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INTERVIEW

Japanese

真空ホロウ

2015年05月号掲載

真空ホロウ

Member:松本 明人 (Vo/Gt) 村田 智史 (Ba) 大貫 朋也 (Dr)

Interviewer:沖 さやこ

真空ホロウ、初のフル・アルバム、その名も『真空ホロウ』。全国デビューから約5年、メジャー・デビューから約2年半、様々な挑戦や変化の中で活動してきた彼らの、名刺代わりの1枚である。新曲6曲に、インディーズ時代の楽曲の再録、メジャーでリリースした作品からも数曲収録した全12曲。そこにはバンドの歴史だけではなく、歩んできた中での原点回帰と、未来がある。真空ホロウはまだまだ成長途中で発展途上――そんな予感が迸る作品だ。Skream!初登場、メンバー全員に訊いた。

-新曲だけでなく、インディーズ時代の楽曲の再録や、メジャー・デビューなさってからリリースしたミニ・アルバムに収録された楽曲を含んでいるので、真空ホロウの歴史とこれからを丁寧に封じ込めたアルバムだと思いました。このような収録曲にした理由は?

松本:いろんな方向性は考えたんですけど、もっと我々を知っていただきたいというか。"改めまして、真空ホロウです!"という、新しいお名刺を新調した......という感じですね。コンセプティヴに作っていたものも、たまたま完成したのが5曲になった、6曲になった、7曲になった......。だからミニ・アルバムという形でリリースすればいいかな、という感じだったんです。なのでフル・アルバムを出すのはいつでも良くて。でもみんなと話していて"今出さずにいつフル・アルバムを出す?"という話になって、じゃあ今出しましょう!ということで、こうなりました。

大貫:自ずと曲も集まってきて、タイミング的にもここだろうと思って。なので本当に自然の成り行きでした。

松本:ずっとフル・アルバムを作る気持ちで取り組んではいたけれど、曲数に重きを置いていなかったというか。僕はずっと、全曲リードになるようなイメージで曲を作っていて。それが12曲集まった、という感じですね。このアルバムはメジャー・デビューをしてから今までの2年半をかけて作ったものだと思っていて。

-その2年半は、言葉にするとどういう期間でしたか?

松本:自信を喪失して、自信がつきました。昔は劣等感のかたまりで(笑)、人のことを軽蔑するくらい、変な目でしか見ることができなかったんです。けど......今は人のことを褒め称える、敬う、すごいと心から思うことができるようになったし、そういうことがしたいと思って。今までは自分のことを見ていなかったし、人に憧れすぎていた。でも、その憧れを目指していても、自分はそうはなれない。そういう凝り固まったものが目の前に線のように邪魔をしていて......今はそれを少しずつ分泌液で溶かしているんです。少しだけ空きました。

-現在進行形なんですね。

松本:そうなんです(苦笑)。この変化が、とてもいいものであると信じています。

大貫:やっぱり、(松本が)変わったなというのはわかります。人に伝えていこうとする姿勢が見えたり。

村田:20代後半は1番考え方が変わってくる年頃だとも思うので、いい意味で変わってくれるなら大歓迎だし、人に対しての優しさや気持ちの投げかけが上手にできるようになるんだったら、それは素晴らしいことだからいいんじゃないかな。でも音楽的にブレブレになってしまうと"何がしたいの?"になってしまうから、そこは本人も周りもよく見てあげないと崩れてしまうから。

-メンバー間でしっかりサポートをしあう、と。

松本:真空ホロウはとてもいい三角形なんです。メンバーが心地よいと思う音をメンバー全員がわかっていて、共有できていて。なおかつふたりは僕の歌に寄り添って、めちゃくちゃ堅い鎧となって突き進んでくれているから、僕がぶれずにいられるのかもしれない。

大貫:足りない部分を補い合う感じだね。

村田:俺が大盛り頼んで食べきれなかったごはんを大貫君が食べてくれたりね(笑)。ほんとそんな感じなんです。お互いのテリトリーが決まってるかもしれないけど、みんなそこに踏み込まなくても自分がやるべきことはちゃんとしっかりやってくれるから。松本君も大貫君も成長してるし、成長してないのは俺くらいかな(笑)? ずーっとそのまんま!

-はははは。そんなことはないですよね?

松本:髪の伸び縮みとか......少し色白になったかな(笑)?

全員:はははは!

村田:根本が変わらなすぎて自分に引く!

松本:(笑)でも村田さんは音作りに関してはめちゃくちゃ突き詰め系です。

村田:お酒も突き詰め系です(笑)。

-(笑)そういう2年半の変化を感じられるアルバムになりましたね。

大貫:アルバムを改めて聴いたときに、レコーディングした時系列も結構ばらばらなのに、"あのときはこうだったけど今はこうだな"と修行の過程が見えて。昔の自分に教えられる部分もあって、聴いて改めて勉強になりました。

村田:この2年半は私生活で得るものもあったけど、なくしたものも結構あって。だから寧ろ、俺はこれからだと思ってるんです。先に行くために、このアルバムで今までを振り返ることができたという感じなんですよね。アルバムができたあとに考える時間があって、過去と未来をくっつけられるものになったと思います。"10年20年と廃れないいいものを作る"というのは最初からコンセプトとしてあるし――例えば、X JAPANは曲数が少なくてもアルバムとして成立してるじゃないですか。やっぱりそれは1曲1曲の重みが違うからだと思うんですよね。俺らもそうやって曲を大事にしていけば、たとえ昔作った曲でも廃れないというのは容易に想像がついたことだから、こういうアルバムができたんだと思います。