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INTERVIEW

Japanese

惑星アブノーマル

2016年06月号掲載

惑星アブノーマル

Member:アレックスたねこ(歌) テナ・オンディーヌ(Syn/Key)

Interviewer:吉羽 さおり

-自分で書いていても、ちゃんと自分自身でハッピー感や恋愛の昂揚感を体感できる感じにしようっていうのもあったんですか。

たねこ:そうですね、まず自分がそこまで持っていないと引き出せないものなので。"私が人生で一番ハッピーだったときを思い出して!"みたいな(笑)。絞って絞って出してます。基本的に、私って暗いっていうか卑屈なので。

-ものを書く人って、そういう感情のベクトルにはなるんだと思いますよ(笑)。

たねこ:そうなんですかねぇ。先日、渋谷WWWに、吉澤嘉代子さんとShiggy Jr.とSakuちゃんとSHE IS SUMMERが出ていたライヴを観に行ったんですけど。もうかわいすぎて。その光で私が消えちゃいそうになって(笑)。"ヤバい、浄化される。このままじゃ成仏する!"っていうくらいヤバかったんですよね。私は、ああいうふうにはなれないから。私なりの、人を幸せにすることを、今回一生懸命考えて作りました。これで人は幸せになれるかな。

テナ:大丈夫、幸せにできると思うよ(笑)。同じような人間もいるから。

-いつもの卑屈な自分を置いておいて、自分の中のハッピー・モードのギアを探りあてて、入れるという状態?

たねこ:そんな感じです。でも、ライヴのときはいつも幸せだから。ライヴでは違和感なく歌えるはずなんです。っていうか、歌えているんです。"超幸せ~"ってやれているんですよね。曲を作るときってどうしても、自分のスイッチがオフの状態から作るので、大変ではあったんですけどね。

-でもきっと恋の渦中では、これが書けないと思うんです。一歩引いて、冷静でいるからこそ、恋愛で馬鹿になっちゃってる自分もわかるし、振り切ってできるところもあるという。恋愛に限らずですが、満たされてないからこそ、表現があると思うから。フラストレーションがあるからここまで突き抜けられるし、突き抜ける力が出るんだと思うんです。

たねこ:たしかに。

テナ:幸せだと、もうなんでもいいやってなっちゃいますもんね。

たねこ:フラストレーションはほんと多い。私、主に怒りで生きてますよ。人生の原動力は怒りでできてますから。でも、幸せなんですよ。すごく幸せなんですけども。

-怒りを怒りで発するのではなくて、今回のようにポジティヴな物語に転嫁したことは、いつもと昇華する方法が違うんですかね。

たねこ:今までとは違うなと感じますね。明らかに違うのは、事務所の人から、"こういうの作ってよ"って言われたときに、昔だったら作れなかったんです。卑屈すぎたのか、頑固すぎたのか、引き出しがないのか、その全部かもしれないけど、作れなかったんですよね。しかも言われたことに、怒りすら覚えるくらいで(笑)。"なんでそんなの作らなきゃいけないの"って。本当に酷かったんですよ。だけど今は、そういうふうに頼まれたときに、"うわー、壁がきた"って楽しんで作れて。なおかつ自分のフラストレーションも解消できるように、自分の言いたいことも織り交ぜながら、ニーズに応えるということが、今はすごく楽しいんですよね。それは、あるのかなって気がします。

-ほとんどが女性目線の曲ですが、Track.6「愛してやむなし」が唯一、男性目線の曲ですね。

たねこ:これはもともと、『アナタソナタ』(2013年リリースの2ndミニ・アルバム)に「愛してやまない」という曲があって、人気が高かったんです。去年ワンマンをやったときに、写真をいっぱい撮ってもらったので、せっかくだから写真展をやろうと。それで、写真を2,000円以上買っていただいた人に何か特典をつけないかということで作った曲がこの「愛してやむなし」なんです。「愛してやまない」とまったく同じコード進行で、ちょっとふざけた曲を作ろうと思って。で、気づいたらアンサー・ソングみたいになっていて、ライヴでやってみたら、これもまた人気だったので、今回、音源化したんです。

-アレンジでブラック・ミュージックの香り漂う曲になっていて、すごく新鮮でした。

たねこ:そういうふうにしてくださいってお願いしたので、これまでの曲ともだいぶ雰囲気が違うんじゃないかなと思いますね。「愛してやまない」は、ジャズ要素も結構入っていて、"すごく好きだけど、ごめん別れる"っていう曲で。「愛してやむなし」は"いや、ちょっと待てよ"っていう、キムタクに言われたい感じの曲。これも妄想の曲ですね(笑)。

-脳内でいろんなドラマが炸裂してますね(笑)。

たねこ:そうですね。私、岡村靖幸さんの曲がすごく好きなんですよ。そういうニュアンスで作ってます。

-鈴木Daichi秀行さんの、ポップでディープなシンセ・アレンジが効いた曲が多い中で、Track.5「NAGUSAME NIGHT」ではバンド・サウンドがメインになっていますよね。

たねこ:今回、アレンジはDaichiさんにもお願いしているんですけど、前作を出したときに、それまでバンド・サウンドでやっていたのがガラッと変わってしまったことが寂しかったという声もあったので。ライヴでやって、バンド・サウンドが活かされているものはそのまま活かしたいなと思ったんです。Daichiさんにシンセ・アレンジを入れてもらいつつ、ライヴでやっていることを変えずに録りたいなということでバンド・サウンド押しで録ってますね。この曲と「こゝろ死なせないで」(Track.4)は、ライヴでやってることをそのまま録りたいと思ってやっているんです。

テナ:「NAGUSAME NIGHT」は、ライヴでがっつりコール&レスポンスを求める曲で、そういう盛り上げ方もしてるので、そのままバンド・サウンド押しにしようかと。

たねこ:ライヴとアルバムでアレンジが違うのも、惑星アブノーマルの持ち味だったりするけれど、音源を聴いたときに、"ライヴではこういう感じだったな"と思い出してもらいたいなという気持ちがあったので、今回はライヴのアレンジで忠実にやりたかったんです。