこれ?"って感じでランニング中に何回も聴いてますね。でも、川崎の「スニーカー」だけはダメですね、まだ。笑いはしないけど、あいつの歌声で胸が締めつけられるんで。

-で、「Eric.W」(2002年リリースのthe band apartの2ndシングル表題曲)にせいこうさんのラップを乗せたTrack.5「お前次第ってことさ」については?

三浦:この曲だけ村田プロデュースで。最初、「Eric.W」のデータをもらってリミックスみたいな感じでやる予定だったんですけど、時間もないんで演奏し直してもらって。ま、早いのなんの。

-バンアパとしてはそのへんのこだわりはないんですか?

木暮:こだわりは特に。ただできあがったものを聴いて、"すごいことさせんな"って思いました(笑)。最初のせいこうさんのラップ・パートが長いじゃないですか? 近年、世界中を見渡してもこんなに長いラップはないから(笑)。

三浦:村田がせいこうさんにすごく無茶振りしてて、"128小節ぐらいとりあえずラップ、3日後ぐらいに書き上げてきてください"って。俺もたいてい無茶振りするんですけどね。でも、"わかった!"って書いてくるんですよね。

木暮:すごいポテンシャルだな。

三浦:そのへんは村田監督チョイスで。村田は俺より前から(「Eric.W」を)聴いてるし、この曲は一番、バンアパファンに向けてるかもしれないですね。

木暮:向けたにしてはラップが長いね(笑)。

三浦:ヒップホップとかレゲエって、人のトラックで勝手にラップしてミックス・テープとか作ったりするじゃん。それを本人たちが演奏し直す豪華版みたいな。本人たちに無許可でやるようなことを公認でやってるっていう。ミュージシャン的な観点で言うと演奏し直すって豪華なことだけど、DJ的には別にトラックとか音とかの感じが良ければいいっていうところが同居してると思う。バンドのファンの人は"あの名曲を録り直したんだ"ってなると思うけど、そうじゃない。木暮君はやっぱりDJもやってるし、クラブ・ミュージック的な文脈も知ってて、且つバンドもやってるからもちろんロック的な価値観も知ってるから話しやすい。

-そして、同じ日にバンアパ(※"the band apart (naked)"名義)のアコースティック・アルバム『1』もリリースされます。

木暮:一般的なアコースティック・アルバムを出すときのナチュラル/クリアなものじゃなくて、すげぇジャンクな感じにしようと(笑)。そういうキーワードをエンジニアの速水(直樹)さんが独自解釈していろいろやってくれて。結構、音的に"なんだこれ?"みたいな感じになってるところがあると思うんですよね(笑)。

三浦:歪んだ音より狂った音が鳴ってるしね。

-では最後に。お互いにとって□□□、バンアパってどういう存在ですか?

木暮:うーん、たまに飲む友達って感じですかね。

三浦:そこの差があんまりないのが希有なのかもしれない。録音していざリリースするとなると、構えるじゃないですか? それが全然ないというか、温度が変わらないままスタジオで作業できるっていうところが今回のアルバムに繋がってる気はしますね。