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DISC REVIEW

Japanese

エスノファンキードフトエフスキーカムカムクラブEP

0.8秒と衝撃。

『エスノファンキードフトエフスキーカムカムクラブEP』

Release Date : 2010-08-04
Label : ジャパンミュージックシステム

0.8秒と衝撃の新作EP は、ファースト・アルバムに比べ、音が整理された印象。攻撃的なポスト・パンク「ビートニクキラーズ」や「号84谷渋」も、ジャンクなハードコアではあるのだが、ポイントをしっかりと押さえた構成と音作り。ナイーヴな昭和歌謡的メロディ×フラメンコ「21世紀の自殺者」は0.8秒と衝撃。のセンスが凝縮された秀逸な雑食ポップ。逆に、「FOLK GUERRILLA」は正直ピンとこない。例えばUSインディの文脈もジャンクに取り入れながら、独自の感性を持つ歪なポップ・ソングになっているところがこの二人の面白さだけれど、その対象がSunny Day Serviceになると、途端に素直になるからそう感じるのかも。でも、ブルーにこんがらがった愉快犯的センスはやはり好きです。(佐々木 健治)


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つぁら﹆とぅ﹆すとら

塔山忠臣がこのアルバムに向けて"挑戦する芸術の美しさを届けます"とメッセージを寄せていることに、未だシーンの中ではアグレッシヴで盛り上がる要素を求められつつ、内面の真実を探ろうともがいているアンビバレントな思いを見たのだが......。実際、非常に振り切った5曲だ。まるでEDMの享楽性がバカバカしく思えるエレクトロニック・ボディ・ビートのTrack.1。ラウド/ミクスチャー/デジコアとボカロ的な表現が交互に登場するTrack.2、ハウスと歌謡を行き来するTrack.3は、いずれもエレクトロを塔山のニュー・ウェーヴ観で再定義したかのよう。メタルの殺伐を革命のサウンドスケープに模したTrack.4、アーバン・テイストなのにエレジックなTrack.5。"共感地獄"に辟易した耳に"音で語る哲学"が新鮮に響く。(石角 友香)


破壊POP

Track.1「The Killing Moon」が、80年代UKサイケの雄、ECHO & THEBUNNYMENの名曲と同名であることからもわかるが、本作を体系づけるなら、塔山が常に敬意を捧げる電気グルーヴのナンセンス、その奥にある80年代UKニュー・ウェイヴ、そして、そのさらに奥に広がるTHE DOORSやLOVEなど60年代USダーク・サイケデリアにまで辿り着く。それは"ラヴ・アンド・ピース"という理想主義の裏側にあり、それが朽ち果てたあとも残り続ける、クソみたいな現実に対する麗しき反抗の歴史でもある。全10曲、過去最高にメロディアスな耳馴染みだが、音の隙間からは狂気が零れ落ちる。J.M.の歌唱が今まで以上にしなやかに響くのも大きい。冷気を宿したアコギが映えるTrack.4「白昼夢」が特に素晴らしい。(天野 史彬)


ジャスミンの恋人

素晴らしい。この「ジャスミンの恋人」は、ハチゲキ、狂騒のボディ・ミュージック時代の幕開けを告げた2011年のシングル曲「町蔵・町子・破壊」以来のターニング・ポイントとなる1曲だろう。ノイズが消え、シンプルに削ぎ落とされたアレンジ。故に今まで以上に輪郭が露わになった、ソリッドなビートのトラック。その上を流れるアコースティック・ギターは、時に聴く者の心のひだをそっと撫でるように艶やかなメロディを奏で、時に聴く者の腰をダイレクトに揺さぶるようにアタック感強く掻き鳴らされている。80年代のイギリスでNEW ORDERやTHE STONE ROSESが鳴らしたサウンドを、20年以上の時を超えて再解釈しているような新機軸。誰にも踊らされない君の気高き心は、こういう音楽でこそ踊らせるべきだ。(天野 史彬)


いなり寿司ガールの涙、、、EP

そもそも塔山とJ.M.は、とても誇り高く純潔な契りを音楽やアートと結んでいる2人である。音楽に対するロマン、真剣さ、切実さ――ハチゲキを他とは一線を画す存在たらしめていたのは、そこにある純度の高さに他ならない。これまでの彼らが苛立ちや怒りを抱えていたとすれば、それは"何故、他の誰も自分たちと同じくらい深く強く音楽を愛せないのか?"という孤独と哀しみから生まれるものだったのだと思う。しかし、新興レーベル"HAGATA"移籍後初リリースとなる本EPでハチゲキは、もはやそうした苛立ちや哀しみに捉われていない。例え相手の土俵の上だろうが、真正面から勝負してやる。そして、勝ちに行く――そんな覚悟と決意と自信が、本作の研ぎ澄まされた1音1音からは聴こえてくる。素晴らしい。まさに覚醒の1枚。(天野 史彬)


