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INTERVIEW

Japanese

HERE

2020年12月号掲載

HERE

Member:三橋 隼人(Gt) 尾形 回帰(Vo) 武田 将幸(Gt) ※アー写左から

Interviewer:高畠 正人

2年ぶり6枚目のアルバム『風に吹かれてる場合じゃない』をリリースするHERE。日本一のハイテンション・バンドを標榜し、全国各地にハイテンションという名の"熱風"を吹かせてきた彼らだが、コロナ禍でさすがに今年はローテンション......かと思いきや、そんなことはなかった! オンライン・ライヴや有観客ライヴ、そしてアルバムまで完成させるフットワークの軽さで賑やかな1年に。コロナ禍でも活動を止めなかった真意やライヴ再開に向けての試行錯誤、そして新境地とも言えるサウンドを手に入れたアルバムについて語ってもらった。


打楽器の持ち込みを自由にしてライヴは大喜利状態!?


-2020年はバンドにとってかなり大変な1年だったのでは?

尾形:コロナめ......。

武田:3~4月で今年立てていた予定がまるっきり白紙になっちゃいましたからね。

三橋:6月くらいには再開できると思っていたんですけど......うーん。

尾形:本当ならば4月にシングルを出して、ツアーで全国を回って、そこからアルバム発表というスケジュールでした。結果的にツアー日程が印刷されたTシャツが在庫の山として僕の部屋に積まれる状況が起きました。おかげで通販のノウハウを身につけました。

-コロナ禍でバンド活動をどうするか? の話し合いはされたのですか?

尾形:しましたね。僕は活動を止めるのが嫌だったので、ギリギリまで4月のツアーも決行するってライヴやSNSでも発信していたんです。だけど3月18日のライヴを終えたあとくらいから、オリンピックが延期になったり(3月24日)、志村けんさんが亡くなったり(3月29日)と大きな出来事が続いて、さすがにマズイなと。特に志村さんが亡くなったことはショックでした。そこでツアーの延期を決断しました。

武田:僕は9mm Parabellum Bulletのサポートもしているのですが、そっちのツアーも延期になり、これはかなりヤバいぞと。今年は9mm(9mm Parabellum Bullet)でも全国ツアーがいっぱい入っていて楽しみにしていたんですけどね......とはいえさすがに仕方がないかなと。

-年明けからクラウドファンディングでアルバム制作の資金を募られていましたよね?

尾形:1月から1ヶ月ほどクラウドファンディングでアルバム制作資金を募りました。これまでフリー・ライヴやMV製作の資金だったのですが、本音をぶっちゃけた感じです。

-レコード会社や事務所に所属していないバンドにとってはアルバム制作資金のやり繰りは大変ですよね。ましてやサブスク時代になってどう音源を作るかはインディーズ・バンドにとって悩みどころです。

武田:本当は1枚でも多く売れて、ひとりでも多くの人に聴いてもらって、人気が出てそれでアルバムを作るのが最高なんですけど......毎回、ギリギリのところで戦っているので......。クラウドファンディングも3回目なので、お客さんの中でも戸惑う人もいるだろうし。そこは......難しいところですね。

-実際にクラウドファンディングはサクセスし、アルバムは予定通り年内に出すことになりました。

尾形:おかげさまで自分たちが納得できるクオリティで、制作に取り組むことができました。

武田:音がしょぼくなるのは避けたかったので、良いアルバムになったと思います。

-結果的に、ライヴはできないまでも、4月には新曲「いらっしゃい」を発表し、アルバム制作と並行してオンライン・ライヴもいち早く行われていました。有観客ライヴ(7月7日)もかなり早かったですよね?

尾形:そのときにできることを模索して、全力で取り組んでました。

武田:僕らは新人でもない、大御所でもない微妙な立ち位置のバンドですからね。誰かが最初にロックンロールをやらなきゃいけない。ちょうどいい役柄だとは感じてました。

三橋:叩かれてもそこで折れる気持ちでやってないですし。

尾形:とはいっても、僕らがやりたくてもライヴハウス側がOKにならないとできないので、"延期した公演をやろうと思うんですけど、どう思います?"って聞いたんです。そうしたら"バンドに任せるよ"って。

武田:嫌がられるかと思ったんですけど。やっていいんだって。

尾形:ただ、そこからは感染対策をどうするか? ってことをかなりの時間を使って話し合いました。最終的には販売していたチケットの整理番号で奇数と偶数の2部構成にしたり、フロアにシールを貼ってお客さん同士のソーシャル・ディスタンスを取れるようにしたりして開催しました。

-バンドとライヴハウス側が協力して、ライヴを行ったわけですね。実際にやってみていかがでしたか?

尾形:完全な準備をして臨んだんですけど、物販の販売方法や会場前の整列をどうするか、ギリギリまで試行錯誤しました。開場30分前にビニール手袋を買いに行って、物販で配布したりして。あと、HEREのライヴではコール&レスポンスが定番なのですが、お客さん側が声を出せないからそれは禁止。でも、ただ立って観ているだけじゃつまらないと思って、打楽器の持ち込みを呼び掛けたんです。

武田:どこまで打楽器なのかってお客さんも思ったみたいで結果的に大喜利みたいになってましたけどね(笑)。

三橋:普通ならカスタネットとかタンバリンとかですけど。

尾形:小太鼓とか和太鼓を持ち込もうとしている人がいたり、謎の民族楽器とか。

武田:楽しもうとしてくれている想いが伝わってきました。

尾形:この前のライヴでも最前列のお客さんがマラカスを振ってくれていましたからね。音量的に地味ですが(笑)。

武田:全然、聴こえなかったけど気持ちだけは受け止めました。

三橋:ステージから見てると面白いですよ。うん。