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INTERVIEW

Japanese

め組

2024年02月号掲載

め組

Member:菅原 達也(Vo/Gt) 富山 京樹(Gt) 久佐賀 麗(Key) 寺澤 俊哉(Ba) 外山 宰(Dr)

Interviewer:山口 哲生

-「GT50」はかなりメランコリックな曲ですね。

菅原:結局はこれもひねくれてますよね。"僕のこと羨ましいくせにさ"とか言ってるし(笑)。"みんな起きてるくせにさ"とか。でも、こういったことを言っているくせにもう後戻りできない感じもあるし、実際に(周りに)羨ましいって思わせたいと思っていないぐらい、こいつは落ちてるんで(笑)。

寺澤:そうだね。

菅原:まぁ、ほっときゃいいんじゃないですかね、こういう人に関しては。

-ほっときゃいいって(笑)。

菅原:いや、自分がこういう気持ちだったときとか。

-あぁ。ちょっとそっとしておこう、みたいな。"誰かと拗らせられたらな"という歌詞も好きでした。ある種のヤケクソ感もあるんだけど、ちょっとした寂しさとか、心の揺れ動きみたいなものがいいなと思って。

菅原:ありがとうございます。もっとわかりやすく言えればいいんですけどね。"誰かと一緒になれたらな"とか言えりゃあいいんだけど。

寺澤:でも、そうじゃないんだもんね?

菅原:そう。"拗らせられたらな"なんだよ。ちょっと癖(へき)を感じますね。

寺澤:めんどくさいやつだなぁ。

久佐賀:はははははは(笑)。

-では、久佐賀さんがこれはいいのが弾けたなと思う曲というと?

久佐賀:私は最後の「It's a 大愛万国博覧会」です。この曲はそれこそカノン進行といって、とても有名なコード進行なんですけど、ちょっとクラシックな要素も入れやすいといいますか。でも完全にクラシックをやっちゃうのも違うかなっていうところで、メンバーとも相談しながら、どういうフレーズを入れようかなとすごく考えました。特にサビの部分でがっつり歌を歌ってくれているんだけど、その後ろでチラチラと聴こえてくるピアノのフレーズとか、最後のサビで盛り上がっているなかで鳴ってる、ちょっとかわいげのある音だとか。この曲は"イッツ・ア・スモールワールド"をイメージして作ったという話を菅原から聞いていたので、かわいらしさとか、いろんな景色が見える感じを表現できたらなって思いながら作っていきました。

-これはもうわかりやすくハッピーな曲で。

菅原:これは人類大好きというか、そういったモードに入った状態のときですね。"人類みんな最高ー!"みたいな。でも、これはファンに向けたものだっていうのは表明しておきたいです。"愛ってやつをお披露目します"とか、"酸いも甘いも/お腹いっぱいな人生/最終日に指差しながら/一緒に笑い合おうぜ"っていうのはお前のことだからな? って。作っているときの大半はそのことが頭をよぎっているなかで書いてたので。

-ファンの人に向けてまっすぐにそういう言葉を書くことも、勇気のいる行為なのかなと思ったんですけど。

菅原:いや、これに関してはもうね、だいぶイタかったですよ。"最高のラヴ・ソングを書いてやる!"って、ちょっとイキってた感じがあります。

-おぉー。

菅原:「咲きたい」みたいな、自分がやっているバンドという仕事に直結することを書くのはナンセンスな気がして。恥ずかしいっていう気持ちがあるんですよ。"ここで咲かせて(日本)武道館行くぜ!"っていうほうが俺はキツいですけど、"お前、超大好き!"みたいなのは全然ですね。こっちはもう気持ちいいです、マジで。

-なるほど。でも、なぜ"イッツ・ア・スモールワールド"をイメージしたんです?

菅原:なんか、最初に"博覧会"が出てきたんですよ。行ったことないんですけど(笑)。でも、"たぶんきっとこんな世界観なんだろうなぁ"みたいな。

寺澤:イマジネーションの世界。

菅原:そうそう。いろんなものが並べられていて......みたいな。(東京)ディズニーランドの"イッツ・ア・スモールワールド"は乗ったことあるんですけどね。ああいう感じなのかなって。俺、あれ泣くんだよね。

寺澤:そうなの? 見たことないよ、そんな人。

菅原:え、嘘? あれ泣けないですか?

-結構グッときますよね。

菅原:ね!? グッときますよね!?

