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INTERVIEW

Japanese

真空ホロウ

2015年05月号掲載

真空ホロウ

メンバー:松本 明人 (Vo/Gt) 村田 智史 (Ba) 大貫 朋也 (Dr)

インタビュアー:沖 さやこ

-真空ホロウはインディーズ時代からいろんなアプローチにも挑戦していましたね。新曲と過去曲が半々に収録されたこのアルバムを聴いて、核の部分は1stミニ・アルバムの『contradiction of the green forest』(2010年4月リリース)から変わっていないんだなとも思いました。

松本:楽曲にストリングスを入れたりするのも、僕らは必要だなと思ってたんです。でも、それができるかどうかがわからなかったときにディレクターから"ストリングスを入れてみないか?"と提案をもらって......"え、入れていいの!? じゃあやります!"って(笑)。でも根本で言いたいことは今も昔も変わってないというか。人格まで変えることはできないんだな......と(笑)。マスタリングのときに、自分が全曲歌っているのを聴いて"あ、真空ホロウだな"と思いました。歌っている人も一緒だし、弾いている人も一緒だし。音が違えど、装飾が違えど。だからもっと、さらに歌を大切にしなきゃなと思っています。

-いつの時代も松本さんの作る曲は、もやもやした思いがきっかけになっているというか。音楽になることで気持ちも報われて、きっと松本さん自身も少し楽になっているんじゃないかなと。

松本:それはありますね。曲ができると明るくなります(笑)。その瞬間は、お酒がすごく美味しいんですよね......。今までは自分から湧いて出てきたものを音楽に注ぎ込んできていたんですけど、最近は......落語とかを見るようになったせいかもしれないんですけど、お題を出されてそれにどううまく返してやろうか?というのも少しずつできるようになってきているんです。そこは1歩進んだ気がします。

-原点でもある『contradiction of the green forest』は、松本さんの抱えていた気持ちがそのまま混じり気のない状態で音になった作品だったけれど、それが徐々にバンドの力も相まって、気持ちを言葉で明示できるようになったのかなと。Track.8「バタフライスクールエフェクト」は学校という小さなコミュニティで悩む10代の状況が具体性をもって示されていますし。昔の松本さんなら、ここまで状況をはっきり書くことはしていないですよね。

松本:ああ、そうかもしれない。オブラートはめちゃくちゃ薄くしてます。(学生時代のころの経験は)今までも引きずっているし、今もトラウマとしてあるし、性格を形成しているものにもなっているんだけど、「虹」(Track.12)を書いた前後に、暗いものを暗いと表現することは、"否定できない弱さ"だけを伝えているように感じたことがあって、"そこをポップに昇華できないかな......"という考えになったんですよ。それで今の自分と昔の自分を置いて、そのふたりを第三者目線で見てみたら、どっちも全然変わってなくて。自虐......じゃないですけど、きっと同じような想いを抱えた人もいるよなと思って、その人たちとポップになれればいいかなと(笑)。

-(笑)今まさにこの渦中にいる子はたくさんいると思いますし、この曲がそういう子たちを救ってくれるとも思いますし。真空ホロウは自分たちなりのやり方で、若者に手を差し伸べられるようになったんですね。

松本:......僕は自分より若い人に恐怖を抱いていたんです(笑)。それも劣等感なんです。もうあのころには戻れないし。自分の未来予想図や青写真をなんなくクリアしている人たちだなと見てしまうんですよね。でもその人たちと向き合わないといけないし、そんな気持ちを持っていたってなんにも成長しない、ただ劣化する方向に進んでいくだけだなと思って、若い人とも会話をするようにしています(笑)。

-今の松本さんの人としての成長や前進を感じられる曲もあれば、Track.1「開戦前夜」のように松本さんがバンドを始めようと思っていた時期に作った曲もある。

松本:この曲を作ったときは学生でした。ずっとリハーサルではやっていた曲だったんですけど......今出すべき曲だったんですよね。必然だと思います。1曲目だというのも。

-「開戦前夜」は驚くくらい今の真空ホロウのモードにはまっていて。それはもしかしたら、今の真空ホロウのモードが、松本さんが音楽を作り始めた、"バンドをやりたい"と思った気持ちに近いものがあるのかもしれないですね。

松本:ああ......うんうん......なるほど。これは"過去の自分なんて!"と思って曲を作る前の人(※自分)が作った曲で。そのあとに"過去の自分なんて!"と思う人が音楽をやっていて、"そんな過去があってこその今なんだよな"と受け入れられるようになって......。だからこの人(※「開戦前夜」を作ったころの自分)の歌をこの人(※今の自分)が歌うことによって、より伝わるのかもしれない。......そうか、なるほど。ありがとうございます。

-Track.2「被害妄想と自己暗示による不快感("N"ew take ver.)」は『contradiction of the green forest』に収録されているものよりもかなりアップデートされていますね。

大貫:『contradiction of the green forest』は僕が加入する前なので、今回再録するということで自分らしさを出したいなと思って。でも加入したときからずっとやっている曲で――最初3人で合わせるとき、あえて渡された音源をちゃんと聴き込んでいかなかったんです。がっちり決め込んで行っちゃうと前のドラマーのフレーズになってしまうので、構成だけをちゃんと覚えて、細かいところは覚えなくて。自分なりにやってみて、ふたりの意見を聞いて、ある程度固まったかな......というときに改めて音源を聴いて必要な部分を選んでいって。うまくバランスを取ったつもりです。

村田:当時はやさぐれてたんで、ルートはずれてるほうがかっこいいと思ってわざとはずしたりしてたんですけど、今回は"あ、だめだな、ちゃんと弾こう"と思って......。

松本&大貫:(笑)

村田:だからコードとルートを修正して。あとはやっぱり、あのときから5年ぐらい経っているから、弾いている人もなんか変わってるだろう!という期待を込めて、ほぼほぼ同じことを弾いてます。

-確かに、綺麗なベース・ラインになっていると思います。

村田:んー......東京に染まったんですかね(笑)?

全員:はははは!

村田:東京って居酒屋でもなんでも選択肢がありすぎるし、高いところに行きたいと思えばすぐ行けるし、なんでもすぐ手が届くんですよ。でもそういう中だと、どこに行きたいかというよりは"ここに行かなきゃ、あそこに行かなきゃ"みたいになってきちゃって。それがこの5年でいい感じに"行きたい場所"がわかるようになってきて、東京に振り回されないようになってきたというか。そのタイミングでのこの曲のレコーディングだったので、ベースもそういう感じになってきたというか。周りを必要以上に見なくても済むようになったのかもしれない。いい意味でちょっとずつ"あれもしたい!これもしたい"という欲が減ってきて、"これがしたい!"と思えるようになった。