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INTERVIEW

Japanese

PHALUX

2025年09月号掲載

PHALUX

Member:一華 ひかり(Vo) Kaichi(Gt) KG(Dr)

Interviewer:サイトウ マサヒロ

取材前に共有された音源を聴いて、"なんだこれは!?"と思わず笑いが込み上げた。そのバンドはPHALUX(ファルクス)。テレビ東京"THEカラオケ★バトル"での優勝やZepp規模でのワンマン・ライヴ開催等の経歴を誇るシンガー・ソングライター、一華ひかりを中心に結成され、この秋デビューする3人組だ。伸びやかで眩しいその歌声のバックで、やけにテクニカルでエモーショナル、時にヘヴィなサウンドが鳴り響いていて、なのに全てが調和している。本格始動を目前に控えたメンバーにインタビューした(※取材は8月下旬)。

-一華さんは今年の3月までシンガー・ソングライターとしてソロで活動していましたが、なぜ今回バンドを結成することになったのでしょうか?

一華:音楽を始めた当初からバンドを組みたいとは思っていたんですが、お客さんから求められているものや自分が活かせる特性とは合わない気がして、ずっと迷っていたんです。でも、やりたいことをやらずに後悔するのは嫌だという性分なので、去年の夏ぐらいから本格的に結成を考えるようになって。そんなときに、ソロ時代からライヴをサポートしてくれていたKaichi君の世界観と、私の歌が混ざって起こる化学反応に興味が湧いて、ダメ元で相談したら二つ返事でOKしてくれたんです。それからKaichi君の紹介でKG君が加わり、このメンバーが揃いました。 本心でぶつかり合ったときにカチッとハマる人と出会える可能性なんて、本当にごくわずかだと思うんですけど、動き始めてから半年間でいろいろな話を重ねて、今は自分たちの目指すもの、やりたいことが明確になってきていますね。

Kaichi:ソロで成功している一華さんがゼロからバンドを始めると聞いてびっくりしたんですけど、結成に賭ける思いを伺ってぜひ一緒にやりたいと思いました。そもそも僕はもう生涯バンドを組まないつもりだったんですけど、一華さんのサポートをするなかで、彼女のヴァイタリティには大きな刺激を受けてまして。そんなシンガーからの覚悟を感じて、僕の気持ちも変わりましたね。

-この人となら、という思いが芽生えたんですね。

Kaichi:そうですね。一華さんは本当にすごいんですよ。テレビに出て、"THEカラオケ★バトル"で優勝して......。世に出たきっかけは路上ライヴでのバズりだったけど、そこで得た影響力を維持できているのは一華さんの強さ故だと思います。

-そして、KaichiさんがKGさんを紹介したと。

Kaichi:6年ぐらい前にネットで知り合ったメンバーと、お遊びのメタルコア・バンドをやってたんですけど、そのドラムがKG君だったんですよ。ドラムが上手いのはもちろんですけど、性格的な面でめちゃくちゃやりやすいんですよね。

KG:やったー(笑)!

Kaichi:一華さんと僕の次に加わる人の人間性によって、せっかくの企画がぶち壊れちゃうってこともあり得ると思っていたので、そこに上手くハマるのがKG君なのかなと。その時点で、一華さんがこれまでやってきた歌モノに、ラウドロックを掛け合わせた音楽をやりたいっていうプランがありまして、そこに沿ったドラマーだったのも大きかったです。

-KGさんは現在、PHALUX以外に固定のバンドでの活動はしてませんよね。

KG:そうですね。ここ数年、サポートもしてましたけど、エンジニアリングに注力していました。ただバンドをやりたいという思いも薄々抱いていたタイミングで、Kaichi君が声を掛けてくれて。僕はアンダーグラウンドのメタル・シーンで活動していたので、一華さんと組むことでオーバーグラウンドな場所で実力を試せる機会をいただけるのは、貴重だなと思い、快諾しました。Kaichi君は個人活動で電子音を使ったサウンドメイクをしていたし、新しいアプローチで何かを得られるんじゃないか、面白いものができるんじゃないかと感じてましたね。

-結成時はどんなバンド像を描いていたんですか?

Kaichi:一華さんが最初に共有したデモ音源は、これまでのソロの楽曲とはちょっと違ったよね。"NANA"みたいな、平成っぽいロックというか。

-Y2K的な。

Kaichi:ですね。バンド・サウンドでやっていきたいっていう。

一華:そこから方向性は変わっていきましたけど、大きくブレてはないよね。

KG:僕は楽曲の制作途中にメンバーとして加わったんですけど、そのタイミングでリファレンスに挙がってたのは、「Story of Hope」とか。

-一華さんは、2人の得意としているジャンルに触れることで新しい感覚を得られたんじゃないですか?

一華:そうですね。触れてこなさすぎたジャンルだったので、まず彼等の言ってる言葉の意味が分からないんですよ(笑)。未知の世界にポツンと放り込まれたような感じで、2人の共通言語を理解するところから始まりました(笑)。

Kaichi:"ブレイクダウンって何?"って言ってたよね(笑)。

一華:今までとは違うフィールドで、イチからというよりはもはやゼロから作っている感覚でした。作詞作曲も、1人だったら自分の好きなように、如何様にもできるじゃないですか。でもバンドだと、2人の世界観を壊さず、でも自分らしい音や言葉を乗せないといけないから、すごく悩んじゃって。今までの何倍もの時間をかけて作ってますね。

-ちなみに、"PHALUX"というバンド名は造語ですか?

一華:はい。"PHA"は胡蝶蘭=Phalaenopsis、"LUX"はKaichi君からの提案で、光の単位のルクスから取りました。胡蝶蘭の花言葉は"幸福が飛んでくる"なので、幸福や光をみんなに与えられたら、という意味合いを込めています。

Kaichi:バンドと言えど、一華さんのキャリアのネクスト・ステージでもあるので、彼女らしさを名前に入れたかったんですよね。なので、花と光に関する名前になっています。

-ここからは3人それぞれの音楽ルーツについて聞かせてください。

一華:音楽に興味を持った原点は、幼い頃に見た劇団四季の"ライオンキング"でした。それから大人になるまでに、洋楽もJ-POPもK-POPも、いろんな音楽に触れましたね。特にCéline Dionさんはすごく好きですし、Novelbrightさんも長年聴いてます。ただ、ジャンルは結構ブレブレというか。私、大学を卒業して一度は社会人になったんですけど、芸能界への夢を諦め切れなくて、会社を辞めて路上に出たんですよ。それまで歌を習ったこともなかったから、同じフィールドで戦っている仲間を通していろんな音楽を吸収してきましたし、ソロでも幅広い楽曲を歌ってきました。

-なるほど。となると、PHALUXの結成以前に抱いていた"バンド"というものに対するイメージに近いのは、Novelbrightなのでしょうか?

一華:いや、Novelbrightさんの楽曲は大好きなんですけど、それを自分が表現するかと言われたら違うなと思ってて。私、BON JOVIさんが好きなんですよ。結構ゴリゴリな、攻め気味のバンドのほうが、私自身が持ち合わせている前に進む力と合っているのかなと考えてましたね。

-いわば昔ながらのロック・スターみたいな。

一華:周りなんて見向きもせず、立ち止まらずに進んでいくようなスタイルですね。