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INTERVIEW

Japanese

LASTGASP

2016年04月号掲載

LASTGASP

Member:岡田 勇希(Vo/Gt) 小野田 稔(Gt/Cho)

Interviewer:吉羽 さおり

-バンドのアンサンブルでは、こういったタイアップの曲を作って以降、何か活かされていることはありますか。

小野田:この"弱虫ペダル"のタイアップ以前は、レコーディングをライヴハウスでやっていたんですよ。

岡田:そのレコーディングの環境が変わったということはありますね。この前の年に出したミニ・アルバム(2014年リリースの2ndミニ・アルバム『Point of No Return』)までは、愛知県岡崎市にCAM HALLというライヴハウスがあって、そこでレコーディングをしてました。エンジニアさんもいるし。でも、ステージにマイクを立ててアンプを置いてというのが俺らの中でのレコーディングのすべてだったので。「Determination」がタイアップに決まって、"じゃあ、東京でレコーディングしましょう"と言われて。"え、東京で録るの!?"って。実際に行ったら"スタジオの天井高ぇ"、みたいな(笑)。

小野田:"これはよく、アーティストのDVDで見るやつだ!"って(笑)。

岡田:そういう感覚だったんですよね。"こんなところで録らせてもらえるんだ"とか。今までも、作品や曲を作ることに関して意見してくれたり、手助けしてくれる方はたくさんいらっしゃったんですけど。このタイアップ以降に関しては、より助けてくれる方が増えて。"こうしたらいいんじゃないか"というアドバイスをもらったり。そういう意味では、昔やれなかったことがやれているということも大きいんですけど。その中で吸収できるものはたくさんあると思うので、いい経験をさせてもらえているなという思いと、これをちゃんと自分の財産として活かしていかないとダメなんだなというのは、最近より思うようになりました。

-バンドとして出したい音も、レコーディングを通してより具体的になっていくでしょうしね。

小野田:やりたくてもできなかったことというか。ライヴハウスで録っていたときは、J-POPの人たちが世に出してるCDのように迫力があって、音もきれいで――というものは、どうやったら作り出すことができるのかわからなかったんですよね。タイアップ曲を経ていろいろ学べることが多かったので、だんだんと曲としてのクオリティを良くする方法がわかってきたような気がしています。それが今までとガラッと変わったことですね。

-最初の"弱虫ペダル"のタイアップ時は、アニメの制作側がこのバンドが合うんじゃないかとLASTGASPを見つけてくれたんですよね。それ以前は、バンドとしてどんどんのし上がっていきたいという向上心は強かったんですか?

岡田:もちろんあったんですけど、あまり具体的じゃなかったんです。強い思いは持ってるつもりだし、大きな夢に向かって一生懸命やってるつもりだったんですけど、意外とそれが、現実として理解できていなかったというか。夢は夢としてカウントしていたような感覚でしたね。タイアップの前のリリースに関しては、言ってしまえば思うほど話題にならなかったし、"こんなもんか"っていう。新しい音源を作ってリリースするときは、この1枚で何かが変わるんじゃないかって思って一生懸命作って出すんですけど、そんな簡単にいくわけないよねというのは、メンバーそれぞれ心の中で少なからず持っていた感情だと思うんです。それらを壊してくれたのが"タイアップ"だったので、すごく自信になったし。自分たちの目指しているものが、ちょっと見えてきたというか、現実的になってきて、"もっと夢見ていこうぜ"みたいな感覚になったのかもしれない。でも当時は、混沌としていたかなあ。結構ヤバかったよね?

小野田:そうだね。ライヴハウスで制作したミニ・アルバムを2枚(2013年リリースの『Serendipity』、2014年リリースの『Point of No Return』)出してるんですけど。あまり1枚目と2枚目でバンドの状況が変わらなくて。どうやったら、売れるバンドのようになっていくのか、どうしたらそこに近づけるのかがわからなくて、もがいていた時期だったんですよね。うまくいかないことに対して、もやもやした気持ちがメンバー全員にあったので。

岡田:ライヴもそんな感じだったもんね、当時は。

-手応えがない感覚?

岡田:自信がなかったんだと思うんですよね。今めちゃめちゃあるかって言われたらわからないですけど、少なからずあのときよりも自信があるから。ライヴ1本やって、伝えたい思いは伝えられると思っているので。そういう意味では、成長したのかなと思うんですけど。あのときは酷かったかな(笑)。

-かといって、このアルバムを"ラッキー"なものにしてはいけないという、より高いハードルはできましたよね。今、制作や曲作りなどは順調ですか?

岡田:僕の中では順調すぎるくらいだと思っていて。この1~2年で多少、昔大事にしていたものである程度変わってしまったものはあります。そこと闘うというか、ぶつかる瞬間はあるんですよ。ライヴにしても、曲作りにしても、疑問に思う瞬間はあるんですけど。でも、そんなこともなくなったら、何のためにやってるのかわからないし、何かを言ってくれる人がいなくなったら、やってる意味なんてないと思うので。そういう意見もちゃんと噛み砕いて、自分のものにしていかないとダメだなというのは、今思ってますね。今は、去年まいたものを自分たちの手で刈り取っていく時期なのかなと思っているので。ひとつひとつ大事にしつつ、いろいろ変わっていくとは思うんですけど、ちゃんと自分たちの力でもっと上に行きたいなという気持ちです。