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INTERVIEW

Overseas

RPA & THE UNITED NATIONS OF SOUND

2010年07月号掲載

RPA & THE UNITED NATIONS OF SOUND

Member:Richard Ashcroft(Vo&Gt)

Interviewer:佐々木 健治

またもやあっけなく幕を閉じたTHE VERVEのフロントマンRichard Ashcroftが、新たなプロジェクトを始動した。しかも、アメリカでHIP HOPのフォーマットを大胆に取り入れたこのアルバムは多くの人々に驚きをもたらすだろう。そして、これまでにないほど前向きで力強い彼の歌声にも。このインタビューからも、Richard Ashcroftがこのプロジェクトにとてもポジティヴに挑んだことが分かるはずだ。

-まず、RPA & THE UNITED NATIONS OF SOUNDというダイレクトな意志表示となっているバンド名の由来から教えてもらえますか?

このアルバムを一緒にレコーディングしたミュージシャンたちは素晴らしかった。レコーディングが終わり、ライヴをやることになった時にバンド名を考えなくてはならなくなった時に、思ったんだ。自分がフロントに立ち、バック・ミュージシャンたちは影の存在というのはフェアじゃない。みんなで一緒に作り上げたアルバムだから何かそれにふさわしい名前にするべきだとね。俺は常々、音楽業界のジャンル分けというものに嫌気がさしていたんだ。ヒップホップとかR&Bとかロックンロールとか、人はいろいろカテゴリーに分ける。ヒップホップというだけで、ギタリストたちはまるで注目されないけど、ヒップホップの中にも素晴らしいギタリストはたくさんいる。今回レコーディングに参加してくれたギタリストのSteve Wyremanは俺にとってかけがいのない存在だった。僕はロックンロールを聴いて育ったので、プレイヤーの重要さ、楽器の素晴らしさがよくわかるんだ。アルバムの中の曲は俺が作ったものだし、ある意味、これは俺のソロ・アルバムと言ってもいいけど、ライヴに関してはミュージシャンたちもちゃんと認められるべきだと思ったんだ。影の存在でいるにはもったいない、才能のある優秀なミュージシャンたちだからね。そういう意味を込めて、このバンド名をつけたのさ。

-バンド結成の経緯と、メンバーの紹介をしていただいてもよろしいですか。

Steve Wyremanはスーツケースとギター・ケースを持ってスタジオに現れたんだ。「僕がギタリストです」って。コーヒーもティーも飲まずに彼はギターを取り出して、"準備はいい?"って言うんだ。その後、彼とちょっとFUNKADELICやJimi Hendrix、THE ROLLING STONESのことを話して、曲を聴かせた。で、"それで、お前はどういうギターを弾いてくれるんだ?"って訊いたんだ。彼がギターを弾くと、たった7分前に会ったばかりなのに彼の素晴らしさがすぐに分かったよ。彼にはオーラがあったし、彼のギターの音はまさに僕が求めていたもの、そのものだったんだ。ソウルフルな曲ではCurtis Mayfield風のタッチで、ヘヴィな曲では思いっきりヘヴィに弾いてくれたし、たっぷりタメた見事なプレイも聴かせてくれて、度肝を抜かれたよ。たったの27歳の若者が弾くギターだとは、とても信じられなかった。彼が初めて見たコンサートはPercy Sledgeだったらしい。子供の頃からいろいろなコンサートを観て、今までいろいろな人とプレイしてきたけど、スポットライトを浴びることもなく、後ろでプレイしてきたんだ。でもやっと彼にもチャンスが訪れたってわけさ。彼はスポットライトを浴びるべきプレイヤーなんだ。俺がそれにちょっとでも貢献できるのは嬉しいね。例えば、JAY-Zのファンは彼のアルバムを聴いて、彼がコラボレートしているミュージシャンたちをチェックするだろ?それで、それまで無名だったミュージシャンがいきなり注目されたりする。それってすごくいいことだと思うんだ。もちろん実力がなければ注目されることはないけどね。