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INTERVIEW

Japanese

Base Ball Bear

2020年01月号掲載

Base Ball Bear

Base Ball Bear

Official Site

メンバー:小出 祐介(Vo/Gt) 関根 史織(Ba/Cho) 堀之内 大介(Dr/Cho)

インタビュアー:金子 厚武

3ピースとしてのあり方を見つめ直し、『ポラリス』と『Grape』という2枚のEPを発表してきたBase Ball Bearが、ニュー・アルバム『C3』を完成させた。2006年発表のデビュー・アルバム『C』、2015年発表の『C2』に続く"C"シリーズの第3弾は、バンドがまた新たな季節に突入したことを明確に伝えている。2枚のEPからニュー・ミックスで全曲を収録し、新曲4曲を加えた全12曲はあくまでギター、ドラム、ベースでの演奏にこだわりながら歌やミックスを細部まで突き詰めた傑作。メンバー3人に完成までの道のりを訊いた。

-"C3"というタイトルはどのタイミングで決まったのでしょうか?

小出:わりと最初から言ってた気がしますけど......どうでしたっけ?

関根:決定はしてないにしろ、キーワードとしては......。

小出:最初のほうから言ってましたね。『ポラリス』(2019年1月リリースのEP)を作ってる頃から、"最終的にはそうなるんじゃないか"みたいなことをやんわり思ってて、『Grape』(2019年9月リリースの会場限定EP)を作ってる頃にはほぼほぼ"C3"だろうと考えてて、作り終わってやっぱり"C3"ですっていう(笑)。

-つまりは、3ピースであることと改めて向き合い始めた時点で、また新たなチャプターに入ったことが3人共通の認識としてあったということですよね。

小出:『ポラリス』を作ってるときに"3"っていう数字がキーワードになって、そこから"C3"になったので、今回は"C"よりも"3"に意味があるというか。

-『C』(2006年リリースの1stアルバム)から『C2』(2015年リリースの2ndアルバム)までが約10年で、『C2』から『C3』までが約4年というのは、結果的にシーンの移り変わりのスピードが上がったことを表しているようにも感じました。

小出:『C2』を作ったときは日本のギター・ロックのサウンドがみんな同じような感じになってて、"四つ打ち"っていう言葉をすごく聞くようになって。同じ四つ打ちをギター・ロックでやるにしても、自分たちはそれをもう1回噛み砕かなきゃいけないと思ったから、すごくグルーヴィなものを目指したんですよね。それをやれるバンドだと思うし、ちゃんとやってかなきゃいけないなって。当時は日本のシティ・ポップをすごく聴いて、そのテイストを取り入れて、作り終わったときに、10年くらいしたら"『C2』ちょっと早かったね"ってなるかと思ったんですけど、5年経ってみて周りが見事にそうなってるから、"やっぱりね"っていう気もしつつ。

-たしかに。

小出:なので、今回もまたちょっと先読みで、2019年の自分の体感としては、もう1回"バンドかっこいい"がくるんじゃないかと思ったんです。っていうのも、今のアメリカは完全にヒップホップが主流で、ヒップホップの音やリズムの作り方がいろんなシーンにまで浸透してる。一方、バンドの新譜は全然上にきてなくて、Apple MusicとSpotifyの2019年のトップ100みたいなのを見ても、やっぱりほぼヒップホップ。でも、こういう状況が続くと絶対反動が来るはず。そうしたら、2019年後半になって、RAGE AGAINST THE MACHINEがもう1回やるとか、つい先日もFrusciante(RED HOT CHILI PEPPERSのJohn Frusciante/Gt)が復帰するとか、やっぱりこれはくるなと。だから、2019年は僕ら、しっかり楽器を練習しようと思って。『C3』は実際すごくシンプルな、ドラムとベースがデッカく出て、ギターもわりとジャンジャン弾いてて、読みが当たってたかもなって......まだ出してないから、リアクションはわからないけど(笑)。

-関根さんは2019年におけるバンドのあり方をどのように見ていますか?

関根:私は音楽シーンの流れみたいなのには疎いほうなんですけど、ロック・バンドのかっこ良さは死ぬことがないっていう確信がずっとあるので、ちょっと需要が減ろうが、また盛り返すときがくるし、そうやって繰り返していくものだと思ってます。あと、自分たちのことで言うと各々のプレイヤーとしてのアイデンティティみたいなものが、キャリアと年齢と共にだんだん確立されてきて、3人で変わらず、ギター・ロックをやり続けることへの自信もついたので、どれだけ時代が変わろうとも、"これでいい"って確信に変わったのはアルバムを作りながら感じてました。

-堀之内さんはどうでしょう?

