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INTERVIEW

Japanese

LiSA

2016年05月号掲載

LiSA

Interviewer:沖 さやこ

-LiSAさんのそういう感性がバンドマン気質なんですよね。

ははは、そうかもしれない(笑)。

-『LUCKY Hi FiVE!』はLiSAさんのそういうロックやパンクの感性と、完璧なポップ・アイコンとしての意識がすごく結実している作品だなと。それは"LiSAという人"と"LiSAを作っている人"の距離が縮まっているからこそなのかもしれないなと思いました。と、思えばTrack.5「halo-halo」のようにハッピーでポップな曲に振り切ったりも(笑)。これも"LiSAってこういう人だよな~"と思う部分のひとつですしね。

現場もすごく楽しくて。小南さんも"このコードにこのメロ乗せるの!?"、"メロディこっちに行くんだ!?"っていう型破りな感じだし、江口(亮)さんもアレンジでめちゃくちゃ遊んでるし......大人が本気で遊ぶってこういうことだな、と思いました(笑)。去年アジア・ツアーをして、好きな人を待ったり、愛したりする気持ちは世界共通だなとすごく思ったんですよね。それで「halo-halo」では"我愛"という言葉にものすごくいろんな意味を込めて。好きも嫌いも愛してるも、言葉も食べ物も全部混ぜこぜにしちゃおう! と思って"halo-halo"というフィリピン語で"混ぜこぜ"という意味の言葉をタイトルにして。日本では"ハロハロ"ってスイーツだから、歌詞に"ミルクの海"というワードを入れたり"アイス"は"愛"と掛けたり。ラストでは"Winner"と"Wiener(=ウィンナー)"を引っ掛けて、最終的にタコスと叫ぶという(笑)。

-すごい! めちゃくちゃ考えられてる(笑)! "灼熱"という言葉はアジアのイメージから来ている言葉なんですね。

そう! ただ"大好き!"と歌ってるだけのラヴ・ソングじゃないんですよ(笑)?

-深いですね。これだけ弾けたポップ・ソングで、ギミックに富んでいながらも、さりげなく意味を含ませられるのはLiSAさんのポップ・センスだなと思います。

やっぱり音楽で楽しむことは大事なことだから。小南さんの「ニャンだ!あいつ」(2015年リリースの2ndアルバム『僕を救ってくれなかった君へ』収録)とかを聴いていると、音楽で遊んでるとすごく感じるんですよね。エモいんだけどエモすぎなくて、楽しんでやれているところはすごく自分にリンクしているなと思います。

-そして等身大のLiSAさんの想いが込められたTrack.7「終わらない冒険」がラストを飾る。"味方が増えた"というのは本当にLiSAさんにとって大きなことですよね。

"ひとりじゃない"という言葉は"いやいやそんなこと言ってもさあ......向こうはそんなこと思ってないよ?"と思いがちだし、あんまり好きじゃないけど、実際自分がそういう立場になって、本当に味方が増えたことをみんなが一生懸命教えてくれた。LiSAを必要としてくれる人がひとりでもいたら頑張れるなと思ったし、その人のために希望を歌ってもいいんじゃないかなと思いました。だから"不安を抱えていたり、後悔しているのは君だけじゃないよ"と歌いたかったんです。

-ラストで歌われている"続け!GLORY"は、"歩んできた道のりもGLORY"ということですよね。

全部がうまくいっているわけじゃないし、もちろん落ち込むときだってあるし、傷つくことだってある......だけど今、私はすごく幸せなんです。やっぱりそれはみんながいるから。だから声を上げて"続け!GLORY"と言いたい。過去のことに本当に感謝しているからこそ、今までの道のりもGLORYだったんだなと思いました。たぶん1番最初は自分自身のために歌ってたと思うんです。でも今は"誰かの何かになったらいいな"、"今日をちょっと楽しくできるものになったらいいな"、"どうしたらこの人たちがもっと楽しんでくれるかな?"と思って音楽を作ってる。それが自分自身のためにもなっているなと思います。

-それは今回のタイミングで決定的なものになりましたか?

うーん、いつの間にか。私自身のために歌ってたら、たぶん『Rising Hope』(2014年リリースの5thシングル)を作ってないと思うし、そこで活動を辞めてると思う。日本武道館でライヴをやって失敗して(※2014年1月の日本武道館公演でLiSAは体調が優れず満足に声を出すことができなかった)、超恥ずかしい、悔しい、なんて情けないことをしたんだって自分自身を許せなくなって辞めてると思う。そんな状態になっても"頑張れ!"と言ってくれた人がいて、その人たちにちゃんと返さなくちゃって頑張ってきたら、自分はその人たちに対してできることがあるんだなと思えたんです。

-では、LiSAという名義でLiSAさんの好きな音楽性の楽曲を作ることは、自分自身の欲求を満たすためではなく、そばにいてくれる人に新しい世界を見せたいということ?

"新しい世界"なんておこがましい(笑)。好きなことを思いっきりやらせてもらってます。それがLiSAという人を好きな人たちを守ることだと思っています。......好きな音楽が今あるってめっちゃ幸せなことだと思うんです。私が10代のときはAvril LavigneやGREEN DAYがめっちゃ精力的に活動してたし、好きな音楽がたくさんあったんですよね。みんなの好きなものの中のひとつにLiSAがあって、それが私の好きなことだとしたら、私はちゃんとそこを貫くべきで、自分の感覚を信じるべき。LiSAという人の音楽をちゃんと守っていかなきゃいけないなと思ってます。

-では最後に、LiSAさんはこれからどんな冒険をしていきたいですか?

長く活躍しているアーティストさんを見ていると、(ファンの人も)一緒に歳を重ねて、曲にみんなの思い出が重なっていて、それがすごく羨ましい......だから先輩たちに嫉妬するんです(笑)。そういう未来をみんなと一緒に作りたいなと思います。どれだけ"LiSAを作っている人"である自分自身が一歩引いてLiSAの曲の歌詞を書いていたとしても、結局自分の人間性や価値観は音楽に出ちゃう。だから"LiSA"を飾りすぎることよりも、"LiSAを作っている人"の成長が大事だなと思ってます。毎日一生懸命、真剣に、精一杯、楽しみながら生きていきたいです。そこで出会ったいろんなことを全部音楽にしたいし、その音楽でずっとみんなと遊んでいたいと思っています。