Japanese
B.O.L.T
Skream! マガジン 2023年05月号掲載
2023.04.15 @KANDA SQUARE HALL
Writer : 宮﨑 大樹 Photographer:笹森健一
正直に言えば残念な気持ちは未だにある。それでも、彼女たちはこれから前を向いて、それぞれの目指す道を進み出す。だから4人の背中を笑顔で見送ろう。
ももいろクローバーZや私立恵比寿中学が所属する"スターダストプラネット"のアイドル・グループとして誕生したB.O.L.T。メンバーの内藤るな、高井千帆、青山菜花、白浜あやは、グループの活動を通して肉体的にも精神的にも技術的にも着実に成長を遂げてきた。だがしかし、これからさらなる飛躍を期待させるタイミングで、グループの解散が発表されることになる。3月10日の解散発表から1ヶ月。B.O.L.Tの解散ライヴが開催された。会場はKANDA SQUARE HALL。これまでも主催イベントをたびたび開催してきた思い出の場所だ。
スクリーンが上がると目に飛び込んできたのはB.O.L.Tのロゴがデザインされたバックドロップ。そこにはファンからB.O.L.Tへのたくさんのメッセージが書き込まれていた。温かい言葉に背中を押されながら4人が1曲目に披露したのは、B.O.L.Tの始まりの曲「星が降る街」だ。メンバーは解散の悲しみを吹き飛ばすように、いつも通りの――いや、いつも以上に明るく力強いエネルギーでもってパフォーマンスを届けていく。そんな4人に呼応するように、声援が解禁されたフロアからは大きな歓声が上がっていた。
内藤が"ここからみんなと私たちで史上最強の1日を作ろうぜ!"と煽って「ここから」へ。この日B.O.L.Tは、ライヴ本編とアンコールを合わせてグループの持ち曲である全36曲を披露した。まさに集大成に相応しいセットリストで、これまでの最高を更新していったのだ。
ライヴ前半は、B.O.L.Tらしくポジティヴで推進力のあるメロディック・パンク曲を中心に据えていた。やっぱり彼女たちには笑顔が似合う。逆に言えば、解散という言葉は似合わないというか、本編中もなかなか実感が湧いてこない部分もあった。中盤もその勢いを損なわず、アッパーなロック・ナンバーで攻め続けていったB.O.L.T。中でもタオル曲「Catch The Rainbow」でタオルを振り回してから「SLEEPY BUSTERS」へ繋げてステージとフロアで大合唱を起こし、「New Day Rising」で肩を組んで身体を横に揺らす流れは熱かった。B.O.L.Tにはロック・フェスでも戦えるポテンシャルがあるんだと、改めて示したような印象だ。
ライヴ後半はミドル・テンポの楽曲で聴かせる場面が特に印象的だった。こういう曲は、勢い良く突っ走る楽曲に比べて、感情を歌唱に変換するという意味での技術がより問われる。思い返せばB.O.L.Tのライヴで彼女たちの成長を感じる瞬間は、そういったミドル・テンポの楽曲でのパフォーマンスが多かったような気がする。B.O.L.Tの活動を通して身につけた感情表現は、きっとこの先のそれぞれの道でも生かせるだろう。そしてライヴで感じた彼女たちの成長は、技術面だけではない。本編で32曲をパフォーマンスしていても、まったく疲れを見せず、一曲一曲を噛みしめるように、大切に届けていくことができた体力面、メンタル面がすごかった。4人とも、本当にたくましくなったものだ。本編ラストは「夜を抜け出して」。最後までB.O.L.Tらしい、笑顔とポジティヴなエネルギーに溢れたパフォーマンスで駆け抜けた。
アンコールは「寝具でSING A SONG」でスタート。結果として活動期間の大半がコロナ禍になってしまったB.O.L.Tだったが、最後の最後で大きなシンガロングを聴くことができたのには目頭が熱くなったし、永遠に続いてほしいと思えるシンガロングだった。続いてライヴ終盤の定番曲「Please Together」で、青山が"B.O.L.Tがずっと好きなのです!"と叫び、会場全体で土下座をして曲を締めくくる。
記念撮影をして、ファンに向けてひとりずつ言葉が贈られた。
青山菜花は涙ぐみながら"これから私たちB.O.L.Tはそれぞれの道に進んでいきますが、明日から私たちが行く道にも、みなさんが行く道にも光が降り注ぐことを祈っています。みなさんいつも私のこと大好きって言ってくれているんですけど、私のほうが負けません。みなさんのことが本当に大好きです!"と愛を伝え、白浜あやは"今日ステージに立って思ったことは、やっぱり「B.O.L.T最高」! 私はB.O.L.Tとして活動を始めて、歌やダンスはゼロから練習を重ねてステージに立つことができたんですけど、歌うこと、踊ることが大好きになりました。B.O.L.Tになったおかげでいろんなことに挑戦することができたし、好きなことも本当にたくさん増えました。それもみなさんのおかげだと思っています"と想いを伝え、それからメンバーそれぞれにメッセージを送った。