堀之内:2019年は同世代のバンドにめまぐるしい動きがあったんですよね。メンバーがやめたり、活動が止まったり、志村君(フジファブリックの志村正彦/Vo/Gt)没後10年とかもそうだし。そういうなかで、自分たちもようやく素直に3人だけの音でアルバムを作ることができたのは、すごく大きかったです。今年はプライベートでもいろんな動きがあって、バンドに対しての向き合い方がまたちょっと変わったり、ホントにいろいろ考えさせられた1年だったんですけど、そのうえで、今3人でやれてるっていうのはとてもいいことだなって思います。

-ある種の時代感はアルバムとしてのパッケージの仕方にも表れていると感じます。これまでだったらEPからは1、2曲を入れて他はアルバム曲というのが一般的だったかと思うんですけど、今回2枚のEPから全曲入ってるのは現代的なあり方だと思う。そのあたりはどんな考えがあったのでしょうか?

小出:今ってアルバムの考え方がふたつあると思っていて。ここ20年くらいはシングルがあって、リードがあって、アルバム曲があるっていうのがスタンダードだったと思うんですけど、もとを辿れば曲ができて、いくつかのリリースをしました。それが溜まったのでまとめました。っていうのがアルバムだったわけじゃないですか? 今は配信で単曲をバンバン出して、プラスで何曲か、それがまとまったのがアルバムみたいな人が多くて、結果的に昔のようなアルバムの形に戻ってきている。その一方で、今はアルバムを作るならコンセプトがガチッと決まってないとダサいって言う人もいる。このふたつが今は主流になってきてると思うんですよね。じゃあ自分たちはっていうと、まず『ポラリス』っていうEPを作ってみて、自分たち的にも作りやすかったし、お客さんも集中して聴きやすい、いいサイズだなって感じた。なので、次にまた『Grape』を作って、そっちには"秋"っていうコンセプトもつけて。

-単曲の良さとコンセプトの良さを共存させたというか。

小出:で、じゃあフル・アルバムってなったときに、やっぱり最初は"EPからリードを入れて新曲8曲くらい入れる?"とか思ってたけど、そうなるとEPを2枚出した意義が薄らいじゃうと思ったんですよね。僕はEPのあの束感がすごく好きだったから、アルバムってものを編成するにあたっても、EPの曲を全部入れて、4曲、4曲、4曲の束でアルバムにしようと。あと、これは僕の感覚かもしれないけど、"リード曲3:アルバム曲7"みたいなバランス感だと7の比重が軽くなっちゃう気がして。もっと曲を大事にしたいと思ったんですよね。今の人って、7のほうをバーッと聴いて、その中からお気に入りの1、2曲を見つけるんだと思うんです。アルバム全部をしっかり聴く集中力をどれだけの人が持ってるのかなって。だったら、むしろ知ってる曲が入ってるほうが集中して聴けるんじゃないかと思ったんですよね。なので、これまでの曲もしっかりアップデートして、アルバムでのサウンドの見直しもしっかりやりながら、集中して聴ける新曲4曲っていうまとめ方。これが今一番ベターなやり方なんじゃないかなって。

-EPの曲はどれもニュー・ミックスで収録されていて、なおかつ「試される」は"2020 ver."で収録されていますね。

小出:「試される」はギターだけ録り直してるんです。もともとアウトロは長かったんですけど、『ポラリス』のときは切っていて。

-今回つけ足したわけじゃなくて、もともとが長ったんですね。

小出:音源だとちょっと長いと思って切ったんですけど、ライヴで演奏するなかで、長いバージョンが身体にだいぶ入ってきて、今ならアウトロもちゃんと聴かせられるかなって。「試される」は『ポラリス』のセッションの最初に録った曲で、そこからギターの音が『ポラリス』のセッション中に更新されて、『Grape』でも更新されて、さらにツアーでも更新されたので、一番成長率が大きいんですよ。それをもう1回反映させようと。実際1年経って弾いてみたらノリが全然良く聴こえるし、アウトロも聴かせられた。それを踏まえてミックスも変えたんです。

-関根さんと堀之内さんはこの1年のツアーを経ての変化をどのように感じていますか?

関根:曲ってライヴをやりながら育っていくし、3人の演奏にしても、アルバムを作って"3人の基礎編ができたね"みたいな話をしてて、やっと3人の土台ができたなって感覚があります。ライヴで感じてたことが曲にどんどん落とし込まれてるので、新曲の4曲はそれもすごく大きいと思いますね。

堀之内:ライヴで「ポラリス」をやるようになって、2019年最後のツアーのタイトルも「ポラリス」の一節から取って、"Guitar!Drum!Bass!Tour"になるくらい、あの曲が自分たちの中でも大事な曲になったことで、最初のEPの4曲も全部アルバムに入るべきだって気持ちになったし、『Grape』を会場で売ったことで作品とライヴがより一体化した感覚があって、改めてお客さんに対する感謝の気持ちも出てきました。もちろん『光源』(2017年リリースの7thアルバム)のツアーのときもそういう気持ちはあったけど、ちゃんと自信を持って3人だけの姿でその気持ちを伝えられたんです。今年の2本はそういうツアーだったと思います。