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INTERVIEW

Japanese

惑星アブノーマル

2016年06月号掲載

惑星アブノーマル

Member:アレックスたねこ(歌) テナ・オンディーヌ(Syn/Key)

Interviewer:吉羽 さおり

アレックスたねことテナ・オンディーヌによる惑星アブノーマルが、4枚目のミニ・アルバム『VIVI de VAVI de LOVE』をリリースする。前作『ココロココニ』で、アレンジャー・鈴木Daichi秀行とのタッグによって、奇天烈でエモーショナルな歌をカラフルなポップ・チューンへ昇華。感情過多な曲すらもキャッチーに、ユーモラスに聴かせてくれたが、今作はそのポップさがさらに突き抜けている。恋愛に特化した全6曲+リミックス2曲は、多幸感マックス。脳内でカラフルな花が舞うミュージカルが開催されているかのような感覚で、アッパーなサウンドが勢いよく駆け抜けていく。情報量は今回もたっぷりだが、なんだか爽快だ。

-今回のアルバム『VIVI de VAVI de LOVE』はもともと、6月リリース予定で制作が進んでいたということですね。

たねこ:そうなんです。それが遅れに遅れて。私たちは日々、"6月1日発売です、6月1日発売です"って――

テナ:散々言ってきたんですけど(笑)。

たねこ:まさかの7月6日発売になるという。

-6月12日渋谷WWWのリリース・イベントなど、ライヴがフライングで始まってしまうという(笑)。

たねこ:そうなんですよ! リリース記念のワンマンなのに、リリース記念ワンマンじゃなくなっちゃったからどうしよう! みたいなのはあったんです。でもワンマンでは、TOWER RECORDSさんにも入ってもらってちゃんと特典をつけてアルバムを販売できることになりましたので。みんなはその日、初めてアルバムの曲を聴いて、"こんな曲なんだ"という日になると思います(笑)。

-それだけ力を入れて作品制作に向かっていたということですね。どんな作品にしたいというのはあったんですか?

たねこ:もともと私が作る曲は恋愛ものが多かったので、今回は、全部恋愛の曲で、女の子に宛てたラヴ・ソング集にしようという話になって、いろんな価値観やシーンを描いた、主に女性目線の曲を集めてみました。

-すごく濃い内容です(笑)。歌詞はもちろんサウンドの世界観もそうだし、ラヴ・ソングというと、一方通行の恋を描いたものが多かったりしますが、がっつり恋愛真っ只中で、テンションがマックスの状況の歌が多いですよね。

たねこ:そうそう、そうなんです。でも私としては、今回のアルバムの歌詞はなるべく軽いものにしようと思っていたんです。1stミニ・アルバムの『何でも無い凶器』(2013年リリース)は結構ドロドロで、恨みつらみが多かったので、今回は浮かれた感じの曲を多めにしてみたんです。だから歌詞としてはそんなに重くなっていない......と、自分では思ってます。

-はい、かなり突き抜けている感じが出ていますよ。

テナ:前作『ココロココニ』(2015年リリースの3rdミニ・アルバム)よりもコミカルさが増した感じがしますよね。

-それがサウンドとマッチしているのが、またよかったです。

たねこ:そこはアレンジャーの鈴木Daichi秀行さんのお力です。

-どんどんハイパーなポップ・サウンドにしていこうとしてる(笑)。

たねこ:そのアレンジや作曲で、時間がかかった部分はあるんですけどね。作曲の時点で、今回はすごく作り込みすぎてしまったというか。最初は何十曲とボツにされて、泣きながらマネージャーさんに"もう無理~、できない"って言っていたんです。そしたら、"じゃあ、他の人にアレンジ頼む?"とか"ダメじゃん、お前"みたいな感じに言われて。でも最初のころはまだ元気があったから、"イヤです、私が作ります。じゃないと、私の存在価値がなくなってしまう。私が作ります!"と言っていたんです。今回は、"お前アーティストとして終わってるよ"とか怒られながら、頑張ってまた作ってという繰り返しでしたね。

-今回は、だいぶ鞭打たれましたね。

たねこ:打たれました。サーカスのライオンのように、"火の輪くぐれ~、火の輪くぐれ~"って。作曲の時点で時間がかかってましたけど、Daichiさんにアレンジをお願いして、返ってきたものを"もっとこうしてほしい"と言いまくっては、また時間がかかり。作曲とアレンジにはとにかく時間をかけました。だから、レコーディングはてんてこ舞いで、1日3曲を無理矢理録る、という状態で終わりました。

-レコーディングに関してはそういうテンションの高さが合っていたのかもしれないですね。

テナ:よかった(笑)。

たねこ:そうですね。でも"これでいいのか? ちゃんとやり切れたか? リスナーに喜んでもらえる作品になったか?"っていう葛藤が、今までのアルバムの中で一番あるんですよね。私は、どのアルバムを出すときも"今までの中で一番良いものが作れました!"って言いたいんです。今回の作品は、惑星アブノーマルがこれからも存続していき続けるために、今年を飛躍の年にするために、かなり"かけてる"っていうのもあって。完成した今でも葛藤の余韻が残っています。

-まだできたばかりだから、よりそういう心境なのかもしれないですよ。ライヴで演奏したときや、これからいろんな方が作品を聴いてくれたときに、その思いは着地すると思います。

たねこ:そうだといいな。どうしよう、唾とかかけられたら......というくらい、今ヤバいんですよ私、メンヘラで(笑)。しかも、6月12日のワンマンが新曲発表会になっちゃったから、みんなキョトンってしちゃわない? ノッてくれるかなと思って。

テナ:心配はあるよね。でもライヴでは何曲かすでに披露しているので。今回は、たくさん煮詰めて、遅れてしまったぶん、いい作品になっていると思います。ワンマンやリリース・イベントで大阪や名古屋にも行くし、絶対に楽しませるつもりで頑張りますので、楽しみにしてもらいたいですね。

たねこ:そう、ライヴ自体はとても楽しみなんです。"超楽しませること"を自分たちでも楽しみにしてます。