高井千帆は"自分としては10年前にステージに立たせていただいて、アイドルという職業の素晴らしさをたくさんの方に教えていただいて。私は正直1回も自分がアイドルに向いていると思ったことはないんですけど、それでもアイドルを楽しいと思えたり、自信を持ってステージに立てたのは数え切れない方のおかげだなと思って、今日も今が一番楽しいという気持ちでライヴをやらせていただいていました"と、これまでの活動を振り返る。それから、"これからはグループの肩書がなくなってしまうし、すごく不安な気持ちが正直あるんですけど、みんなが優しく温かく、力強く背中を押してくれたので、笑顔で前を向いて進んでいきたいと思う。私が前を向いていなかったらみんなはきっと怒ると思うので、少しでもみなさんにいい報告ができたり、今度は自分からみなさんに会える機会が作れるくらい力をつけて、またいつかどこかでみなさんに会えたら嬉しいなって思っています"と、自らの"個人活動に専念したい"という想いがきっかけになった解散とその先について想いを明かした。
最後は内藤るなからの言葉。"私はみんなのキラキラした笑顔を見るのが大好きだし、それが生きがいだし、今日もB.O.L.Tのライヴをやっていて、楽しみが悲しみを上回ることってあるんだなってすごく思って。一曲一曲、最後だなって気持ちよりも、今が楽しいっていう気持ちがいっぱいでラストのライヴができたのが本当に嬉しいです。B.O.L.Tの解散が決まってから、寂しさに押しつぶされそうな夜が何度もあったけど、そういう日もB.O.L.Tの楽曲に助けられてきたし、みなさんとは泣くために出会ったんじゃないなと思っているので、私はこれからもB.O.L.Tの楽曲を歌い続けようと誓ったので、これからも大好きな歌を歌えるように頑張っていけたらいいなと思っています。みなさんB.O.L.Tの曲は好きですか? 私も大好きです。メンバーは解散しちゃうけど、B.O.L.Tの楽曲は永遠なので、みなさんこれからも聴き続けてください。みなさん3年9ヶ月、本当にありがとうございました"。
そうして"最後はB.O.L.Tらしく、みんなで残りの時間を笑顔で過ごせたら嬉しいなと思います"(高井)と話し、「スマイルフラワー」でタイトル通りに笑顔の花をKANDA SQUARE HALLに咲かせると、続けて「OUR COLOR」を披露。"私とあなたにはそれぞれに別々の世界が見えているけど、その世界は重なっている"。まるでこの日を予言していたかのようなテーマの歌でアンコールを締めくくるが、鳴りやまないファンからの声に応えてダブル・アンコールへ。始まりの曲「星が降る街」をもう一度届ける。
こうして"B.O.L.T 「The LAST」"、アイドル・グループ B.O.L.Tの活動はその幕を閉じた。そして、それぞれの新しい道が始まる。どんな形であれ、ステージやメディアを通して、彼女たちとファンの人生がまた交わる日が訪れますようにと願う。
[Setlist]
1. 星が降る街
2. ここから
3. 夜更けのプロローグ
4. 宙に浮くぐらい
5. Make Up
6. D.T.F.
7. Don't Blink
8. Yummy!
9. More Fantastic
10. JUST NOD
11. Catch The Rainbow
12. SLEEPY BUSTERS
13. New Day Rising
14. BON-NO BORN
15. BY MY SIDE
16. 未完成呼吸
17. Hear You
18. HOT CAKE
19. スーパースター20. axis
21. 雨のち晴れ
22. 風を抱きしめて
23. わたし色のトビラ
24. 足音
25. USHIRO-META-I
26. Accent
27. Reborn
28. まわりみち
29. One Life
30. 淡い空
31. 夕日の後の夜に
32. 夜を抜け出して
En1. 寝具でSING A SONG
En2. Please Together
En3. スマイルフラワー
En4. OUR COLOR
W En. 星が降る街
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