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INTERVIEW

Japanese

月蝕會議

 

月蝕會議

Member:エンドウ.(Gt) Billy(Gt) 楠瀬 タクヤ(Dr)

Interviewer:稲垣 遥

-でもフルで映像に合わせて作っていったというのがあったから、間奏の展開とかもすごく凝っていたりするんですね。

エンドウ.:そうです。あのあたりのギミックは、Billyさんが最初アイディアを出して組み立ててくれたんですけど、結構複雑なことをやってますよ。あれって何拍子なんですか?

Billy:あそこだけ3拍子になってますね。急に4拍子から3拍子になってます。浮かんだのがそれだったので仕方ないんですよ(笑)。

エンドウ.:ああいうところが陰陽師や魔術っぽくて僕は好きです。

Billy:あ、そういうことにしましょう(笑)。

-曲作りは"月蝕會議 音楽クリエイター夜會"で行っているように、みなさんで意見を言い合いながら作っていったのかと思うのですが、今回のコライトは役割分担とかあったんですか?

エンドウ.:Billyさんがトラックメイクを結構主導でやってくれて、僕歌詞やって。

Billy:メロディまで僕がやったんですよね。制作前の打ち合わせで"テンポこれくらいがいいよね"みたいなのをタクヤさんが提案してくれて。

楠瀬:骨だけ(笑)。

エンドウ.:僕ら毎回みんなでスタジオ入ってああだこうだやるわけじゃないので、そのときの状況で、タクヤさん他のあれやってるんで僕らでこっちやっときますとか。

楠瀬:そうだね。個人の活動もありますし、月蝕で溜めてるタスクをどう割り振る? って。

エンドウ.:だから他のやつもそうですけど、こういう話が来たら、"今空いてる人ー?"みたいな。

楠瀬:"もしくはやりたい人ー?"って。

エンドウ.:"僕いけますー!"みたいなので少しやっていただいて、みんなで途中でわーわー言って、とかそういう方法もよくやります。

-それは月蝕會議ならではですね。他のバンドだとスタジオで合わせていくことが多いでしょうから。それこそ以前はコロナの状況的にリモートの場合もあったでしょうし。

エンドウ.:そうですねぇ。リモートもあったし、でも最近はスタジオ入ってやってましたし、いろいろですね。

楠瀬:でももともとコライトの手法だったので、コロナ禍はそれがより生かされたかもしれないですね。

-「月夜のタクト」はピアノとか歪んだギターとかが特徴的なダークな曲ですけど、みなさんがサウンド面でこだわったところもお聞かせいただきたいなと。

エンドウ.:和ではあるんですけど、音楽に和は持ち込まないみたいなのは最初にありましたよね。和楽器にするんじゃないんだよっていう。だからそこらへんは無国籍な感じでいろいろやりましたけど、歌詞に関しては漢字が多いというか、文学的なところはちょっと考えましたね。ハイテク系だったらカタカナが増えてくると思うんですけど、日本語っぽさは意識してます。Souさんが歌うのがスタートだったんですけど、なんでも歌えそうな方だってYouTubeとか観ててわかってたんで、じゃあなんでもいけるなと思って。風景としては原作で主人公がいろいろ操る感じを指揮者になぞらえて、タクトを振るみたいな感じで考えたんですよね。

-演奏面ではどうですか?

エンドウ.:難しかったですね。

楠瀬:繊細でシルキーなSouさんのヴォーカリゼーションを月蝕會議としてどうアレンジしていくかですからね。バンドで録ってSouさんの歌声が映えるってどうかなと思って。クールな声が引き立つように、一個一個の音のリッチさっていうか、奥みが録れたらいいなって考えてました。トラックだとドラムってほとんど打ち込みで、ドゥンッとかピシッとかすごく切り刻まれた音だと思うんですけど、この曲は1曲で1音っていうんですかね。切れないっていうのをバンドでやるからにはすごく意識してました。あとは16分っぽいBillyさん独特の。

エンドウ.:細かいリズムのやつね。

楠瀬:ダン、ダン、ダンって音の中に、テケテケテケテケっていうのが忍ばせられたらいいなと思ってましたね。

-Billyさんはいかがですか?

