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LIVE REPORT

Japanese

LEEVELLES

Skream! マガジン 2024年12月号掲載

2024.11.15 @代官山SPACE ODD

Writer : 山口 哲生 Photographer:Ayaka.

初の主催ツアー[LEEVELLES Tour 2024 "音楽のすゝめ" 人の上で音を鳴らさず、人の下で音を鳴らさず]を開催したLEEVELLES。上からでも下からでもなく、真正面でリスナーと向き合いたいというバンドの信念をタイトルに掲げ、全国を回ってきた4人。今回レポートに入っているツアー・ファイナルの代官山SPACE ODD公演のみワンマン・ライヴとして行われた。また、本ツアーはアニメ"カミエラビ GOD.app"シーズン2完結編エンディング・テーマとして起用された「幸福のすゝめ」のリリースに合わせて行われたものだったのだが、いざ蓋を開けてみたら同曲はもちろんのこと、未発表曲が多数飛び出す展開となった。

ライヴは彼等のメジャー・デビュー曲である「ヨルヲカケル」からスタート。着実に積み上げてきているバンド力をしっかりと感じさせる熱い演奏で場内の興奮を高めていくと、未発表曲の「大怪盗」を投下。髙木皓平(Dr)が性急なビートを刻み、宮地正明(Ba)はどっしりとボトムを支える上で、川﨑 純(Gt)が骨太なギターを轟かせると、ハンド・マイクに切り替えた小川紘輔(Vo/Gt)は、時に拡声器も使いながら言葉を畳み掛けていく。未発表曲ながらもオーディエンスの反応は上々で、ここからライヴの定番になっていきそうな予感が漂っていた。

躍動的な楽曲でフロアの熱を煽るだけでなく、LEEVELLESの持ち味でもある様々なタイプの楽曲を届けていく4人。向かい風を受けながらも、大空を力強く飛び回るような雄大さのある新曲「グライダー」や、小川が奏でる鍵盤の音色が感傷をより際立たせていた「キンセンカ」、川﨑はアコギ、髙木はカホンというアコースティック編成で披露された「王様のメロディ」は、温かく紡がれていくアンサンブルだけでなく、小川の声に寄り添う川﨑と宮地のハーモニーも美しかった。

そこから続けられた「Walk」では、途中で小川が椅子から立ち上がって鍵盤を奏でるエモーショナルな場面も。彼等の持ち曲の中でもかなり壮大な雰囲気のある楽曲で、聴いていると夜空に瞬く満天の星々が目に浮かんでくるのだが、この日披露された新曲「Voyager」は、そのスケール感をさらに押し広げていて、そのタイトルの如く、目の前に広がってくるのは果てのない宇宙空間だ。孤独な旅を続けながら、"君"の存在を愛おしく思い、歌を届けていく。小川は鍵盤を奏でながら時に優しく、時に力強くメロディをフロアに届けると、そこへ3人が柔らかく音を重ねていくドラマチックなスロウ・ナンバーに大きな拍手が送られていた。その余韻を一気に断ち切るように、ヒリヒリとした空気を纏った「幸福のすゝめ」へ切り替える。宮地と髙木が放つ爆発力満点なグルーヴに乗り、小川が凄まじい勢いで言葉を吐き出していくと、そこから再びモードを切り替えて清涼感のある「花占い」へ繋げていくという、バンドの多面ぶりをしっかりと見せつけていた。

アンコールではこの日4曲目となる未発表曲「最高傑作」を披露。ワイルドな空気を放つスタジアム・ロックでまたその振り幅を広げたところをアピールし、ハッピーな空気が広がる「明日は明日の風が吹く」でライヴを締めくくった......かと思いきや、"今朝できたばかりでほぼ初合わせに近い状態"という未発表曲「群青」をプレゼント(スタッフにもこの曲をやることは秘密にしていたようだ)。軽やかながらも力強さのあるバンド・サウンドを高鳴らし、初の主催ツアーの幕を下ろした。

この日のMCで"予定調和じゃない何かを見せたい"と小川が話していたが、結果5曲の未発表曲を披露するというサプライズでオーディエンスを喜ばせていたLEEVELLES。創作意欲が漲っている今のバンドの状態が存分に伝わってくる一夜だった。

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