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INTERVIEW

Overseas

RPA & THE UNITED NATIONS OF SOUND

2010年07月号掲載

RPA & THE UNITED NATIONS OF SOUND

Member:Richard Ashcroft(Vo&Gt)

Interviewer:佐々木 健治


-あなたが表現方法としてHIP HOPやR&Bに接近したことにまず驚きましたが、これは何故でしょう。こうしたサウンド・イメージは以前からあったんでしょうか?

そうだね。「Royal Highness」で使ったJohn Lee Hookerの「Boon Boon」のサンプリングはニューヨークで作ったけど、ほとんどの曲や、曲のアイディアになるものはあらかじめ考えて行った。「Are you Ready」「Born Again」「She Brings Me The Music」はイギリスからアイディアを持って行ったし、「Glory」は随分昔に書いた曲で、今回スタジオで、彼らと一緒ならいいものが出来ると思ってレコーディングしたんだ。No.I.D.がビートを担当してくれたのは良かった。有名なプロデューサーって自分では何もしないで、アーティストが曲を完成してスタジオに来るのが当たり前だと思っていることが多いけど、彼は違ったよ。もちろん僕がほとんどのアイディアを持っていったんだけどね。

-本作からは、新しいチャレンジに対する前向きな姿勢がとても強く出ていると思いました。THE UNITED NATIONS OF SOUNDとしての制作はいかがでしたか?

このアルバムは表現力豊かなミュージシャンたちとコミュニケーションを取りながら作ったもので、そこが素晴らしい所でもあるんだ。皆が自分たちの役割をちゃんと分かって、期待以上に答えてくれたし、能力も才能もあるミュージシャンたちとのレコーディングは本当に充実していたよ。このアルバムを表現すると・・・ソウル、ロック、ヒップホップ、この3つだな。いや、それだけじゃない、もっといろいろな、あらゆる音楽の要素が入っている。No.I.D.はドラムも叩くんだけど、彼がビートをプログラミングするときは、ドラマーが叩けないようなビートを作ったりするんだ。ルールはないからね。それがエキサイティングなんだ。「Death Of Auto Tune」や「Run This Town」は、俺と一緒に仕事をする直前に彼が手がけた曲なんだけど、ビートを聴いていると、俺がやろうとしていたことと共通するものがあって、エキサイティングだったよ。「America」のレコーディングの時なんかも、初めて彼の作ったビートを聴いたときは興奮してね。SteveやDWとちょっとリフの打ち合わせをして、"じゃあ、やろう!"って感じでレコーディングを始めたんだ。

-今作は、HIP HOPやR&Bのビートを導入しながらも、普遍的で壮大なロック・ミュージックでもあります。その融合の結果、とても力強く骨太な作品だと感じました。今作を作る上で、どのような音楽や物事がインスピレーション源となりましたか?

ありがとう。そう感じてくれてとても嬉しいよ。いつもと変わらずいろいろなアーティストからさ。Jimi Hendrixからヒップホップ、ソウルまでありとあらゆる音楽からだよ。あとはいいものを作りたいという気持ちだね。 行き着くところはそこなんだ。「Royal Highness」で歌っているように、自分がいいものを作っている、自分が思い描いていた通りの音楽を作っているという喜びが俺を突き動かしている。世界中の人が眠っている朝のスタジオで、"半年後に世の中の人たちがこのアルバムを聴くんだ"と思いながら作業をしているのはすごく楽しいよ。いい作品になりそうだと確信しながら音楽を作るのは、この上もない喜びだ。特に今回のように素晴らしいミュージシャンたちとチームを組んでアルバムが作れるのはスペシャルなことだ。半分寝ているチームメイトたちを見ながら、僕は一人で忙しく働いているのも楽しい。歌詞に関してはそれぞれの世界がある。ほとんどの歌詞はペンも紙も使わずその場で一気に考えてワン・テイクで録った。今思い返すと、このアルバムはスタジオでの瞬間、瞬間を切り取ったような作品だと思う。