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Japanese

brainchild's

2017年10月号掲載

brainchild's

Writer 沖 さやこ

brainchild's。THE YELLOW MONKEYのギタリスト、菊地英昭が"ソロでもなくバンドでもなく自分の考えていることを表現できる場を作りたい"というコンセプトのもと2008年に立ち上げたソロ・プロジェクトである。メンバーは流動的。2016年には第7期として、リード・ヴォーカルにFoZZtoneの渡會将士、ベースに鶴の神田雄一朗、ドラムにJake stone garageの岩中英明を招いた新編成を組む。この4人でミニ・アルバム『HUSTLER』を制作し全国ツアー"brainchild's TOUR 2016 G?"を行った。

菊地にもこの布陣での制作やライヴに手応えがあったのだろうか。2017年に入り、引き続き第7期のメンバーでミニ・アルバム『PILOT』を制作。そして菊地の地元・八王子にあるライヴハウス八王子Match Voxを皮切りに、全国9ヶ所を回る全国ツアー"brainchild's TOUR 2017 G??"を開催した。全公演ソールド・アウトという大盛況のツアー、最終公演は6月25日の恵比寿LIQUIDROOM。その模様を収録したのが、1年ぶりのライヴDVD『brainchild's TOUR 2017 G?? パイロット盤』だ。

前作のライヴDVD『brainchild's TOUR 2016 G? HUSTLE MUSCLE』も全国ツアーのLIQUIDROOM公演の模様を収録したもの。ただ、あのライヴは新体制がスタートしてすぐのライヴでありツアー・ファイナルではなかったため、バンドのフレッシュさや、ハプニング性も含む面白さに高揚した4人の姿が見られるものになった。今作『brainchild's TOUR 2017 G?? パイロット盤』は現在のメンバーで2年目であり、"brainchild's TOUR 2017 G??"のツアー・ファイナル公演でもある。同じ会場ということもあり、約1年でのバンドの成熟を感じられるものになったのではないだろうか。

現メンバーで2枚のミニ・アルバムをリリースしているため、渡會のヴォーカル曲を基盤に、菊地のヴォーカル曲が挟み込まれていくという構成のセットリスト。特に『HUSTLER』の楽曲は全員が余裕のあるパフォーマンスを見せ、楽曲がバンドにさらに馴染んでいることが窺えた。渡會はギター・ヴォーカルとしてだけではなく、ハンドマイク、マラカス、タンバリンなど、様々な歌唱スタイルで観客を魅了。前回のツアーに引き続きユーモラスなコール&レスポンスを行うなど、随所に第7期brainchild'sの"定番"が生まれているところにも、菊地のソロ・プロジェクトではなくバンドとしての月日を感じさせた。

この日のカメラの総数は、固定カメラを含めると16台。例えば菊地が大きく足を広げてギターを弾くシーンは、下からのカットかと思いきやすぐさま横からのカットに切り替わるなど、同一シーンを様々な角度で見られるという痒いところに手が届くカット割りである。観客目線のカットもあり、高く上がった腕の隙間からメンバーの姿が見える場面はライヴハウスの臨場感も味わえる。フロアからは見えにくいドラムのカットも多く、岩中の様々な表情を見るには持ってこい。4人全員にスポットが当たることにより、4人の和やかな空気を近くに感じられるだろう。

ボーナス映像としてツアーを追ったドキュメンタリーMV「Flight to the north」のフル・バージョンと、アンコールの模様を収録している。アンコールには第4期brainchild'sのツアーにギター・コーラスで参加した鶴の秋野 温と、第2、4期にヴォーカリストとして参加したKeita The Newestが登場。同窓会のような和気あいあいとしたMCにも、brainchild'sの歴史はもちろん、それぞれのキャリアが滲んでいた。菊地の"(brainchild'sには)卒業というシステムはない"という発言にも、いつかbrainchild'sメンバーが総動員する日が来るやも、という想像をかき立てられる。brainchild'sは来年10周年を迎える。大人ならではの無邪気さと洒落たバンド・スタイルは、これからどんな景色を見せてくれるのだろうか。


▼リリース情報
brainchild's
ライヴDVD
『brainchild's TOUR 2017 G?? パイロット盤』

POBD-60538/¥4,860(税込)
NOW ON SALE
[Brainchild's Music/PEACE-MAKER]
仕様:DVD・トールケース
amazon TOWER RECORDS HMV

1. 暁光
2. SexTant
3. Human6
4. 群衆
5. Rolling Rola
6. Flight to the north
7. 遠く・・・
8. Blow
9. まん中
10. 白と黒
11. Mellow Downtown
12. 恋の踏み絵
13. Phase 2
14. 君がいて笑って、
15. Rock band on the beach
16. 撲滅ゲーム「パラダイス」
17. 春という暴力
18. See-ya

※ボーナス映像
・「Flight to the north」Music Video
・Encore 1「ALL MY LIFE」
・Encore 2「メロディー(That's the way it goes)」
・Encore 3「Go Away」

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