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INTERVIEW

Japanese

FABLED NUMBER × 感覚ピエロ

2016年06月号掲載

FABLED NUMBER × 感覚ピエロ

-そういう"感覚ピエロらしさ"がその世界観にちゃんと引き込むきっかけになっていますね。

横山:さっき話を聞いていて、シンパシーを感じるなと思ったのは"歌"というワードで。ちゃんと歌が歌えるとか、歌にフォーカスしているとか、僕はいつもそれを感覚的に捉えているんです。いくら楽器が上手かろうと、歌が前に出ているバンドである限り、歌でどれだけ相手を惹きつけられるかは、自分でも意識をしているところです。さっき(N'Eitaが)話していたそういうところは、話を聞きながらまったくそのとおりだなと思いましたね。Jason Mrazが好きっていうのも、いいなと思ったし。

N'Eita:歌詞が乗っている以上は何かメッセージがあって、そのメッセージを伝える背景にサウンドがあって。躍らせるという要素もあるけど、最終的にはその中に入っているちゃんとしたメッセージ、言葉を聴いて、ちゃんと理解してよというところはすごくあります。今回の『A Revolutionary』では日本語詞でやるか英語詞でやるかという問題がありましたね。これまで僕が、英語が得意だったから英語詞で歌っていたんですけど、フェスに出演したりしていろんなライヴを観ていると、日本語詞は一発で伝わるパンチ力みたいなものがあるんですよね。そこが明らかに英語詞と違うというか。1作目では、それまでそれぞれで曲を作っていたのを、オケ部分はN'Taichiに全部作ってもらって。俺は一定のリズムを刻むサウンドに、どれだけカッコいい歌が入れられるのかをやってみたいから、という感じで全編、英語詞で作ったんです。自分たちでは渾身の1作という感じで作りました。"ここでこういうふうに韻を踏んで、こことここの歌詞はこうで"とめっちゃ考えたんですけど。

N'Taichi:ちなみにその1作目が『Might makes right』(2013年リリースの1stミニ・アルバム)というアルバムです。

秋月:補足が入った(笑)。

N'Eita:自分で考えていたことと、聴き手がわかってくれる部分が少なすぎて。"ただカッコいいことをやっていればいいってわけじゃないんや"って気づきました。なので、"日本語を入れたうえで、FABLED NUMBERの感じを出す"というのを一番のテーマにして今作は作らなあかんなって。

秋月:今回の『A Revolutionary』を聴いたとき、特に「世界は君に鳴り響く」で"気づいて"という歌詞が飛び込んでくるんですけど、あれはめっちゃ印象的で。あの"気づいて"って言葉は何気ない言葉だけど曲の中でリフレインもするじゃないですか。あのときに、いろいろ考えるものがあるというか。僕も洋楽は好きだから英語詞もめちゃめちゃ好きなんですけど、『不可能可能化』の中で全編英語詞は1曲だけで。メロディは心地いいけど、正直、何を伝えたいのかがわかりづらかったりしますね。

N'Taichi:なかなか日本人には飛んでこないよな。

秋月:僕らの曲でも例えば「拝啓、いつかの君へ」の歌詞で、"「あんたの正義は一体なんだ?」"というのが、パッと飛び込んでくると思うんです。そういうのが良いとか悪いとかじゃないんですけど、僕らが思ってるところに投げたとき、何人がそれを拾えるかということはあると思う。僕も『A Revolutionary』を聴いて、メロディはすごく好きなんですけど、僕自身が英語詞はわからないので。そのときに、あの曲(「世界は君に鳴り響く」)で"気づいて"というワードが僕の中にすごく飛び込んできたんです。それだけ日本語詞って大事なんだなって改めて思いました。

-曲のタイトルも"世界は君に鳴り響く"と唯一日本語ですね。

N'Taichi:その1曲だけは、タイトルも歌詞も日本語で、それをリード曲として打ち出したいというのはありましたね。

N'Eita:日本語と英語の歌のつけ方はまるっきり違って、英語詞では韻を踏んで、リズムを表で入るか裏で入るかとか、楽しくやれるんですけど。日本語はメロディにハメる難しさがあって。さっきの"気づいて"という言葉も、どうやってそのフレーズまで歌詞を持っていくかを考えたりする。最近は対バンするとき、例えばMy Hair is BadやWANIMA、04 Limited Sazabysとか――04 Limited Sazabysは昔、英語詞だったのが今は日本語詞でも歌うようになっているし、みんなどういうふうに歌詞をつけているのかを知るために、実際カバーしてみたりもして。それでようやく日本語でも書くようになりました。今までは自分のことについての歌が多かったけど、「世界は君に鳴り響く」に関しては、伝えたいことがしっかりと言えてる曲ですね。FABLED NUMBERといえば英語詞でアッパーな曲というイメージだったのが、この曲でどういうふうに捉えてくれるのかなというのはありました。

N'Taichi:ほんと勝負なんですよ。今まで英語詞だったぶん、日本語でやったときに、他に日本語でやってるバンドよりもそこは光ると思うので。今回は、そのサウンド構成や全楽曲作るときのバランスは死ぬほど考えましたね。

N'Eita:しかも"気づいて"と歌ったあとに、結構EDM感のあるセクションが入ってくるので、爆発した感はあるんですけどね。楽曲の作り手が違うので、"ここでこういう音を持ってきたい"というのは自分では選べないので、そのサウンドに対して歌詞を持っていくのがまた楽しいんですよね。

N'Taichi:制作方法はバンドそれぞれやな。ほんまに面白い。感覚ピエロもそれぞれが書いた歌詞があったりするのも面白いし。

秋月:レコーディングのときはね、歌詞を書いた人がプロデューサーみたいになるんですよ。"今のBメロもうちょっと力入れて"とか。

横山:そうそうそう。

秋月:メッセージは書いた人間が一番強く持っているので、今回は書いた人間が舵をとって先導しました。でもその曲を感覚ピエロが演奏すると感覚ピエロの楽曲になって、その曲がリスナーに渡った瞬間にリスナーの楽曲になるじゃないですか。泣けるようなテンションの歌詞じゃないのに、それでめっちゃ泣いてくれる人がおったり、受け取り方って人それぞれ違うので面白いんですけどね。毎回、作り方はバラバラなんですけど、今回はそういったところで新しいレコーディング風景にもなりました。