Japanese
brainchild's
Skream! マガジン 2023年06月号掲載
2023.05.17 @渋谷CLUB QUATTRO
Writer : 石角 友香 Photographer:岩崎 真子
プロジェクト発足15周年記念に開催したツアーがアコースティック楽器を主体にしつつ、アンプリファイされた演奏とアレンジというのは、メンバーが入れ替わりながら変化してきたbrainchild'sならではなのではないか。現在の"7期。"メンバーになってからの曲以外にも今回用にライヴ・アレンジした曲の数々は、首謀者であるEMMA(菊地英昭/Gt/Vo)の作曲の着想をより明確に見せてくれたように思う。例えばブリティッシュ・ロック、アイリッシュなどのフォークロア、また、ジャズやカントリーといった"曲のルーツ"と、ライヴ・アレンジしたからこそ誕生した新たな色合いを実感することができたのである。ここではツアー4本目に当たる渋谷クアトロ(CLUB QUATTRO)公演の2日目をレポート。この日は国内で、初のマルチ画面での配信も行われた。
全身黒ずくめの5人がさりげなくステージに登場すると、1曲目は初期から存在し、現在のメンバーでリテイクもしたインストの「PANGEA」。ブリティッシュ・ロックとフォークロアなニュアンスを、EMMAのエレアコのオブリが牽引し、5人で大きなグルーヴを作る。そもそも1曲目に厳かなインストを持ってくるあたり、アンサンブルが強みのbrainchild'sならでは。MAL(Key)のピアノのイントロからあの特徴的なアイリッシュ調のギター・リフへ繋ぎ、自ずとクラップが起こる「Brave new world」へ。そしてスパニッシュな色合いを濃くした「Twisted Shout」のサビはスカ~ジャズのビートとサウンド感へリアレンジされており、早くも山場を迎えた。演奏が終わるとクアトロのキャパとは思えないほど大きく長い拍手が続く。静かに集中していたファンの熱量の高さを実感した瞬間だ。この日、この大きな拍手はライヴを前進させ育てた要因でもあった。
短い謝辞をEMMAが述べ、意外な初期ナンバー「Love Letter」を彼のヴォーカルで届ける。無垢なまでの声の連なりと普遍的な名曲感に、RADIOHEADの「High And Dry」を思い出してしまった。オリジナル通り、優しいアルペジオをエレアコに置き換え、おとぎ話を聞かせるようなトーンの渡會将士のヴォーカルがよく聴こえる。もともとこの曲が持つチェンバー・ポップっぽいニュアンスが、今回のアレンジでさらに明確になった。さらに神田雄一朗の印象的なベース・ラインと岩中英明(Dr)のマーチング風のリズムの「Flight to the north」と、ライヴの始まりからここまではブリティッシュ・ロック~スパニッシュ~フォークロアと、世界旅行の中でもヨーロッパを巡ってきたような感覚になる。だが、続く「SexTant」は曲中の変遷がユニークで、ラテンなストロークに始まり、サビでは洒脱なレア・グルーヴのリズムが顔を出しつつ、再びフィドルやヴァイオリンが聴こえそうなアレンジに展開していく。この変化にひとつの背骨を与えるのはやはり渡會の表現力だろう。
さらにアコースティック寄りのサウンドが風を感じるような、風の匂いがするような演奏に結びついたのが「Blow」。ぜひ野外で観たいと思った選曲でもあった。続いてもミニ・アルバム『HUSTLER』からドライなダークさ、歌詞の持つある種の修羅が迫る「春という暴力」だ。この披露はライヴにソリッドな緊張感をもたらし、非常に意味のある場面だったんじゃないだろうか。しかも今回のアレンジで、渡會のヴォーカルは日本語フォークっぽい歌詞をヒップホップのフロウに乗せるという、他のヴォーカリストにはない特徴を見せる機会にもなっていたのだ。普段のライヴ・スタイルでも滲み出ていることだけれど、圧の少ないアレンジで、より歌の表現が際立っていたのは間違いない。息を呑む「春という暴力」のあとはリフにクラップが起こる「TWILIGHT」。MALのオルガンが妖しいニュアンスを加えていた。
再びのMCではEMMAがメンバー紹介を行い、演奏とは打って変わって弛緩したムードが漂うのはいつも通り。それでもいつもより口数が少ないのは配信をしていることもあり、話しすぎることをあらかじめセーブしていたのかもしれない。
後半は現在の5人で作った近作『coordinate SIX』からの選曲が増えていく。まずピアノ・リフとザクザク刻まれるストロークが心地よい「Set you a/n」。今回のライヴ・アレンジで印象が変わったところがあるとしたら、まるで仲間とキャンプファイヤーでも囲んでいるような温かな気持ちになったことだ。1曲、初期のEMMAヴォーカルの曲「Wanna Go Home」を挟んだことも、温かい気持ちをさらに胸に広げていく力を放った。彼にとっての原風景のようでもあり、命についての歌でもあると思うからだ。
オーディエンスが内面に向き合う曲を共有したことで、演奏への求心力がさらに高まり、オリジナルのブギーなニュアンスを、アコースティックなサウンドでも表した「Heaven come down」がうねりを増す。EMMAのギター・ソロからMALのピアノ・ソロへの流れも美しい。「Phase 2」で神田はウッド・ベースを手にし、岩中はブラシでジャズ・アレンジを際立たせた。ジャズ~カントリーテイストで飛ばし、最もライヴ・アレンジで変化した痛快な演奏になったんじゃないだろうか。続く「FIX ALL」もEMMAのリフが主体となったカントリー調のアレンジが似合う。
そしてロックンロールのルーツを感じる、アメリカへひとっ飛びした印象の「Rock band on the beach」では、それまで大人しく(?)していた渡會が、お馴染みの地名コール&レスポンスをオーディエンスに教示。渋谷や月島に、EMMAの育った場所である八王子ではEMMAが"俺だ!"とレスポンスする。イレギュラーに飛んでくる渡會からのコールに答えるメンバーとオーディエンス。全員参加の大団円でフロア全体に笑顔が溢れた。
ラスト・ナンバーを前にEMMAがライヴ・アルバム『STAY DRIVEN』、15周年を記念したベスト・アルバム、そして昨年の中野サンプラザ公演を収めたライヴ映像作品のリリースを発表。中でもライヴ・アルバムは様々な時期の音源を収録するという。これはかなりレアな作品になりそうだ。始まりからすべてを内包しながら進んできたbrainchild'sが軌跡を踏まえて、新たな軌跡を描いていく――そう考えると今回のツアーの意味もより理解できる。ラストは、コロナ禍の孤独な心象とも重なる、渡會会心の歌詞表現が冴える名曲「Kite & Swallow」で締めくくった。この曲の切なさと、スッと前を向く強さは今のbrainchild'sのマインドとして1本の筋を通している。2023年、さらに5人はどこに行くのだろう。楽しみでならない。
[Setlist]
1. PANGEA
2. Brave new world
3. Twisted Shout
4. Love Letter
5. Flight to the north
6. SexTant
7. Blow
8. 春という暴力
9. TWILIGHT
10. Set you a/n
11. Wanna Go Home
12. Heaven come down
13. Phase 2
14. FIX ALL
15. Rock band on the beach
16. Kite & Swallow
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