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INTERVIEW

Japanese

浅井健一

2013年01月号掲載

浅井健一

Interviewer:石角 友香


-生のドラムは茂木(欣一)さんが叩いてるんですか?

生のものも2パターンあって、欣ちゃんが叩いとるヤツとシンペイが叩いとるヤツがあるんだね。欣ちゃんは1回、リハ入って、もうレコーディングしたから。まぁ3曲だけなんだけど、あそこまでのドラマーになるとそれだけで十分だね。逆に練習しすぎるよりは、その方がいいみたい。

-じゃ、さっきの5曲以外はバンドで録って、それをベーシックトラックにして?

で、その後の仕上げの作業をこっちでやった。生でやったヤツは、より一層、トラックダウンでも生々しくしたからね。

-どんなサウンドにしたいとか、こういうアルバムを作りたいっていうビジョンは?

それはもういつも同じなんだけど、すごいカッコいい音楽を作りたいなっていうのがあるだけで、方向性とかはその都度変わるわけじゃなくて、昔からずっと“カッコいい音楽を作る”っていう方向性があるだけでいつもおんなじ。

-そこは一貫していると。でも今回、サウンドが、ノイジーだったりラウドなものでも、仕上がりがシャープな印象があるんですよね。

うん、そうだね。きめ細かに。やっぱり時間がかかってるから、“ま、いっか”っていうところがほとんどない。だから自分の納得いくところまで突き詰められてるから、っていうのと、あとはまぁ深沼くんの音の性格もあるんじゃない?エンジニアとしての腕、テクニックがすごいあるってことなんじゃないかな。

-時間がかかったっていうのは、取り掛かりからフィニッシュまで含めて?

っていうか、時間がかかったね。別にかけるつもりはなかったんだけど、途中でSHERBETSのアルバム2枚出してるんで、その時はやっぱりそっちをやってたし。だから期間は長いけど時間としては短かったかもしんない。けど、期間が長いってことはそんだけよく曲を見つめ直すことができたからね。半年前、“これで完成だ”と思ってたんだけど、そのあいだに違うことやっとって、また『PIL』に戻った時に“あ、これじゃダメだな”と思って。よりクオリティが上がった曲も何曲かあるし。

-取っ掛かりになった「MORRIS SACRAMENT」とかは?

それがいい例で、1年後に聴いたら“これじゃあちょっとダメだな”と思って、再チャレンジしたとかね。そういうことだよね。だから期間が長いといい部分もいっぱいある。

-ちなみに制作の取り掛かりって震災前で、その間に震災が起こって。そういうことは影響してますか。

まぁ、自然としてると思うけどなぁ。どこが影響してるとかは指摘はむずかしいけど。

-浅井さんの歌詞は昔から変わらないと思うけど、「Mona Lisa」や「CRAZY PEGASUS」では、周りがどうあれ自分の道を行くっていう意思を、今のような時期だからなおのこと感じて。

歌詞がそういう感じがするってこと?うん、素だね。大事なことだからね。ただ歌ってることはもう変わらない。変える必要もないと思うし。自然にそういうふうになってるってこと。

-聴き手の状況として、よりリアリティが増してるんだと思います。

リアリティがないとね。うそんこ言っとるとすぐわかるもん、歌なんて。

-そうですね。今回、聴きどころだなと思ったのが、歌メロやコーラスだったんですよ。

あ、コーラスはね、自分でハモができるんだっていうのを発見してから、やっとって盛り上がるんだよね、自分が。世界観がすごい変わるんで。世界観がグッと良くなったりするから。あと、歌を1人で歌うとホントに……スタジオでみんながいるとこで歌うのと状況が全然違うから。1人で歌ってどのテイクがいちばんくるか・こないかっていうのを冷静に判断できるから、そういう点ではまさにその「Mona Lisa」だとか「CRAZY PEGASUS」なんかはまちがった選択してないと思うんだよね。