Billy:僕、感覚でやってたので、こうしようみたいなのは頭で考えてやってない曲ですかね。ただ、タクヤさんが話したようなクールという温度感みたいなものは統一してから作ったので、わりとギターはシンプルで、イントロとかもピアノのフレーズでその感じが出せたらいいのかなってことで、バンド・サウンド+ピアノという作り方で。あと少し理論的な話になってしまうのですが、9thや7thなどのテンション・コードを交ぜてギターを結構重ねて、倍音というか、単に歪んでるんじゃなくて、そこまで歪ませなくてもできるだけ凶暴に聞こえるような音の作り方をしましたね。

楠瀬:チラっと登場する音がめっちゃトラック数あるんですよね。

Billy:実はトラック数が結構あって、でもそこはレイヤーになってるから、音数を多く聞かせない感じかなと思います。

-たしかに、いろんな音が鳴ってはいるけど印象としてはスッキリしてる感じですね。

Billy:そうです。スッキリ、シンプルかなと思うんですけど、実はいろいろ重なってるっていう感じですね。

-先ほど歌うのがSouさんというのは決まったうえで作っていったと話してましたけど、Souさんが歌うからにはこんなふうにしようとかはあったんですか。

エンドウ.:僕らが、多少は通ってるんですけど、ド本命でやってきたわけではないジャンルでやっている方で、今っぽい感じだったので、そういうのを聴く方たちにウケたいって気持ちはそりゃあったんですけど。でも、さっきも言いましたけどなんでも歌える方なのでそんな気にしてなかったですかね。僕らができあがりましたって渡してSouさんがどう歌うか、どう返してくるかを楽しみにしてた感じでした。そしたらこんなに繊細に歌ってくれて。

Billy:実は歌のディレクションとかそのあたりは、僕たちはノータッチでして、Souさんが自分で歌に関して完結できる力を持っている方なので、エンドウ.さんがおっしゃったように、きっとこういうメロディだったらこんな歌い方をしてくれるだろうなって想像しながら作りました。歌詞の言葉に対して的確な音のあて方をしてくれているので、言葉がより彩られるというか、カラフルになるというか、表現力の部分ではSouさんの力はさすがに大きいなと思ってますね。

楠瀬:Souさんの素性がわからなすぎるから想像で、この人がライヴするんだったら、とバック・バンドをするような気持ちでやってましたね。

-じゃあご本人とはまったく話したり会ったりすることもなく。

楠瀬:そうですね。だから街ですれ違っても顔もわからない。

-そうなんですね。歌唱の難易度も高い曲だと思いましたけど。

エンドウ.&楠瀬:高いと思います。

Billy:わりとメロディのレンジ広めですよね。

エンドウ.:めちゃくちゃ広いと思いますよ。

-しかも急に高音になったりしますもんね。

Billy:そうですね。でもそこがSouさんらしさを出せるところかなと思って、あえて難しいメロディ・ラインにして。僕自分で歌えないですからね(笑)。

エンドウ.:ボカロ曲ってそもそも人間が歌わないから、人間の範囲を無視している曲が世の中多いじゃないですか。そういうのを歌ってきた人たちだから、結構むちゃくちゃなの歌えるんですよ。無茶なアップダウンのなかで、すごいですよね。

-Souさんだったら歌えるだろうというのであえて難しくしたんですね。

エンドウ.:それはありますね。

Billy:難しいけど、きっと歌ってくれるはずって。

エンドウ.:やっぱり歌唱力に自信のないタイプの方とかだと、難しくしないでくれとかキーの範囲はこうしてくれみたいに、本人じゃなくて裏方のレコード会社の人から言われたりするんですけど、Souさんに関してはなんだっていけるかなと。

-安心して任せられた感じですね。できあがったSouさんの「月夜のタクト」を聴いていかがでしたか?

エンドウ.:これこそがイケボなんだな、と思って。

一同:(笑)

エンドウ.:もう耳が妊娠するー! って。匠の技を聴いた思いです。

-こんなアグレッシヴな曲でも繊細な歌が乗ることで新鮮になるという。

楠瀬:絵が浮かぶよね、シーン、情景が。だからすごくいいコラボレーションっていうか。