NEW GERMAN WAVE4

0.8秒と衝撃。の、今年2作目となるフル・アルバム。制作開始当初、石野卓球『BERLIN TRAX』から影響を受けたというこの作品は、アルバム・タイトルの"NEW GERMAN WAVE"という言葉が示すように、電子音楽の深淵を巡る。このアルバムでハチゲキは、自分たちの鳴らす音楽の奥には歴史と文脈という道しるべがあることを表現してみせる。そして音楽性だけでなく、このアルバムは精神性の部分でもハチゲキのディープな内面が吐露されている。特に、ふくよかなサウンドに乗せた優しげなメロディが心地よい「FLoWeR」、壊れそうなほどに美しい「UKuLeLe HiBisQs」。この2曲は、これまでのバラード曲よりも一段と重い筆圧で"別れ"と"死"を歌う。音楽的にも、バンドの精神性的にもより深みを覗き込んだ大傑作。(天野 史彬)


電子音楽の守護神

前作、そして去年のEPを経て、クラウト・ロックやインダストリアル・ロックを参照することで0.8秒と衝撃。の音楽的個性となった暴力的なビートは、本作でも健在。だが、それは今までのように周囲に対する違和感や怒りを表現するためのものではなく、リスナーを鼓舞するためのものとして、本作では鳴らされている。無論、苛立ってはいるが、いじけてはいない。電気グルーヴとTHE BLUE HEARTSに影響を受けたという塔山の言葉は、THE BLUE HEARTS的な部分――つまり、リスナーに対する扇動者としての役割に一層自覚的になった。この時代、“生きづらさ”を感じることは、同時に、“自分を持っていること”の証明でもある。生きづらくて結構。楽しめ。そんな強さと誇りに満ちた、現時点での最高傑作。(天野 史彬)


バーティカルJ.M.ヤーヤーヤードEP

作品ごとに新たな音楽的側面を覗かせる0.8秒と衝撃。だが、1年前ぶりの音源である本EPにおいても、やはり一筋縄では行かない進化を見せている。去年リリースされたセカンドアルバム『1爆2爆3爆4爆5爆6爆、東洋のテクノ。』において、エレクトロやインダストリアル・ロックを参照することで体得した暴力的なビート・ミュージック的意匠はそのままに、しかしファースト『Zoo&LENNON』の頃より垣間見えていた塔山のメロディ・メイカーとしての才もまた、本作では発揮されている。その結果、“体より心が先に踊る叙情的ダンス・ミュージック”という、かなり独創的な世界観を構築。最後の最後に「大泉学園北口の僕と松本0時」という美麗バラードを持ってくる点も、ニクい。(天野 史彬)


町蔵・町子・破壊

5月に発売されるアルバムに先駆けて2000枚限定で発売される0.8秒と衝撃。の最新シングルは、収録曲3曲でありながら破壊力抜群。圧倒的な言葉数の多さと目まぐるしい曲展開故に、まくしたてられているのかと思ったが、どちらかというと制作者本人が軽い混乱状態にあるようにも聴こえる。何故だろう、この混乱という脳内の無秩序状態から、太宰治や三島由紀夫が連想されたのだ。1stアルバムから変わらず引き継ぐ昭和歌謡的なメロディのせいだろうか。三島の美への異常な執着や、太宰の作品に多く見られる退廃・刹那的なものへの強烈な憧れといったものに似た臭いを感じたのだろう。知性故の反逆と反骨の精神がもたらす切れ味の鋭さと危うさ、ナーバスすぎるが故の正常と異常の境界線がひどくあいまいなのも最高にクレイジー。(島根 希実)


エスノファンキードフトエフスキーカムカムクラブEP

0.8秒と衝撃の新作EP は、ファースト・アルバムに比べ、音が整理された印象。攻撃的なポスト・パンク「ビートニクキラーズ」や「号84谷渋」も、ジャンクなハードコアではあるのだが、ポイントをしっかりと押さえた構成と音作り。ナイーヴな昭和歌謡的メロディ×フラメンコ「21世紀の自殺者」は0.8秒と衝撃。のセンスが凝縮された秀逸な雑食ポップ。逆に、「FOLK GUERRILLA」は正直ピンとこない。例えばUSインディの文脈もジャンクに取り入れながら、独自の感性を持つ歪なポップ・ソングになっているところがこの二人の面白さだけれど、その対象がSunny Day Serviceになると、途端に素直になるからそう感じるのかも。でも、ブルーにこんがらがった愉快犯的センスはやはり好きです。(佐々木 健治)


ZOO & LENNON

ソング・ライティングを手がける塔山忠臣とモデルとしても活躍するJ.M. による男女二人組ユニット、0.8秒と衝撃。のデビュー・アルバム。2008年に結成し、音源を一切リリースしていないにもかかわらず、ネット上を中心に話題を集めていたこのユニット。ヤケッパチで自意識過剰気味な歌詞をディストーション・ギターに込めたかと思えば、おセンチなポップ・ソングになったり、昭和歌謡になったりと、ほとんど愉快犯的なソング・ライティングが一番の魅力。オルタナを基盤に、時にダブやHIP HOP の要素も取り入れたアレンジもしっかりしていて驚かされるが、自主プロデュースなんだろうか?どこか刹那的な匂いをプンプン放っているこの二人、どこまでこのセンスを高めていくことができるか注目だ。(佐々木 健治)



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