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INTERVIEW

Japanese

め組

2024年02月号掲載

め組

Member:菅原 達也(Vo/Gt) 富山 京樹(Gt) 久佐賀 麗(Key) 寺澤 俊哉(Ba) 外山 宰(Dr)

Interviewer:山口 哲生

-ちなみに、「咲きたい」のMVにはランジャタイのおふたりが出演されていますが、「(I am)キッチンドリンカーズハイ」に入っている奇声は国崎(和也)さんの声ではないですよね?

菅原:じゃないです(笑)。あ、頼めば良かったですね。

久佐賀:はははははは(笑)。

寺澤:たしかに(笑)。

菅原:あれは僕です。

寺澤:根明の部分。

菅原:根明じゃない(笑)。根暗の底辺だよ。

-(笑)先ほど寺澤さんと外山さんが"わかりやすい"とおっしゃっていましたけど、「お茶の子再々!」は転調こそ多いけど、曲としてはわかりやすいというか。

菅原:この曲を作ったときに、カノン・コードじゃないけど、わかりやすいコード進行も好きだったりするのでそういう曲を作っていたら、ベースの寺澤さんに焚きつけられたんですよ。"転調とかやろうよ"って。

寺澤:ははははは(笑)。はい。

菅原:それにちょっとムッとしたというか(笑)、火がついたんです。そこがまず始まりとしてあって。「お茶の子再々!」はそういった転調のぐちゃぐちゃ具合も含め、今まで培ったものとか、自分の音楽のルーツとかを落とし込みたいなと思って燃えたところがあったので、すごく頑張った。けど、ちゃんとわかりやすく聴かせたいという思いもあるんですよ。やっぱプロなんで。

寺澤:急に(笑)?

久佐賀:はははははは(笑)。笑っちゃった。

菅原:やっぱりそこは意識してましたね。

-わかりやすくしながらも、実はいろいろやっていますという。

菅原:うん。そういうのがいろいろ見え隠れするといいなと思ってました。

-でも、なぜまた寺澤さんは菅原さんを焚きつけたんです?

寺澤:セオリー通りじゃない転調みたいなものは、彼の武器のひとつだと思っていたんですよ。『Amenity Wear』(2018年リリース)というミニ・アルバムのタイトル曲の「Amenity」も信じられないぐらい転調が多いんですけど、ちゃんと歌モノとして成立しているのがすごいなってずっと思っていて。で、原点回帰なのであれば、そういう武器を掘り起こしてもいいんじゃないかなという考えがあったんです。でもずっとデモがシンプルだったから、"どうよ?"って。"最近ちょっと本気じゃないんじゃない?"みたいな(笑)。

菅原:本気なんですけどねぇ。

-はははははは(笑)。

寺澤:(笑)飲みながらそういう話をしていたんですよね。それを彼が覚えてくれていたみたいで。嬉しいですね。

菅原:いや、たしかにその手もあったなと思って。自分でも忘れていたところがちょっとあったから。

久佐賀:第一印象としては、明るい曲が来たなぁってまず思いました。「咲きたい」を出したあとにライヴでお客さんの反応を見ていて、みんな拳を上げたいんだなとか、コロナも明けたしみんなで歌いたいんだろうなとか、そういうお客さんの熱量が伝わっていたので、この曲の最後で"茶々茶々茶々"ってみんなで歌うところも絶対に盛り上がるだろうなと思って、早く出したいなっていう気持ちで楽しみにしてました。

-先ほどから歌詞が暗いというお話が多くて申し訳ないんですが、どの曲も、その言葉が綴られているもとにある感情は決して明るくはないのかなと思っていて。「さたやみ」も、ものすごくきれいで美しいんだけども、沸々としたものがあるギャップがいいなと思いました。

菅原:この曲は、それこそランジャタイの国崎さんからお手紙とエッセイの本("へんなの")をいただいたんですよ。送られてきたんですけど、そのときはランジャタイさんを存じ上げていなくて、存じないまま本だけをまず読ませてもらったんです。で、すごくそれに感動したんですよね。内容としては、小学校とか幼い頃の思い出をしたためているんですけど、この人は"昔楽しかったな、良かったな、切なかったな"っていう思い出をうやむやにせずにこの本に記録しているんだなと、僕の中で勝手に彼のイメージみたいなものを作っていたんです。で、当の自分は、そういうのを大人になっていくにつれてうやむやにしてしまっていて。だから曲自体はすごく抽象的ではあるんですけど、僕もうやむやにしたくないから曲にしようって思ったんです。そのきっかけになったのが国崎さんでした。

-"自分はあのときこう思った"ということを、ちゃんとして残しておこうと思った。

菅原:みたいなことですかねぇ。なんて説明したらいいんだろうな......まぁ、さたやみになっちゃうんだなって言ってるんですけどね(笑)。でもそう書いておけば、そういうことを思っていたんだなってわかるから、それを書きました。

-歌詞を見ていて、憤りを感じたんですけども。

菅原:そうですね。でも年齢のこともあるけど、悲しいことに憤っていても時間はどんどん流れていっちゃうんですよね(笑)。それはもうしょうがない。だから、憤りのちょい先ぐらいですね。

-憤って、ちょっとひと呼吸ついた瞬間。

菅原:そうそう、そういう感じです。

富山:最初は、爽やかな曲が来たなぁって思って。歌詞が抽象的みたいなことを言っていましたけど、たしかにパッと見て"ん?"みたいなところはちょっとあって(笑)。でも何回も聴いていくうちに、この曲をもっと理解したいなと思ったし、こういうことなんじゃないかなと思いながら弾いてました。

-富山さんが今回の『七変化』の中で、これはいいギターが弾けたなと思う曲を挙げるとするといかがです?

富山:「GT50」のサビにあたる部分で、しっかり聴こえるフレーズとは別で、すごく遠くのほうで鳴っているコードのバッキングがあるんですけど。この曲自体が物悲しげな雰囲気があるんですけど、自分だったらそういう悲しい心を鳴らして気を紛らわせるみたいなことをするのかなと思って。それプラス、あまり気安く"エモ"っていう言葉を使いたくないんですけど。

-わかります。

富山:(笑)どこかエモーショナルでセンチメンタルな音を出したいなと思ったときに、そのバッキングの音が出てきたんです。且つ、それが遠くで鳴っているっていうところで、そこまで主張しすぎずに、でも心のどこかでそう思っている感情もあるんだよ、みたいなものをギターで弾けたかなって。これは独断でやっちゃったんですけど、そういうものが表現できたかなと思ってます。