久佐賀:うん(笑)。

富山:あれはいいアトラクションですよ。

寺澤:嘘!? そうなの!? あ、でも大人になってから乗ってない。

-それはあるかもしれないですよ。

寺澤:だからか。

菅原:俺、高校生の頃から結構きてたけど。

-だいぶ早いですね。

寺澤:早熟だね。そっか。乗ってみよう。

-乗ってみましょう(笑)。寺澤さんはいかがです? いいベースが弾けたなと思う曲というと。

寺澤:頑張ったという意味では「お茶の子再々!」ですかね。それこそ僕がリクエストしたのもあって。

菅原:墓穴掘ったか(笑)。

寺澤:(笑)転調もそうだし、いろんな音が入っている曲でもあるから、ベースも攻めてやろうっていう気持ちになって、め組史上一番弾くのが大変な曲に自分で仕上げてしまって。レコーディングも弾けるか不安で、何日も前からすごい練習していたし、無事にいい演奏を残すことができたんですけど、でも難しいことをしているのがバレないようにいろいろ詰め込めたかなと思います。

-リクエストをしたという前提はありつつも、なぜまた詰め込んでみようと思ったんです?

寺澤:デモを聴いたときに、そういうことをしたほうが曲がより良くなると思ったところはあるんですけど......やっぱりベース・プレイヤーとして、これを聴いたベースをやっている人を驚かせてやろうっていう気持ちは常にあるんですよね。"このアイディア面白い!"と思われたいっていう気持ちはこの曲以外にもあって。だから曲を聴いたときに、これは詰め込めるかもしれんって、そういう自己顕示欲もちょっとあったのかもしれないです。

-言ってみたら、それも自分のやりたいことではありますからね。外山さんの場合はいかがです? これはいいドラムが叩けたと思う曲。

外山:サウンド面になってしまうんですけど、「GT50」と「It's a 大愛万国博覧会」で、今までやっていない挑戦をしていまして。「GT50」はデモの段階ではカホンが入っていたんですけど、それをドラム・セットで表現するとなったときに、バス・ドラムの位置にカホンを置いてペダルで演奏したり、スティックをブラシにしたり、楽曲がよりそういう方向のサウンドになるように工夫してました。「It's a 大愛万国博覧会」は歌と一緒に小太鼓のマーチみたいなのが入るんですけど、あれもそうですし、大太鼓とか合わせシンバルも、打ち込みではなくちゃんと別で録ったんですよ。今までよりもパーカッションもレコーディングしたので、そこは聴きどころというか。そのぶん、レコーディングがハードではあったんですけど(笑)。

-そうなりますよね(笑)。カホンを使ったのはすごくいいですね。

外山:今作でもアレンジャーとして入っていただいている花井 諒さんと相談して、そういうこともやってみたら? って。カホンだとあまりにもアコースティックすぎるし、言ってもロック・バンドで、この編成でやるとしてドラム・セットに落とし込むならこういうのはどう? っていうアドバイスを貰って、みんなで決めていきました。いいものができたと感じていますし、いろいろと思い入れもありますね。

-そして、アルバムを持っての東名阪ツアー"ME-GUMI LIVE TOUR 2024 -七変化-"が決定しています。先ほどライヴのお話もありましたが、かなりまたいい雰囲気のライヴになりそうですね。

菅原:2023年のライヴ活動で、「咲きたい」を先行リリースしたことで僕らもお客さんの性格がやっとわかった部分もあるので、それを裏切るわけではないけど、もうそのままやるというか。1+1=2のごとく、わかりやすく応答することができる東名阪ツアーにしたいと思っていて。たぶん、お客さんも安心してると思うんですよ。それはお決まりのものをやるというわけではなく、ちゃんと気持ち良く裏切ってくれるし、いつものだしっていうのを要求してきてくれているから、それをしっかりやるっていうことですかね。今はそれに集中してます。

-バンドとお客さんお互いが1歩ずつ歩み寄ったみたいな感じしますね。

菅原:最近はお客さんと二人三脚感がめっちゃありますね。みんなで作ろうっていう感じがあります。俺らとしても、別に拗らせてないから、そういうのも楽しくていいよね?

寺澤:うん。

菅原:楽しいし、大前提で嬉しいですよ。そうやって熱くなってくれたり、追っかけてくれたりとか、それはもう本当に稀有なことですからね。ありがたいことだと思ってます。