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INTERVIEW

Japanese

THIS IS JAPAN

2020年08月号掲載

THIS IS JAPAN

Member:杉森ジャック(Vo/Gt) かわむら(Dr/Cho)

Interviewer:稲垣 遥

2020年、メジャー・デビューを果たしたTHIS IS JAPAN。彼らのメジャー進出後初となるCDシングルは、アニメ"ノー・ガンズ・ライフ"第2期エンディング・テーマをタイトルに据えた『new world』。ハードボイルドな同アニメにバンドとしてシンパシーを感じているという彼らの新作は、これまで磨いてきた4人の武器と、漲る挑戦意欲の両方が具現化された、気骨のある聴きどころ満載の作品に。文字通り強力と言いたくなるシングルを完成させたディスジャパの現在地を探るべく、フロントマン 杉森ジャックとドラマーのかわむらに話を訊いた。

-前回のEP『WEEKENDER』(2019年リリース)は、それまでバンドが打ち出していた"既存のオルタナティヴ"の枠にとらわれすぎずに、いろんなことをやった結果、バンドの曲の幅広さもアピールしたような作品だったと思うのですが、反響や手応えというものは感じましたか?

杉森:山田健人監督にミュージック・ビデオを撮ってもらった、リード曲の「グルメ」って曲があって。THIS IS JAPANっていろんな曲を自分たちなりにやってきましたけど、「グルメ」はこれまでで一番THIS IS JAPANの持っている攻撃性や、ロック性を打ち出したものだったんです。今までは自分もギターを弾いてたんですけど、ギターは小山(祐樹)の1本にして、あえてソリッドな音像を作り上げて。そこにかわむらの詞が乗ってる新しいTHIS IS JAPANの側面に、気づいてもらえたかなっていうのはありました。

かわむら:常に新しいことをやっていたつもりではあったんですけども、前作のタイミングは一番意識して新しいことをやろうと思って。今言った「グルメ」とか、耳に新しいことをかなり出してみたら、"変わったな"っていうよりも、"よりらしくなったな"と捉えてくれる人が多かった気がするんです。我々もやってて楽しいですし、それは良かったなと思いますね。

-やりたいことをやったがゆえのリアクションと感触を得られたんですね。

かわむら:そうですね。

-そして、リリース後のアウトストア・ライヴでメジャー・デビューを発表されました。杉森さんの、40万円のギター購入と併せてニュースになっていたのを覚えています。

杉森:ははは(笑)。ニュースに取り上げていただいてありがたかったです(笑)。俺のお買い物の中では一番高かったですしね。

-メジャー・デビューをすることについては当時どう捉えてました?

杉森:率直に言うと、メジャー・デビューしたことがなかったから、わかんなかったです(笑)。でも、確実にこれまでよりもたくさんの人に見てもらえる機会が増えますし、自分たちはライヴの中で曲を磨いてきて、ライヴ・バンドって言うと大げさに聞こえるかもしれないですけど、ライヴを中心に据えた活動をしてきたバンドなので、それを忘れないように、自分たちらしくという気持ちでした。それと、バンドは変わんなきゃ面白くないなといつも思うので、変わっていくTHIS IS JAPANと、今までやってきたイズムを両方持って、メジャーのフィールドでやりたいようにやってやるぞ! っていう意気込みはありましたね。

-メジャーに行ってみて、これまでとの変化はありました? 特殊な状勢になっちゃったので、思い通りにできていないところもあるとは思いますけど。

杉森:そうですね。状況がそれ以上にいろいろ変わっちゃったんで、正直実感としてはまだないかもしれないです。だけど、自分たちだけの力じゃ作れないもの――例えば、この間の配信ライヴ("NOT FORMAL vol.12 ~THIS IS JAPAN ONLINE ONEMAN GIG 2020~")の映像チームやミュージック・ビデオ、そういう経済的なところなどで、クリエイティヴィティの足を引っ張られることはないんだなっていう安心感はありますね。

-任せられるところができて、自分の制作などの部分に集中できるようになったというか。

杉森:はい。自分たちのクリエイティヴィティに集中できる環境が用意されているんだなって実感はありますね。

-なるほど。そして、そういう状況が整って、配信シングル「Not Youth But You」(2020年2月リリース)でいよいよメジャー・デビューを果たしたところで、思いがけず、コロナウイルスの影響でツアー("THIS IS JAPAN TOUR 2020 『We are WEEKENDERS!』")が途中で延期、中止になってしまいました。このときの状況についてはどう考えていらっしゃいましたか?

杉森:さっきも申し上げたんですけど、ライヴを中心にやってきたバンドだったので、ライヴがなくなるっていうのは未だかつて経験したことのないものではありましたよね。だから、最初は本当どうしようかな? っていうところから始まって。でも、どうなっても、やれることをとりあえず全部やっていかないとなんもわかんねぇなと思ったんです。だから、オンラインで弾き語りのフェス"NOT FORMAL Vol.11 STAY HOME GIG"を企画したり、自分個人としては、"杉森ジャックのビッグマフナイト"としてインスタライブを毎日やってみたり、ライヴハウスでライヴはできなくなったけど、自分たちのできることをやれるだけやんないともったいないっしょっていう。その感覚はメンバー共通であったんじゃないかなと思います。

-杉森さんは家庭菜園("爆草家庭菜園")の模様もInstagramに投稿していましたね。

杉森:あーやりましたね。楽しかったですよ(笑)。

-"ビッグマフナイト"も家庭菜園も、毎日投稿されているのがファンの方も嬉しいだろうなって思いました。

杉森:ありがとうございます(笑)。こういうタイミングじゃないと集中してできないこともあるんで、全部やってみました。

-かわむらさんはどういうふうに過ごしていらっしゃいました?

かわむら:自粛期間中、楽しかったですね。

-そうなんですか。

かわむら:ずっと止まらずにやってきたんでね。もし、THIS IS JAPANだけが全員怪我して3ヶ月何もできないとかだったら不幸なことですけど、みんな同じ条件でこういう時期だよっていうことだったから。たぶん我々は受け入れるのが早いというか、"この状況だったらこれやるかね"くらいの感じで。

-結構冷静だったんですね。

かわむら:そうですね。中止になったライヴとかはもちろん寂しいなって感じましたけど、なんやかんやで楽しく過ごしてたんじゃないかなと思います。

-バンド内では連絡を取ってたりしたんですか?

かわむら:......取ってたかな?

杉森:はははは(笑)! 曖昧。

かわむら:変わんなかった気がします。自粛だから減るとかじゃなくて、顔は合わせなかったですけど、まぁいつも通りでしたね。バンド、音楽をやってます! って感じで。

-ライヴっていうアウトプットするひとつの場所がいったんなくなっちゃっただけで、そこまで大きな変化は感じなかったと。

かわむら:そうですね。デカい変化のはずなんですけど、案外楽しかったです。